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【D.S.(ダズ)】~過去と未来の交わる場所~  作者: 月代ユカイ
第四章 【激闘】上級グール偏
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第72話 愛の形(前編)

私が一番好きな話です。果たして大地は空音からのチョコ(愛)を貰えるのか?

受験から数日後……そこにはもう一つの戦いがあった。


今日は2月14日……そうバレンタインデーである。受験も一段落し、中学校生活の締めくくりとしての最後のビッグイベント。当然、俺が本命である空音(そらね)からのチョコをゲットを目論んでいる事は言うまでもない。


「ふーん、ふふーん、ふーんふ」


いつになく上機嫌で朝の準備を終えてキッチリ空音(そらね)と遭遇するであろう時間に家を出る。


「行ってきます」


いつもよりも早歩きで空音(そらね)を捜索する。


「目の前に空音(そらね)を確認……接近します」


まずは空音(そらね)に近寄り、軽く挨拶だ。


「おはよ。空音(そらね)、今日も良い天気だね」


「あっおはよう(だい)ちゃん。でも今日って曇ってるよね?」


あうぅ……朝イチから痛恨のミス。こりゃ浮かれてるのバレバレか?いや大丈夫だろう天気ぐらいだし気にしない気にしない。取り合えず話を反らさなきゃ。


空音(そらね)は受験どうだったんだ?」


「うん。自分では良くできたと思ってるよ。頑張ったしね。へへへ……」


それからも世間話はするけど、一向にチョコの話題が出ない。このままじゃ学校に着いちまう。痺れを切らした俺は仕方無く話題をバレンタインデーに持って行く事に……。


「そう言えば空音(そらね)。今日、なんの日か覚えてる?」


少し格好悪いが貰えないよりはいいだろう。


「あっそうだ。完全に忘れてたよ」


鞄の中をガサガサする空音(そらね)


「はい。これ」


そうそうこれだよこれ。俺が欲しかったのは。流石は空音(そらね)、良くわかって……。


「妹の海音(かのん)から……なんか手紙も入ってて本命っぽいよ」


違ーう。これじゃなーい。いや嬉しいんだけど、これじゃ無くてぇ……。


その後はチョコのやり取りも無く学校まで辿り着いてしまう。この感じは恐らく、照れてるな空音(そらね)は……きっと直接渡すのが恥ずかしいんだ。コンサートに誘ってくれた時も照れてたしな。うんうん、きっとそうだろう。


休み時間空音(そらね)を見ているが一向に動く気配なし。


「はぁー」


タメ息をついてるとクラスの女子何人かがやってきて一斉にチョコを手渡してくる。


「学芸会の時は色んな相談乗ってくれたし義理だけど、はい。お返し要らないからね」


「私も義理だからお返し要らない」


「私も私も……」


「私もいつも翔流(のぼる)君とお世話になっていますので義理ですが受け取って下さい。お返しは要りません」


瑠花(るか)まで?ついに俺にもモテ期が到来したのか?昼休みまでにクラスの大半の女子が来て気付けば15個も貰ってしまった。(海音(かのん)以外のは全部義理だが……)


しかし今だ本命である空音(そらね)からのチョコは貰えず……くれるのかすら心配なって来た。


そして放課後、そそくさと帰ってしまう空音(そらね)。クラスの女子が空音(そらね)の噂話をしている様だ。


「なんか空音(そらね)ちゃん予備校でイケメンに声かけられたみたいよ」


「そうそう。そのイケメン君って同じ高校受験した人なんでしょ」


「美人だとそんな出会いがあって良いわよね。本当に羨ましいわ」


ガーーーン。思わぬ伏線。良く考えると俺達って別に付き合ってる訳でも何でも無いんだもんな。ただ好きだって言う気持ちを共有しただけで……。


「ううぅ………」


きっと下駄箱に……空音(そらね)からのチョコが………最後の望みをかけて確認すると…………あった一つだけ入ってる。


「ったく……ビックリさせるなよな……ははは……はっ?」


チョコを見て驚愕する俺。


【dear大地 義理です。お返しは3倍でね from朱音(あかね)


結局、空音(そらね)からのチョコはゲット出来ずに落胆しながら家へと帰る事になった。


夕方になり、部活を終えた妹の夏希(なつき)が帰ってくると早速チョコの事で絡んでくる。


「お兄ちゃん只今。チョコは空音(そらね)お姉ちゃんからだけかな?少し寂しいんじゃないの……へへへ」


俺が紙袋を指差すと中身を見てドン引いている夏希(なつき)


「へっ?……へぇーー結構いっぱい貰ったんだね。あははは……勿論、空音(そらね)お姉ちゃんからのもあるんでしょ?」


「無い。空音(そらね)の妹の海音(かのん)ちゃんからのは貰ったが……」


完全に凹んでいる俺を哀れに思ったのか夏希(なつき)が声をかけてくる。


「まあ、元気出しなよ。ほら私からのもあげるからさ。はい」


「はぁ……結局、こうなっちゃうんだよな……いつも」


夕食を食べ終えて嫌な思い出を忘れようと布団に入った瞬間、夏希(なつき)から呼ばれる。


「お兄ちゃんお兄ちゃん大変。これ見てよ。家のポストに入ってたんだけどさ」

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