物置でゲームを見つけたら、とりあえずやってみる
「っ!なんでですか!私じゃダメですか!胸があまり大きくないからですか!」
俺の返答が予想外なのか北條が詰め寄ってくるが無表情で目を合わせると勢いが弱まった。
「…私の体じゃ不満ですか?見捨てないで下さい。何でもしますから」
ん?今なんでもする(略
縋り付いてきた北條の体には別に不満はない。抱けるなら抱きたい(本音)
ただなぁ。
「対価に体を差し出せるならその辺の男に守ってもらったらどうだ?お前ならかなりの男が釣れるだろ。俺は女を抱くために命をかける気はないが」
出会ってまだ大して日が経ってない男に体を差し出せるなら見知らぬ男にも差し出せるだろ。なんなら魔物相手でも従順にしてれば殺されないんじゃね?
「…せんぱいは私が嫌いなんですか?」
涙目+上目遣いで縋るように見上げてくる北條は非常にそそる。(本音)
そんな心の内は顔に出さず返答する。
「いや、そんなことはない。どちらかと言うなら好きだし」
「ならなんでですか?」
「さっきも言ったが女を抱くために命をかける気はないからだ」
これは体を対価に守ると言う契約だろう。これだと他に何もしなくても体を差し出していれば守る義務が生じる。それだけならば俺は断るし、だからと言っていろいろ条件を付けたとしてもなおさら契約染みてくる。義務感で体を差し出されても嬉しくないし、気に食わない。
そう言ってやるとなぜか溜め息を吐かれた。
「真面目というか意外と純情というか。せんぱいってめんどくさいですね〜」
「やかましい。義務やら契約なんかで命をかける気はしないわ。それより友達だから仲間だからと言った理由の方が命をかける気になるわ」
友情はプライスレス。晴人しか友達いないけど。
「その仲間の中に私達は入っているんですか?」
「今の所入っているな。短い付き合いだがそう思えるくらいには4人で過ごす時間を気に入っている」
「そうですか〜。私も気に入っていますし、そう言ってもらえると嬉しいですが…」
北條は何事か考えた後、いきなり抱きついてきてキスをしてきた。急過ぎない?
「今のは守ってもらおうとするための対価なんかじゃなく、私がしたいからしたんですからね!せんぱいのことはキスしたくなるくらいには好きなんで!」
照れくさそうにしながら北條は笑顔を向けてくる。
守りたいこの笑顔。
「これでやる気が出るとは俺もちょろいなぁ」
少しして落ち着いたところで声をかける。
「とりあえず今のとこは見捨てるつもりはないからさっさと寝ようぜ。あと服着ろ」
「っ!」
下着姿なのを思い出したのか慌てて服を着ようとした北條だが、何を思ったのか動きを止めてこちらを向く。
「着ちゃっていいんですか〜?せんぱいになら私は見られても…」
「誘惑するならせめて顔を真っ赤にならないようにするんだな。無理してるのが丸分かりだぞ」
「…いけず」
むしろル〇ンダイブを決めない俺を褒めていただきたい。打算なしでやってたらマジで飛びかかってるぞ。
「いいからさっさと服着て部屋に戻れ」
「分かりましたよ〜だ。…ヘタレ」
ナメてんのか。部屋に来た時の殊勝な態度はどこ行った?
「それではせんぱい、おやすみなさい。…あっ!」
部屋を出て行こうとした北條が何かに気づいたのか動きを止めた。何事?
「どうした?」
「…部屋に戻るのはいいのですがもし薫ちゃんと皇先輩が…その…ヤってたらどうしようかと」
「……」
「……」
どうしよう?
「…やっぱ斉藤さんも晴人を誘惑するつもりだったのか?」
「…えぇ。私がせんぱい、薫ちゃんが皇先輩をそれぞれ繋ぎ留めようと」
「初手から体を差し出すとか思い切りが良すぎないか?」
「他に差し出せるものがありませんし、部屋で二人きりの時は見捨てられたらどうしようと不安でいっぱいでしたから」
まぁ確かに安全地帯とはいえ食料は少ないし、いつまでも引きこもっているわけにはいかない。だが北條と斉藤さんだけで食料調達が出来るかといったら否だろう。運が良ければ他の人達と合流できるかもしれないがその前に魔物に見つかればアウトだ。不安になるのも仕方ないか…?
「…とりあえず様子を見てくるか?」
「本気ですか?ヤってたらどうするんです?」
女の子がヤってるとか言うんじゃありません。
「まぁ晴人もすぐに手を出したりはしないだろ。あいつはあれで警戒心が高いからいきなり抱いてとか言われても裏があるって考えそうだ」
「…先輩達って疑り深いですね。何かあったんですか?」
「晴人に何があったかは知らん。俺はさっきも言ったが処女厨で寝取りも寝取られも嫌いなだけだ」
おとなになるって、かなしいことなのよ(トラウマ)
トラウマゲーを他のゲームと一緒に物置に置いておいた親父は絶許。うっかりプレイしちまったじゃねぇか。
「詮索はやめて様子見に行くぞ。ヤってたら…そん時はそん時だ」
大丈夫だよね?エロゲー展開になっていないよね?
不安になりながらも生活部屋前に来て耳を澄ます。しかし防音が効いているのかよく聞こえない。ドアノブを回すとカギはかかっていない。いや、カギはしろよ。
内心でツッコミつつドアを少し開ける。幸い?話し声はきこえるが嬌声なんかは聞こえない。
安心してドアを開けた俺達の前には晴人を下着姿で押し倒していた斉藤さんの姿があった。
積極的ですね斉藤さん。




