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取引しません?

(やべぇ、飽きた)



 引きこもり3日目にして早くも飽きた。みんなでトランプやボードゲームをしたり、読書をして過ごしていたが飽きてきた。


 北條や斉藤さんは外に出たのは最初の内だけで、ほとんど引きこもっていたはずだが飽きないのだろうか?そう思って聞いてみたが


「襲われる可能性のある外に出るくらいなら引きこもってたほうがマシです」と返ってきた。


 怖いのは理解できるがずっとここにいるつもりだろうか?俺なら発狂しそうだ。


 とりあえず明日は様子見も兼ねて外に出よう。




 翌朝、目が覚めるとまだみんな寝ていたので起こさないようにして外に出る。ずっと引きこもっていた為かみんな朝起きるのが遅くなっていた。夏休みの学生か。


 引きこもって凝り固まった体をほぐしつつ、学校を散策する。3日前に比べれば争った後が多いが、死んでいるのは魔物ばかりだった。初期の混乱を生き残った者達はしっかり対処できるようになったらしい。


 指揮する者がいなくなった千田のグループ以外は。


(千田は生き残っていそうだが…)


 数日前にやりやった人物を思い浮かべると憂鬱になる。あいつもオレと同じでこの世界を楽しんでいる狂人だ。このまま大人しく生きていくことはないだろう。


 俺に被害が無ければいいなぁと思いつつ、そろそろ散策をやめて図書館に戻る。


 図書館に入り、司書室に向かっていると声をかけられる。


「おはようございます。いい朝ですわね」




 やせい の せんだ が あらわれた▼




「………」


 ここにいたのかよ。やべぇ、気を抜きすぎた。


「そう睨まないで下さいます?敵対するつもりはありませんわ」


「…まぁ何かするつもりならとっくにしているか」


 こいつがいつから図書館にいたかは知らないが、何かするつもりならチャンスはいくらでもあっただろう。俺達はここの所遊んでただけだし。


「本当はもっと早くにお話ししようと思ったのですけれど、なかなか一人きりにならないので時間がかかりましたわ」


 確かに引きこもってからは一人きりになることはなかった。高宮がほぼ常に近くにいた(風呂やトイレにまで着いてこようとした)し、張り合うように北條もいた。


「モテる男は辛いですわね」


 揶揄うように言ってくる千田には取り合わず用件を聞く。


「ほっとけ。それで何の用だ?」


「私と取引しません?」






 千田と話し終わり司書室に向かっているとなにやら騒がしい。


(何かあったのか?)


 用心しながら司書室に入る。騒いでいるのは高宮のようだ。


「部屋の外にまで声が漏れてたぞ。いったいどうし…ぐふっ!」


 なにやら騒々しかった高宮だが、俺の姿を見るや否や飛びついて来た。そしてまたしても後頭部を強打する。俺の後頭部に恨みでもあるのか。


「篠崎君!篠崎君!本物だよね⁉︎居なくなったりしないよね⁉︎私を見捨てないよね⁉︎」


「っ〜〜〜〜〜〜〜!」


 胸の上で高宮が喚いているが、俺は悶えていてそれどころではない。


「お、落ち着いて高宮さん。ほら悠眞も見つかったんだからさ」


「ひいっ!ち、近づかないで!」


 晴人が落ち着かせるように高宮に話しかけたが、何故か高宮は怯えて俺にしがみついてきた。あ、晴人が傷ついた顔をしている。


「落ち着け、晴人に何かされたのか?」


 痛みが引いてきたので、高宮ごと体を起こしながら問いかける。晴人は横に首を振ってるけど。


 子供をあやすように背中を軽く叩いたり、頭を撫でたりして落ち着かせる。



 ほ〜ら高宮ちゃんもう大丈夫だからね〜元気だしましょうね〜。



 そうしていると落ち着いたのか俺から離れた。恥ずかしかったのか顔が赤くなっているけど。


「ご、ごめんね。もう落ち着いたから。皇君もごめんね。ちょっと混乱してただけだから」




 結局何があったんだよ。






 

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