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いいや限界だ、押すね!

「篠崎君…?」


「ん?高宮か。まだ無事だったようだな」


 魔物をトレインして下の階にいた奴らに押しつけ、ここのボスがいる部屋のドアを蹴り開けたら高宮がいた。ぱっと見無事なように見える。


 部屋を見渡すと高宮、偉そうな女子、手下っぽい男子達、倒れてる上原がいる。


「物騒な届け物ですね、頼んでないのですけど。代金も穏やかではありませんね」


「あんたがここのボス?」


「ええ、千田玲那と申します。あなたは…篠崎悠眞君ですね?」


「俺を知ってんのか?」


 なにこいつストーカー?


「ええ、知ってます。皇晴人君とデキている篠崎悠眞君?」


「テメェは俺を怒らせた」


 思ったより俺のホモ疑惑は広まっているらしい。俺はノーマルだ!


「冗談です。それでわざわざ届け物まで連れて来て何のご用です?高宮さんを助けにでも来ましたか?」


「高宮を助けるだと?ヒーロー気取りか?たった一人で何ができる!」


 蹴り開けたドアにぶつかって悶えてた男子が叫ぶ。


「俺はヒーローでも主人公でもねぇよ。もしそうならかっこよく高宮を助けるんだろうなぁ」


 そんなことは俺には無理だ。そもそも高宮を助けるのが目的ではないし。いや、助けれるなら助けるつもりだったけど。ぶっちゃけ無事だと思ってなかったし。


(ワンチャン上原が覚醒して主人公ムーブするかもとは思ってたが)


 血溜まりの中で倒れてる彼はもうツッコミを入れてくることはない。


「数は力です。第三勢力として化け物を連れて来たみたいですが多くて十体ほどでしょう?創作の中の主人公みたいに無双してみますか?」


 暗に出来るわけないだろうと目が語っている。俺も出来るとは思ってねぇよ。


「別に俺が直接手を出す必要はないだろ。数が足りなければ足せばいい」


 そう言うと千田が顔を顰めた。


「まさか生徒会か部活棟の集団辺りを味方につけたのですか?」


 なんか検討違いなこと言い出した。正攻法で数を集めるならそうなるのか?考えもしなかったわ(コミュ障)


「女一人救うために他の集団を味方につけて連れてくる。まさに主人公のしそうなことだな。そんなこと俺に出来るわけないだろ!」


 そう鼻で笑ってやると千田は訝しむような表情になった。


「ならどうやって数を集めるんです?また走って他の巣穴から化け物を連れてでもきますか?」


「魔物を連れてくるつもりなのは正解だが走ってってのは間違いだな。手間がかかりすぎる」


 そう言いつつ廊下に出る。


「はっ!イキってたくせに逃げるのかよ!」


 バカがなんか言ってるが無視して目当ての物の前に来る。


「そもそも魔物は人間を見つけると襲い掛かってくる。なら居場所を教えてやれば勝手にやってきてくれんだろ」


「あなたまさか…」


 俺が何の前にいるかを見て千田は何をしようとしているか気づいたようだ。


「いや〜一度押してみたかったんだよね」


 俺の前には火災報知器。小学生のお調子者が押そうとするが結局押すことはないやつだ。


「やめなさい!」


「いいや限界だ、押すね!」


 ジリリリリリリリリ!


 結構固かったスイッチを押すと鳴り響くベルの音。



 私達はここにいまーす!

 元気でーす!



「これでその内魔物どもがやってくんだろ」


「やってくれましたね…」


 千田が溜め息を吐きながらそう零す。思ったより怒ってないな。


「まぁいつかは化け物共にバレるとは思ってましたから。建物を拠点にしている時点で時間の問題でしたし」


 まぁ無人を装っても無理があるよな。二階のバリケードを越えれば即分かるし。


「私は撤退するとしましょう」


 千田はあっさりとここを放棄すると言ったが男共は納得できないようだ。


「はあ⁉︎まだ何もいい思いをしてないんだぞ!何の為にお前に従ってたと思うんだよ!」


 高宮とヤることだけ考えてた男共が喚くが千田はあっさりした態度だ。


「私はと言ったでしょう?貴方達は好きにしていいですよ。篠崎君を排除して高宮さんを捕らえるのもお好きにどうぞ。時間がかかり過ぎると化け物共が押し寄せてくるとは思いますけど」


 そう言われると男共は黙った。根性なしが。


「この校舎にいる人達は押し寄せてきた化け物達に蹂躙されるでしょう。どんな気持ちですか?高宮さん一人を救う為に何十人と犠牲にするのは?」


 お前がやったことは正義ではないと嘲るように言って来たが、そんなことは分かっている。


「いや、そもそもこの校舎の連中を削るのが目的だったし、予定通りとしか」


「は?」


 千田だけでなく高宮や男共も呆気に取られたような反応をした。そんなに意外だったか?


「高宮達のような人助けするような集団ならともかく、自分の欲望を優先して人を襲う集団なんて害悪だろ。いつ俺達も襲われるか分からないからな。先制攻撃させてもらった」


 まぁ俺も好き勝手やってるし、邪魔になりそうだからって人を襲わせてるから同類ではあるんだがな。


「ふぅ、ヒーローに邪魔されたかと思いましたが、同族によるナワバリ争いでしたか」


 なんか千田が上手いこと言ってる。しっくりくる言い方だな。

 のんきにそんな事を考えていたが次の言葉は予想出来なかった。




「篠崎君、私と組みませんか?」



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