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【D.S.(ダズ)】~過去と未来の交わる場所~  作者: 月代ユカイ
第一章 現実世界
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第8話 坊主と制裁

放課後、窓から瑠花(るか)がヤンキー女達に連れて行かれるのを見かける。近くにいた空音(そらね)に声をかけると物凄い勢いで駆けていった。俺も助っ人にメールをしてから後を追う事にする。


着いた先は旧体育館の女子更衣室。ここはヤンキー女達の溜まり場で普段は誰も通らない。既に扉は閉められており、中からは瑠花(るか)の泣き声と空音(そらね)の激しい口論が聞こえた。


瑠花(るか)がいったい何をしたって言うのよ。さっさと出しなさいよ」


「こいつ生意気なんだよ地味で目立たないゴミ女だったクセにいきなりシャレこんで翔流(のぼる)の彼女なんて許せない。制裁だよ制裁」


瑠花(るか)は今までコツコツ人の見えない所で苦労を積み重ねてきてやっと今、幸せになれたのにそれを壊そうとするなんて絶対許せない」


「じゃあ瑠花(るか)の代わりにお前が制裁を受けろよ。親友なんだろ?このバリカンでお前が頭を丸めろ……簡単だろ?くふふふ……」


「えっ?………うん、わかった。その代わりに瑠花(るか)にはもう二度と手出ししないって約束してよ」


「アタイは約束は守るよ」


「やだよ。ダメだよ空音(そらね)ちゃんやめてー」


俺も必死に扉を叩いているがびくともしない畜生。バリカンのスイッチが入ると同時に後ろから声がする。


大地(だいち)そんなんじゃ駄目だ。ちょっとどいてろ」


ドゴーンと凄い音と共に扉が吹っ飛ぶ。

扉の向こうにはヤンキー女3人衆と大泣きの瑠花(るか)、バリカンを片手に構える空音(そらね)がいた。


「間一髪って感じだな。……ってか大地(だいち)瑠花(るか)が危ないだけじゃ場所わかんねぇよ随分捜したんだぞ」


影の正体は翔流(のぼる)であった。


「あっ悪い悪い。でもお前に声をかけといて良かったよ」


翔流(のぼる)は女三人衆を睨み付けて怒りを露にする。


「お前らなんで瑠花(るか)にこんな酷い事してんだよ。事と場合によっちゃ容赦しねぇーぞ」


「にっ逃げようよ姉御」


逃げ出そうとしている子分の女をよそにリーダー格の女が対抗する。


「こいつら最近、出しゃばってんから落とし前なんだよ。てめぇは邪魔すんじゃねぇ」


そう言うと今度は空音(そらね)翔流(のぼる)に話かける。


翔流(のぼる)君。これは私達の問題だから。私がボウズになれば二度と瑠花(るか)には手出ししないって言ってくれてるし、制裁は……私が受ける」


なるほどと言った顔の翔流(のぼる)空音(そらね)に近づき言う。


「そう言う事なら自分でやるより他人がやった方が綺麗に出来るだろ。俺が上手にやってあげるよほらいくぜ」


空音(そらね)からバリカンを取り上げるとなんの躊躇(ちゅうちょ)も無しにスイッチを入れる翔流(のぼる)

何やってんだよ。それじゃ空音(そらね)が……。


「やっやめろ~やめろよ」


必死で叫ぶ俺をよそにバリカンが空音(そらね)へと迫る。


つぎの瞬間バリバリと勢い良く髪を切り裂く音が聞こえる。空音(そらね)の前には大漁の髪が落ちていた。


翔流(のぼる)なに考えてんだよ。これじゃ空音(そらね)が……」


恐る恐る空音(そらね)の方を見るとそこにはいつも通りの空音(そらね)がいた。あれ?じゃあ今の音はいったい………。


えっ?ええっー??目の前には坊主頭の翔流(のぼる)


「今回の件はどう考えたって俺の責任だ。俺のボウズ頭で丸く収めてくれないか?」


「あっあああ……」


流石のヤンキー女達も固まって動けないでいる。


「じゃあ帰ろうか瑠花(るか)大地(だいち)達も行くぞ」


翔流(のぼる)君。ごめんなさい。……私のせいで本当に……」


必死にで謝る瑠花(るか)に気にすんなよと(なぐさ)める翔流(のぼる)がいた。


その光景を後ろから見ていてカッコいいなと感じる俺。

空音(そらね)の方に目をやると空音(そらね)翔流(のぼる)の方をずっと見つめているのに気付く。俺が意地悪に聞いてみると……。


「あれっ空音(そらね)?さっきから翔流(のぼる)の事ばっかりずっと見てるけど、もしかして好きになっちゃった?」


空音(そらね)が慌てて俺を呼ぶと耳打ちをする。


翔流(のぼる)君の右後頭部に大きいハゲが………」


目を凝らして見ると十円ぐらいの大きさのハゲがあった。空音(そらね)はあれが気になってたのか。


「どうしよう。教えてあげた方が良いのかな?」


不安がる空音(そらね)。これ以上巻き込まれるのは嫌だった俺は逃げの一言を発する。


「いやあの大きさなら風呂の時に自分で気付くだろうし、他の人に指摘されるのは嫌だろうから今はそっとしておいてやろう」


「そうだよね。他の人に指摘されると傷つくもんね」


そしてその日は別れたのだが……翌日、学校に行くと猛ダッシュで空音(そらね)と俺に駆け寄ってくる翔流(のぼる)


「お前ら昨日、俺らの後ろ歩いてたんだから気づいてただろ?」


「いやー暗かったし私達、何も見てないよね?大ちゃん」


「おっおう。俺達は何も見てないし、知らないよ」


「まだ何の事かも言ってないのに見てないだの知らないだの言って二人ともちゃんと俺のハゲの事を知ってんじゃねぇか」


「わっ悪い」「ごめんなさい」


空音(そらね)と俺が同時に謝る。


「いやー自分で気付いた方がダメージ少ないかなって思ってさ」


「頼むから気づいたら言ってくれよ。お陰でクラスの皆から笑われまくるし最悪だよ」


横のグループが十円玉おはじきをしていて僕の十円が最強だと発言した途端、翔流(のぼる)が急にキレ始める。


「誰が最強十円ハゲだぁ~言ったヤツ出てこい」


この日から【十円】と【ハゲ】は翔流(のぼる)の前では禁句となった。


【回想終了】


目が覚めると……。

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