ラジオ体操(替え歌)
区切りが悪いので短めです。
新しい朝が来た。絶望の朝だ。
悲しみに心閉じ、部屋に閉じこもる。
大半の人間にとってはそんな感じなのではないのだろうか。今日は本棚を動かすという重労働をする予定なので、準備運動としてラジオ体操をしながらそんなことを考える。
晴人達にも手伝ってもらおうと思って頼んでみたら、重労働だろうに三人とも快諾してくれた。
そんなわけで黙々と作業をこなしていたのだが、やっぱ疲れるわこれ。女性陣もかなり疲れているようだ。
「とりあえず休憩しようぜ。流石に疲れた」
「そうだね。斉藤さん達も休憩にしようよ」
全体の三分の一ほどの窓の前に本棚を移動させたところで休憩にする。俺や晴人はまだ余裕があるが、女性陣は大分お疲れだ。よく文句も言わず働いていたな。俺はもう嫌になってきたが。
「もう今日は疲れたし、この辺でやめとかね?」
「ダメ」
「ダメです」
「ダメですよせんぱい」
まさかの全否定。何故だ。
「何故って、また侵入されたらどうするのさ」
「なんで最初に言い出したせんぱいが嫌になっているんですか…」
どうやら昨日ゴブリンに侵入されたことを気にしているらしい。あと北條よ、なんでお前達は嫌にならないだよ。
「そう言われてもな。ぶっちゃけこれも気休めじゃね?ゴブリンが何匹も集まれば本棚も押し倒せるだろ」
「何もしないよりはマシでしょ。少なくとも一匹じゃ無理だろうし」
初日にやっておくべきだったね、と晴人が迂闊だったと後悔するように言う。
確かにゴブリンからしたら窓は高い位置にあるし、わざわざ窓を割って本棚を倒そうとはしないか?協調性も無さそうだし。
その後、ちょくちょく休憩を挟みながらもなんとかその日の内に本棚を動かすことができた。女性陣も休んでていいと言ったが、自分達の安全に関わるからとヘロヘロになりながらも最後まで作業していた。根性あるな。
その日は疲れてすぐ眠ってしまったが、窓を塞いで少しは安心したのか、司書室から出て図書館で過ごすことも増えた。
まぁ俺が「ゴブリンはともかくオークなら余裕で本棚を倒せるよな」と言ったらまた司書室に引きこもるようになってしまったが。
余計なことを言ってしまったが、本を選ぶために部屋から出るようにはなったので、以前よりは安心したのだろう。
そんなわけでここ数日は主に読書をして過ごしていた。
そして異世界に転移して七日目。俺達は辺り一面白一色の空間にいた。




