肉食系女子
短めです
「お邪魔しました」
部屋の中の様子を確認したオレはすぐにドアを閉めた。顔を赤くしてる北條を促して元の部屋に戻ろうとしたがすぐにドアが開いた。
「待ってよ悠眞!なんで閉めるの!」
いつになく焦っている晴人が掴み掛かってくる。
「いや、閉めるだろ。悪かったな邪魔をして。俺と北條は別の部屋で寝るから後はごゆっく…」
「違うから!しないから!変な気を使おうとしないで!」
俺の言葉を遮って晴人が叫びながら俺を揺さぶる。いつになく荒ぶってんな。
「それもどうなん?斉藤さんに恥をかかすのか?」
「うっ…」
俺を揺さぶるのをやめて晴人が呻く。
「それをせんぱいが言うんですか?私に恥をかかせた癖に…」
北條が突っ込んでくる。言うなよ。自分のことを棚に上げて晴人をからかってるだけだから。(人間のクズ)
「あの…、茜ちゃんと篠崎先輩はなぜここに?」
慌てて着たのか少し服装が乱れている斉藤さんが聞いてくる。
「北條から二人が考えてたことを聞いて、晴人なら手を出さないと思って様子を見に来たんだが…」
斉藤さんが晴人を押し倒しているとは思いませんでした。意外と肉食系なんですね。
「茜ちゃん…」
「あはは…。やっぱり急過ぎて警戒されちゃった。自信あったんだけどね…」
「唐突に目の前に御馳走が現れても飛びついたりしないだろ。普通は罠を疑わね?晴人は御馳走のほうから飛びついてきたみたいだが」
自動捕捉型罠とか何それ怖い。
「確かに打算もありましたが誰にでもするわけではありません。晴人先輩だからしようと思ったんです。そこだけは分かって下さい」
顔を赤くしながらもはっきりと口にした斉藤さん。これって告白では?
「…ありがとう。気持ちは嬉しいけど現状では受け入れるわけにはいかない。生き残れるか分からないしね」
「…はい。今はそれでいいです」
キープ宣言とはクズですねぇ。俺は北條に返事すらしてないけど。(同罪)
「とりあえず今日はもう寝ましょう。色々ありましたし、流石に疲れました」
事の成り行きを見守っていた北條が就寝を促す。確かにいきなり異世界らしき所に飛ばされ、魔物と戦ったり、迫られたりと色々あった。非日常に興奮してて気付かなかったが、肉体的にも精神的にもかなり疲れている。さっさと休むべきだろう。
「そうだね、僕も疲れた。じゃあ僕と悠眞は向こうの部屋で寝るから。おやすみ斉藤さん、北條さん」
「おやすみ」
「はい、おやすみなさい先輩方」
「おやすみなさい」
こうして長かった一日が終わる。




