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【D.S.(ダズ)】~過去と未来の交わる場所~  作者: 月代ユカイ
第四章 【激闘】上級グール偏
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第75話 【最終決戦】VS完聖体グール

それから数日後のある日、朝起きるとグールアラートに通信があった。隊長からある。


目黒(めぐろ)君、朱音(あかね)君聞いてくれ、まずい事になった。グールの卵が孵化したのだが、結界が壊され逃亡してしまった」


「結界は厳重じゃ無かったんですか」


俺の問い掛けにアルディラ隊長が答える。


「結界はA級グールですら破壊できないほど強固な物だったはずなのだがすまない」


「俺達はどうしたら良いですか?」


「次の指示を待ってくれ」


隊長の通信が終わると今度は海瀬(かいせ)さんから全体に向けて通信が発せられる。


「隊長。報告します。逃げ出したグールは今、ハゲ鷹山の山頂付近にいます。またその他にも2体のグールが突然出現し、北東と南東の空からハゲ鷹山に向かって移動中。映像解析を開始します……えっ?嘘でしょ?」


「どうした海瀬(かいせ)君。何があった……」


「現在、ハゲ鷹山へ接近中のグールはドラゴングールとメテオグール何れもS級グールです」


海瀬(かいせ)君。この強力なグール達をゲートに封じ込めるのは難しそうだ。3体が接近した段階で通常の100倍の空間断裂に封じ込めてくれ」


「承知しました。もうじき3体がバッティングします。最大限の空間断裂まであと、3、2、1断裂成功です。先日の支給品に入っていた空間断裂でも使用できるカメラで映像を映し出しますので目黒(めぐろ)さんを至急こちらへ転送致します」


転送されるとみんなでモニターを確認することになった。モニターには人間ぐらいの背丈の羽が生え頭に光の輪をつけた白い体のグールと凶悪で大きなドラゴン型グール、隕石の様な丸い巨大なグールが映し出されていた。 


「隊長この白いグール見た目が天使みたいですが、もしかして……」


俺が言うとアルディラ隊長は頭を抱えて言う。


「考えたくないがコイツは伝説の完聖体グールの可能性が非常に高い。特殊な力はないが攻守速共に今までのグールとは桁外れに強いとされている。他の2体のグールもS級。ここで削りあってくれればいいのだが……」


ここで聖司(せいじ)が白グールの不自然な部分について気付く。


「なんかこの白いグール右腕が無くなっているみたいに見えるけど」


「よく気がついたな。この3体はまだ衝突していないから元々無かった可能性が高いが……」


痺れを切らしたのかドラゴングールが白グールにブレスを浴びせるが全く効果無し。白グールが飛び上がるとドラゴングールの首を手刀で簡単に切り落とす。


今度はメテオグールが空中から白グールめがけて落下していくが片手で軽々受け止めるとそのまま胴体を切り裂いてしまう。


この瞬間、2体のグールの生体反応は無くなり、残りのグールは白グールのみとなる。


「たった一瞬でS級グール2体が……何なんだアイツは」


あまりの圧倒的な強さに皆、鋤くんで動けないでいる。そんな中、隊長が声を上げる。


「敵は圧倒的なまでの力を持っている。だが我々もまた、これまでの戦いで多くの力を得た。これが最終決戦だ。突入するぞ」


「はい」


どうやら隊長には考えがあった様だ。先日の支給品の中にはアビリティ共有のアクセサリーがあり、つけている間は、補助スキルを共有出来るとの事。


つまり、朱音(あかね)の【風神之纏(フォローウェア)】、海瀬(かいせ)さんの【透視索敵(スカウトウインク)】、俺のバリアを全員で共有出来るアイテムなんだとか……これなら確かに致命傷を避けられるし、上手く行けば勝てるかもしれない。


そんな浅はかな考えの下、各自の思いを胸に突入する事になった。海瀬(かいせ)の【空間転送(ゲートオン)】により空間断裂内に入ると各々が白グールに向かって行く。


まずは聖司(せいじ)が先陣をきる。


「最初は俺からだ【超圧縮爆撃(グラビティフレアー)】」


白グール付近で激しい爆発が起きるが当然の様に無傷。爆煙に紛れて今度は朱音(あかね)が追撃する。


「次は私の番よ【高速追尾(スムーズセーリング)】【紫雷之刃(グレープレイド)】」


朱音(あかね)が特攻もなんなくかわし、軽くいなす白グール。

俺も弓矢で応戦するが全て打ち落とされてしまう。


「こうなったら奥の手よ。聖司(せいじ)、あいつをトラップで拘束して」


朱音(あかね)が意を決して剣を構える。


「わかったよ。朱音(あかね)っち【全身拘束(オールロック)】」


黒い鎖の様な物で全身グルグル巻きに拘束される白グール。


「行くわよ奥義【漆黒白雷神撃(カムイ)】」


白と黒の混在した雷が朱音(あかね)の刀に宿り一直線に襲いかかる。辺りには地響きが鳴り響くが白グールは鎖の拘束を破壊し、片腕て受けとめ朱音(あかね)を軽々と吹き飛ばした。


「こっ……こんな事って…私の【漆黒白雷神撃(カムイ)】が………」


自身の最強の技を軽々と受け止められた事もあり、朱音(あかね)は完全に戦意喪失。ガタガタと震えだし、泣き出してしまう。


聖司(せいじ)が追い討ちをかける。


朱音(あかね)っちの技を喰らってまともに動ける訳無いんだ。喰らえ【地獄之業火(ヘルサラマンダー)】」


激しく燃え上がる白グールだが……腕を振るうと拳圧で一瞬にして火は消え、聖司(せいじ)も吹き飛ばされてしまう。


「ぐうぅぅ……」


隊長が海瀬(かいせ)の【想像錯覚(イマージョン)】に紛れて攻撃を仕掛けるが簡単にかわされ吹き飛ばされる。


「ぐわぁ……こっこれ程とは……右腕が無くてこの力とは……こいつの強さはいったい」


近づいてくるグールを相手にどうにかしようと矢を打ち続けるが次第に距離を詰められてしまう俺。


次の瞬間、俺からロケットを奪うと白グールは握り潰す。ロケットの装飾石が砕け力が消失していく事がわかると狂った様に叫びまくる俺。


「あぁあああああ…………」


絶体絶命と思った瞬間、ロケットが物凄い勢いで辺りの物を吸い込んで行く。流石の白グールもその勢いに負けて吸い込まれて行った。

全て吸い終わると装飾石があった場所に白い石がはめ込まれていた。


「たっ隊長。これはいったい?」


あまりの出来事に戸惑う俺。アルディラ隊長にお伺いを立てると……。


「あの白いグールとの間には恐ろしい程の力の差があった。私にも良くわからないがこのロケットには不思議な力があって白グールが封印されたとしか思えない」


朱音(あかね)聖司(せいじ)もあまりの出来事に事態を飲み込めていないように感じた。


「あの白いグールどっかに消えちゃったけど、あんた何したの?」


「やっぱり目黒(めぐろ)っちって凄い奴だな」


満身創痍ながらもどうにか白グールを封印し、平和を取り戻す事が出来た。グール現存数は0となり、俺達の戦いの幕は降りた……はずであった。

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