第79話 世界崩壊カウントダウン
翌日になると隊長が空音に催眠術の様な物をかけて虚ろな状態にしている。確かにこれから起こる事を想定するなら空音には眠っていて貰った方が都合が良いのだろう。
時間になり、約束の場所へ向かう。
「良く逃げずに来たね大地君。偉い偉いよウィヒッヒッ……」
仮面道化が現れる。
「約束だ。空音には手を出さないでくれよ」
俺が強気で言うと仮面道化が返す。
「勿論さ。僕と目黒君が入れ替わったあと、天界へ戻る手続きさえしてくれればな」
(目黒君。目黒君。聞こえているか?)
心の中で声が聞こえる。いつか夢で見たあの巨大な馬の影のやつ名前は何だったかな?
(えっと君は?)
(今、君には危機が迫っている。ロケットに隠された最後の力を使う時が来たようだ)
(最後の力って?)
(最後の力とは即ち……)
「さあこれから目黒君……君の魂は僕の物になるウィヒッヒッ」
「…………………」
「ウィヒッヒッ……さっきの威勢の良さはどうした。声も出ないとは情けないな。この儀式は太陽と月両方が沈んだ状態でないと使えぬ言わば禁術。さあ太陽が沈んだ月が出る前に始めるとするか」
仮面男と俺の体が光始め次第に重なって行く。完全に1つとなった瞬間の弾け飛ぶ仮面の男とロケット。
「ぐあぁぁぁ………きっ貴様何をしやがった?……この俺様にいったい何を………」
「ロケットの最後の力【終焉之生贄】持ち主の代わりにロケットの魂を生贄にする力」
「それだけじゃないはずだこの俺にここまでのダメージを与えるなんて」
(私だよナイトメア)
「きっ貴様はヘブライ・ライトノアお前の策略か」
(お前と私は今、同化している。この意味がわかるかな)
「貴様の力は能力の無力化と消失この俺から全ての力を奪い取る気か。許さん許さんぞ」
空音に向かって走り出す仮面の男。
「道ずれにしてやる死ね空音【神殺之剣・改】」
「ぐあぁっ」
間一髪の所で隊長が間に入り込み空音を救う。
「きっ貴様……退け。空音を……想像主を消し去りこの世界を………」
「退くのは貴様の方だ……【外部転送】」
「やっやめろーやめ……」
外界へと飛ばされる仮面の男。
「はぁはぁはぁ………手短に話す。奴の放った攻撃はどうやら致死性の攻撃らしく私はもう……長くは無い。私が倒れた今、この世界はゆっくりと崩壊へ進んでいる。残された時間は残り2日だ」
「たっ隊長」
「この世界は空音が作った世界だ。だが空音記憶はまだ封印されたままになっている。4人の【守護神】に会い空音の記憶の封印を解くのだ。完全に記憶が戻った空音であれば君を元の世界へ戻す事が出来るはずだ」
「隊長。お願いだ生きてくれ頼む」
「それは無理だこの攻撃は喰らった所から徐々に崩壊していく様で既に私の体の半分を蝕んでいる……もはや助からん。守護神はこの世界の違和感と共に存在している。空音の事を宜しく頼んだぞ大地君。さあ最初の守護神としての最後の務めだ目覚めよ空音の記憶」
空音の体が光ると目を覚ます。隊長の体が透けていき頭巾と包帯が外れて顔が露になる。こっ……この人はまさか。
「お父さ………お父さーーん」
空音が叫ぶと隊長はニコッと笑顔になり、消えてしまった。
「うぁーん……お父さんがお父さんが………ううぅぅ………グスッグスッ」
崩れ落ちる空音を今度は俺が抱きしめる。
「あああぁぁぁーーああぁぁぁーー」
泣いている空音。
「辛い思いをさせちゃってごめん。ごめんな空音」
首を横に振る空音。
「グスッグスッ……泣いてる暇なんてないよね。私が記憶を取り戻して大ちゃんの事をちゃんと送ってあげなきゃ」
立ち上がる空音。