第77話 仮面道化(後編)
朱音が屋根に上がると城址公園の方で爆煙が上がっている事に気付き急いで向かう。
ブブブブ……突如、聖司のから通信が入る。
グールアラートの音声ボタンをオンにしたようだ。俺達に状況を知らせる為に……。
「お前が愛をあんな目に会わせたのか。いったい何が目的だ」
「私の目的は即ち君たちの持つ天使之輪を頂く事」
「お前、リングコレクターだな仮面道化。愛の命を奪った事……絶対に許さないからな」
「人間の魂から天使へ生まれ変わる際に恋愛感情等の余分な物は消去されると伺っていたのですが、君は例外ですかね……ウィヒッヒッ」
「愛は……愛はな………俺の妹なんだよ」
「なるほど、それで合点がいきました。本当は海瀬さんについては殺す気なんて更々無かったんですよ。ですが能力を奪い取られて勝てない事を悟るとお兄ちゃんお兄ちゃんとあまりに気持ち悪かったんでね……つい胸のコアを破壊しちゃったんですよ。ウィヒッヒッ」
「てめぇは絶対に許さねぇ【限定解除】」
ドゴォーン
凄まじい音が辺りに響き渡る。
「ウホホホォーそれが君の切り札ってわけですね。海瀬君より、能力で劣る君がどうして【大天使】なのかずっと気になってました。この力は確かに……凄い……欲しい」
「【全身拘束】良いかコイツは天使はおろか神々にまで届く力だ」
全身が黒い鎖で拘束される仮面道化。
「コイツでトドメだ【天叢雲剣】」
「こっこれ程までとは……グゥワァアアアアー………」
ようやく城址公園入口まで上がってきた俺達。爆煙が消えると聖司は腕を高らかに上げ一人立っていた。その様子に安堵の3人だったが……
「仇は取ったぜ愛……ぐふぅ………なっなぜだっ」
「ウィヒッヒッ【想像錯覚】………ダメじゃないですか君の大切な妹の能力を忘れるなんて。酷いお兄様ですねぇ、罰として貴方の剣は頂いていきますよ」
聖司の右腕ごと切り落とし、剣を奪うとその場を逃げようとする仮面の男。聖司が最後の力を振り絞り左腕で男を掴む。
「悪いな冥土の土産も一緒に貰って行けよ。奥義【大自爆】」
城址公園の上部が激しい爆発により弾け飛ぶ。爆煙から影が出てくるのを見逃さなかった朱音が追撃に入る。
「逃がさない【高速追尾】【紫雷之刃】」
仮面道化と朱音の剣がぶつかりあった瞬間、朱音の大魔武器【雷刃】が無惨にも砕け散る。
「今、私は最高に気分が良いのだ。くだらぬ情で命を棄てるのは止めたまえ【目黒 朱音君】」
「わっ……私の【雷刃】が…………」
「貴様はいったい何者だ。何の目的でこんな事を繰り返す」
「ウィヒッヒッ………私の名はアルティマ・ナイトメア。この世界では【潮田 天真】って名前を使ってたけどね。元々は君たちと同じ天使号だよ。今は堕天してしまっているがね。目的は私にこんな屈辱を与えた神々を抹殺にする事」
「そんな事出来るわけが………」
「私はあの伝説の完聖体グールの右腕を取り込む事により無敵の体となり、この【天叢雲剣】を手に入れた事により、神々を殺す力を得た。出来るさ、殺り方さえ誤らなければな」
「…………」
「明日の17時に大地君と空音を連れてハゲ鷹山の山頂まで来い。そうすれば空音だけは助けてやる。もし破ったり、天界へ連絡したりすればこの世界は終わりを迎えるだろう」
闇に紛れて消えていく仮面道化。




