だが断る
「だが断る」
即答である。
「…即答されるとは思いませんでした。理由を伺っても?」
「そんなん寝首かかれそうだからに決まってんだろ。お前神様に補正かけてもらったの煽動だろ」
神様に補正かけてもらった時にヤバそうな奴を覚えておいたが、こいつはその一人だ。煽動とか絶対ヤバい。
「あら、知ってましたか」
こいつ自分がトップじゃないと気が済まないタイプだろ。高宮を嵌めてるわけだし。
「同類にそんなことはしませんよ。もししようとしたら逆に裏切られそうですし」
同類認定されている件について。
「己優先で手段を選ばない辺りは共感できますわよ。そして敵は容赦なく排除できる点も」
そう言いながらクスクス笑う千田。奇遇だなぁ、俺もそう思っていたよ。
「対価が欲しいようでしたら私の体を自由にしていいですよ?」
こちらを挑発するように胸を持ち上げる。思ってたより大きそうですね。だがなぁ。
「高宮の方が好みだから結構です」
「…私が高宮さんに劣っていると?」
さっきまでの余裕そうな表情から一変。マジギレである。
「好みって言ったろ、高宮を意識し過ぎじゃね?」
高宮を嵌めたのも対抗意識からかね?当の高宮は顔を赤くしてアワアワしてるけど。なにがあったんですかねぇ(すっとぼけ)
「…いいでしょう。あなたにいつか思い知らせて差し上げます」
からかい過ぎたのか怒らせちゃった。テヘペロヤッベ。
「冗談だって、お互い不干渉でいようぜ」
こいつを敵に回すと面倒くさそうだから敵対したくない。散々荒らし回ったけど。
「ここまでされた上に組むのを拒否されたとしても?オイタが過ぎますよ」
ですよねー。
「どうしても敵対すると?」
「あなたが私の下に付くなら許して差し上げますわよ?」
そう言って笑う千田。ダメみたいですね(諦観)
「そっかー、敵になっちゃうかー。じゃあ死ね」
そう言って俺は千田に襲い掛かった。
「ッ!あなたたち篠崎君を止めなさい!」
いきなり襲い掛かった俺に驚いたようだがすぐに指示を出す辺り優秀なのだろう。まあ指示された奴らは突然のことに驚いて動けてないが。
俺が振り下ろしたスコップをなんとか避けた千田は忌々しそうにこちらを睨む。
「いきなりですわね。普通この場は解散してその後でやり合うものではなくって?」
「後に回したら何してくるか分からん敵が目の前にいるんだぞ。そりゃあ襲いますわ」
もう一度攻撃しようとした所で手下共が近づいてきたのでスコップを向けて威嚇する。ちっ、もうちょっと固まってろよ。
千田は俺が手下共の方を向いた隙に窓の方へ逃げて行った。
「はぁ、容赦ありませんね。まさかいきなり襲い掛かってくるとは」
「敵は潰せる時に潰しとかないとな」
こちらを囲もうとしている男子達の方を向いていると後ろから窓を開ける音が聞こえる。
「なら残念でしたね。この場は逃げさせてもらいます。この借りはいづれ返させてもらいましょう」
千田の方を見ると窓から出て、雨水の排水管に掴まりながら下へ降りて行った。落下の危険もあるのに迷わず行うくらいには度胸があるらしい。
「俺達は置いてきぼりかよ…」
男共はようやく逃げる為の囮にされたことに気がついたらしい。
「千田は行っちまったがお前らはどうする?魔物が来るまで俺とやり合うか?」
そう言ってやると男共は高宮の方を見たが、高宮が慌てて俺の後ろに隠れたのを見て諦めたのか、舌打ちしながら部屋から出て行った。俺や魔物と戦う危険を冒してまで高宮を手に入れたいとは思わなかったらしい。腰抜け共め。
「さて、千田達はいなくなったが高宮はこれからどうする?生徒会か運動部の奴らと合流するか?」
「篠崎君と一緒に居るのはダメなの?」
「俺が何したか見ただろ?自分の為に他人を蹴落とせる俺はみんなと仲良くしたい高宮と合わないだろ」
千田と同類だしなと自嘲気味に言うと高宮は考え込んでしまった。考えるのはいいが時間はあまりないぞ。
「とりあえずここから出るぞ。魔物が寄ってくる前に」
「うん。…でも少し待って」
そう言って高宮は(永遠に)倒れたままの上原に近づいて行った。
「謝って済むとは思えないけど私には謝るしか出来ないから…ごめんね。いつも支えてくれて本当に感謝してる。この世界でもあなた達のおかげで今日まで生きてこれた。今までありがとう」
泣きそうになりながらも堪えてお礼を言う高宮。それなりに長い付き合いっぽいし思うところがあるんだろう。
だけど時間ないって分かってる?(無慈悲)
すみません木下ですけど〜ま〜だ時間かかりそうですかね〜。




