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学校にテロリストが来た時の対処法って考えるよね?

ようやく異世界に転移します。

 俺と晴人が北條と斎藤さんと出会って一ヶ月が経った。


 晴人は斎藤さんと毎日一緒に弁当を食べているし、俺もたまに北條と一緒にパンを食べる。(毎日ではない)


 ここ最近は大抵は今まで通り晴人と一緒だが、休み時間や放課後は後輩ズと話したり、そのことで高宮にからかわれたりする時間ができた。


 

「せんぱいは趣味とかないんですか?」


 今日も晴人を誘いに来た斉藤さんを見送って、斎藤さんと一緒に来ていた北條とパンを食べていると突然そんなことを尋ねてきた。


「なんで俺の趣味なんて聞くんだよ。まさか俺も攻略対象?」


「何を勘違いしてるか分かりませんが、単なる話題です。自意識過剰じゃないですか〜?」


 北條も出会って一ヶ月も経つと慣れてきたのか気安く言葉を投げかけてきたり、煽るようになってきた。。


「勘違いなんかしてねぇよ、冗談だ。趣味はラノベ、マンガ、ゲームだな」


「うわっ、せんぱいってオタクだったんですか。意外ですね〜。イジメられたりしません?」


「ねぇよ。オタクだからってイジメられるのはそれこそラノベやマンガの中だけだろ」


 仮にイジメてくる奴がいたら報復するが。


「そうですね〜。まぁせんぱいがイジメられてる所は想像出来ませんが。やり返しそうですし」


「会ってまだ大して日が経ってないのに何を分かったようなことを言ってんだ。正解だよ」


 仮に俺がイジメられたら確実に報復する。泣き寝入りなんかしない。


「でもオタクってバレると彼女が出来ないかもしれませんよ〜。皇先輩が薫ちゃんと付き合ったらせんぱいはボッチになっちゃう」


 やかましい。


「別に彼女なんかいらんわ。めんどくさそうだし」


「強がっちゃって〜。ここに美少女がいますよ、告白してみたらどうです?」


 からかうように言ってくる北條を鼻で笑ってやる。


「ハッ!お前なんぞよりラノベやマンガのヒロインのほうが可愛い。文字列か二次元になって出直せ」


「なっ、なんてこと言うんですかこのオタク!」


 流石に怒ったのか北條が掴みかかってくる。それをあしらいながら


「実際可愛いしな。リアルと違って分かりやすいし、かわいい顔して内心実は~なんてこともあまりない」


 そういうキャラもいることはいるが、そういうのは敵や踏み台キャラに多い。


 そう言うと多少は冷静になったのか


「まぁそうですね〜。本当の女の子はもっと生々しいというかドロドロしてますし」


 と聞きたくないことを言ってくる。


「やっぱりそうなのか。幻滅しました。女の子のファンやめます」


「ファンってなんですか。まぁ女の子は男の子の目がないとこでは結構エグい話してますよ。知ってるんですか?」


「ラノベで読んだ」


 ラノベの知識もバカにできないな。


「ラノベって…」


 何やら気が抜けている北條を尻目に時計を確認。もうすぐ昼休みが終わるので北條を促し、屋上を後にする。


「そもそも物語と現実を一緒にするのは良くないと思うんですけど〜」


 先程の話の続きなのか北條がそう言ってくる。


「物語もバカに出来んぞ。現実には滅多にないこともよく起きるからな。もし現実で起きた時に対処法が分かるし、イメトレもできっ…」


 そこまで言った所で大きな地震が起きる。立っているのが難しいくらいの地震だ。近くのロッカーがこちらに倒れ込んでくるのが見えた俺は咄嗟に北條を抱えて飛び退る。

 そのまま机の下に伏せ、地震が治まるまで待つ。しばらくしてようやく地震が治まったので抱えてた北條を離して立ち上がる。


「どうだ?地震でロッカーが倒れてくるなんて実際に想像したことはないんじゃないか?」


「そうですね…。あと助けてくれてありがとうございます」


 起きあがろうとする北條に手を貸しながら周りを見渡すと辺りにはものが散らかっていた。


「短時間で驚きのビフォーアフターだな。片付けがめんどくさそうだ」


「最初に気にするのがそこですか…。怪我人がいないか気にしましょうよ」


 呆れたように言ってくる北條ととりあえず教室を目指す。慌しく移動する人が多くて何度もぶつかりそうになる。


「実際に地震が起きるとおさない、はしらない、しゃべらないを実践できる奴なんてほとんどいないんだな」


「懐かしいですね〜。私のところははしらないじゃなくてかけないでしたけど。…なんか悲鳴が聞こえますね、怪我人でもいるんでしょうか?」


 北條の言葉に耳を澄ませると確かに悲鳴が聞こえる。窓から外を眺めてみるとおかしなことに気付く。


「…この学校って山に囲まれていたっけ?」


「は?何を言ってるんですか、頭でも打ちましたか?」


 毒を吐いてくる北條に外を見るように促す。ややあって


「…どうやら私も頭を打ったみたいですね〜。外が見覚えのない景色になっています」


 この学校は街中にあるので周りには街並みが広がっているはずだが、今は木しか見えない。


「…まさかの異世界転移?マジで?」


「なんですか異世界転移って?」


 理解が追いついていない北條に説明してやる。


「その名の通り異世界に移動することだ。ラノベやマンガではよくあることだ。学校ごとは珍しいが」


「え〜、そんなことあるはずないじゃないですか。周りが山になったなんて気のせいですよ、気のせい」


 北條は認めなくないようだ。確かに信じられないが。


「とりあえずそう思っておけ。さっきの話じゃないがそう考えておかないと何かあった時に対処できないぞ」


「何かって何ですか、対処が必要なことでも起きっ…」


 急に言葉を止めて固まる北條。その視線が向いているほうを見てみると、こちらに向かってくる子供くらいの背丈の緑の化け物がいた。あれってゴブリンじゃね?


「…見たことない化け物がいた時の対処法は?」


「…とりあえず攻撃してから考える」


 俺はゴブリンを思いっきり蹴飛ばした。


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