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ごみ箱

作者: 富山晴京

通学で公園を通りかかると、恐ろしく臭った。すえたようなにおいを相当に刻したようなにおいで、呼吸さえままならないぐらいであった。

 その匂いは、ごみ箱のあたりからする。

 一体何を捨てたらこれほどまでに臭うのか。それが気になった僕はごみ箱を覗いた。

 ごみ箱の中に入っていたもの。

 手。足。腕。胴。

 それは、人間の体の一部であった。


 午前六時ごろ、ごみ箱の中から遺体が発見された。

 本来ならば、今日は休日であったのだが、事件が発生しては仕方なかった。俺は警察の人間だ。こういう時には出なきゃならんものと決まっているのだ。

 話を聞いてみると、胸糞の悪くなるような事件であった。

 それから俺たちはいろいろと調べて、この事件は思った以上に厄介なものであるとわかった。

 まず、ばらばらになった体には、引きちぎった後があるということだった。

 これは機械の力があれば可能だ。

 ところが、どうやら機械で固定したにしては、肝心の固定部分に見られるあざのようなものがないようだった。これは、損傷を残さない機械を探す必要性が出てきた。

 それからもう一つ。この公園には監視カメラがあり、その監視カメラはごみ箱のあるところを映していた。

 監視カメラは壊されていなかったため、二十四時間の映像はとれていた。

 しかし、このごみ箱に死体を捨てたものの姿は、映っていなかった。


 その後、何度も調査を続けた。

 第一発見者の学生が犯人という説も疑った。

 というのも、被害者が第一発見者の学生と同じ学校に通う生徒だったからである。

 これなら、怨恨等の可能性がありそうだった。

 しかし、肝心の捨てるシーンもなく、また体をどう引きちぎったのかもわからず、とうとう逮捕できないでいた。

 

 捜査を始めて、一週間がたった。

 ごみ箱に捨てられた、バラバラ死体が相次ぐようになった。

 どれもこれも、同じ殺害方法。同じ状況であった。ごみ箱に捨てられているところまで。

 犯人を捕まえなければならない。しかし死因さえわからない。

 殺人であることは間違いないのだけれど、そのほかは何もわからない。

 その間にもどんどん人は死んでいく。

 警察は混乱し始めた。

 

 或日のことであった。

 一人の科学者が警察へとやってきた。

 何やらいろいろと理解しがたい、難しい理論のようなものを言っていたが、要約するとこうであった。

 一連の事件は超能力によるものであり、犯人は第一発見者の学生であると。

 いわく、この超能力というのは十代に発生しやすいと。そして、それはたまったフラストレーションの爆発によっておこり、その矛先が例の被害者たちに向いたのだと。

 そしてこの超能力は、かなり強力なものであり、逮捕したところで被害者は襲われ続けるということ。

 科学者の結論はこうであった。

 これはもはや、警察の手には負えない。我々にしか何とかできないと。

 それでとうとう、科学者たちはその超能力少年のもとへと向かった。

 ところが、やはりというべきか、話にならなかったという。

 そもそも、少年は超能力の行使を自覚していなかった。

 自覚していない、そのうえ実在するのかどうかもわからない殺人方法で犯した殺人の県議など、無いも同然である。

 だが、ある時のことであった。

 その第一発見者が遺体で発見された。

 発見場所は自宅であった。

 首をねじ切られていたという。

 なぜごみ箱に捨てられていないのか、それは疑問であったが、引きちぎられているという点において、ほかの被害者と同様であった。

 それについて科学者はこう結論付けている。

 彼は自らの罪に無意識で気づいた。であるから、無意識に自らを罰したと。


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