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先に地獄で待っていろ

「改めてありがとう篠崎君。何度もありがとう」


 落ち着くと全裸で男の上にいることに気づいた高宮がまた取り乱したが、その辺は割愛。何もなかった。いいね?


「どういたしまして。だが今日だけで何回襲われてんだよ…襲われすぎだろ」


 つい愚痴が溢れてしまう。


「うっ…私だって…好きで襲われてるわけじゃ…う〜っ」


「待て待て待て!俺が悪かった。だから泣くな」


 高宮が半泣きで俺の腕にしがみついてくる。風呂場から出た後から高宮の距離が近い。着替える間、俺は脱衣所から出ようとしたがそれさえも嫌がった。依存されてね?


(まあ無理もない…か?)


 一日の内に何度も襲われかけ、その度に俺が助けていれば依存もするかもしれない。


 チラリと腕にしがみついている高宮を見る。離すまいと手に力を入れつつ、辺りを不安そうに忙しなく見回している。


 不安になる気持ちは分かるが、俺もお前を襲ったのと同じオスなんだが…


「…………」


 俺が高宮を襲ったらどんな顔をするかなぁ。もしくはもう一度襲われた高宮を助けようとして俺が死んだりしたらどうなるかなぁ…(愉悦部)


「っ⁉︎」


 なにやら嫌な予感でもしたのかさらに強く腕にしがみついてくる。不安そうな顔でこちらを見上げてくる高宮は守ってあげたくなる。なるが…逆に突き放したくもなるなぁ(クズ)


「篠崎君…?」


 いや、流石にしないよ?実際にやるほど鬼畜じゃないよ?ちょっと考えただけだから。


 この後めちゃくちゃしがみつかれた。




「おかえり悠眞!どこ行って……何があったの?」


 司書室に戻った俺を迎えてくれた晴人が疑問の声を上げる。その視線は俺の背中にしがみついている高宮に向けられている。


 ここに帰る途中にゴブリンに遭遇したので高宮に離れてもらい倒したのだが…悪戯心が湧いた。


 具体的にはゴブリンを倒した後、高宮を置いて走り出してみた。呆気に取られる高宮を置き去りに角を曲がった所で、隠れて様子を伺おうとしたら涙目で追いかけてきた高宮に押し倒された。そしてまたしても後頭部を強打した。



 それから高宮は背中から離れなくなった。引き剥がそうとしても両手両足でしがみついて抵抗する。


 もうしない!はしたないからやめろ!と言っても聞く耳持たない。


 感触からしてかなりおっぱいでかいなとセクハラした時は一瞬怯んだようだが、それでも離れなかったから諦めた。


 その後は魔物に遭遇することなく司書室まで戻ってこれたのは幸いか。


 とりあえず晴人達に高宮のグループが壊滅したことを説明する。他のことはまぁ、うん、言わなくてもいいよね?特に魔物を呼び寄せたこと。


 高宮をここに受け入れることに反対はなかった。高宮の性格は有名だし、境遇的にも同情できるからな。


 高宮もここのメンバー相手なら大丈夫みたいだし。唯一晴人に対しては少し距離があるがそこはしょうがないだろう。あんな目に会えば男が怖くなるのも理解できる。


 室内で他の人もいるから安心したのか、高宮は俺の背中から離れた。



 残念だなんて思ってない。



 高宮の歓迎会も兼ねていつもよりちょっと良いものを食べ、トランプなどで遊び、寝る段階になって問題が発生した。


 すなわち部屋割りをどうするかだ。


 普通に男女で分かれようとしたのだが、高宮が俺と一緒がいいと言いだした。


「なっ…ダメですよ高宮先輩!襲われちゃいますよ⁉︎」


 北條が高宮に考え直すように言ってるが、お前が言うなと言いたい。


「でも篠崎君がいないと不安で…依存してるのは分かってるんだけど…」


「ぐぬぬ…」


 自覚あったのか。あと北條はその苦虫を噛み潰したような顔をやめなさい。


 我関せずだった俺達三人をおいて高宮と北條の議論の末、俺と高宮と北條、晴人と斉藤さんに分かれることになった。


 男女で分かれないならこうなるわなぁ。


「高宮先輩に手を出したらダメですからね!ど、どうしてもというなら私に…」


 晴人達と分かれた後高宮がなんか言ってたが、今日は疲れたので俺はすぐに夢の世界に旅だった。


 おやすみなさい。




 おっはー!


 目が覚めて最初に思ったことは腕が動かない。何事かと思って右を見れば高宮が、左を見れば北條がそれぞれ俺の腕を掴んでいた。

 


 やっふー!両手に花だぜぇ!



 二人を起こさないようになんとか腕を引き抜き、顔を洗いに行く。


 昨日は火災報知器を鳴らして魔物を引き寄せたのでしばらくは引きこもってた方がいいだろう。ベルが鳴った校舎だけでなく、他の校舎にも魔物が入り込むだろうし。


(完全に戦犯だな)


 そう自分のしでかした事に苦笑する。俺のせいで迷惑を被った人達は多いだろう。だが千田のグループを潰しておきたかった。これでしばらくは魔物だけに注意しておけばいい。無関係の人達には申し訳ないが。



(先に地獄で待っていろ)


 俺はこれからも他人を蹴落とすだろう。いつか野垂れ死ぬその時まで。文句はその後聞いてやる。



 その後起きてきたみんなと朝食を食べ、しばらく引きこもる旨を伝える。そもそも積極的に外に出るのは俺くらいだが。



 そのまま3日引きこもった。



 

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