第62話 【死闘】VSファントム
「私は能力は物真似だ。今回は君のバリア系の能力をコピーし使用する。我々二人が盾となり、ファントムを向かえ打つ。それまでにより多くの情報を仕入れなくてはな」
そんな時にグールアラートが鳴る。
「私だ。海瀬君、何かあったのか?」
「大変です。ファントムが商店街に出現しましたしました。不意をついて【空間転送】を発動し、異空間へ閉じ込める事には成功しましたが閉じ込めて入られるのは残り3時間ぐらいです。早急にご決断を」
「よし全員集合だ」
全員集まった段階で作戦会議が始まる。
「まず、海瀬君。索敵はどうだった?」
「やはりダメです。消えている間には反応がありません。透視能力でも何も見えませんでした」
「次、聖司の方はどうだ?」
「こっちも進展無しです。愛が転送した空間には既にいくつかのトラップを仕掛けてますが、効果があるかは不明です」
「ではこれより現地へ乗り込む。敵のファントムはかなり厄介な能力を持っており、ヤツの矢は朱音君のスピードを持ってしても避けきれる物ではない。よって今回は目黒君と私が盾となり、向かえ打つ。朱音君と聖司は可能な限り、色んな技を試して欲しい。出来ればタイムアウトまでに何か倒す手掛かりを見つけたい」
「私はどうしたら良いでしょうか?」
「海瀬君はゲートの保持と我々の情報から敵の弱点を割り出してくれ」
「わかりました」
「朱音君は目黒君と聖司は私と行動を共にしてくれでは行くぞ」
転送されるとそこは洋風の大きな部屋でそこには不気味に浮いているファントムと被害者と思われる石化した人。
「よし作戦開始だ」
それぞれ別れて敵へと近づくがファントムもバリアに気付いているのか中々矢を打ってこない。
「遠距離攻撃【己火雷】」
剣先から赤い雷が飛んで行くが煙のように消えてしまうファントム。しばらくすると再び別の場所へ現れる。
「おいあっちに現れたぞ、お前もっと速く動けよ」
「そう言われても。朱音程速く動けないよ」
「よし技を放つぞ。【紫電之……(グレープレ……)】お前が邪魔で技が放てないじゃないか」
「そんな事言われても」
「もう良い私、一人でやるからお前は退いてなよ」
俺の後ろから前に出る朱音であったがファントムはこのタイミングを狙っていたかのように矢を放っていく。
「やっやばっ」
焦る朱音であったが矢が当たる瞬間にバリアが張られる。良く見ると朱音の体に俺のチェーンが巻き付いて繋がっていた。
「なんだよお前、こんな良い手があるなら最初から使えよな」
「俺だってわかってたら最初から使ってるよ。チェーンが付いていたのも能力が発動したのも全部偶然なんだ」
「よし、これで技が放てる【紫電之刃】……【白雷之制裁】……【漆黒之雷】」
大技を次々に放っていくがすり抜けて行くだけでダメージがあるようには感じず、朱音も悔しがっている。
「こっちも行くぞ。【超圧縮爆撃】」
ファントムは再び消えて別の場所へ出現する。
「これならどうだ【真紅之雷】』
再び消えるファントム。朱音は持てる技全てを出し尽くした様で落胆の色を隠せない。
「朱音君まだ落胆するのは早いよ。私の見ている限り、装甲破壊系の攻撃については攻撃が決まる前に消えて避けている事から弱点である可能性が高そうだ。ただ技を繰り出す前に消えられてしまってはどうする事も出来ない」
流石は隊長だ。避けながらでも良く観察してるな。あっあれっ?うわっ動き回っているとムニュっとしたものを踏んで転びそうになる。
「なんだこのムニュムニュしてる物は?」
「メグロっちそれはグール用のトリモチだよ。人間には引っ付かないから安心してよ」
「これって、これってもしかして………海瀬さん応答して下さい」
「はい海瀬です。目黒さん何かありましたか?」
「聖司がトリモチで捕まえたコバエを至急調べて下さい。もしかしたらファントムの正体に関係する重要な手掛かりになるかも知れません」
「わかりました確認しだい連絡します」
海瀬の通信が終わると隊長が声をかけてくる。
「目黒君、何かわかったのか?」
「確証はありませんが、なんとなく無敵のファントムの正体が掴めた気がします。朱音手伝ってくれ」
朱音に念波で作戦を伝える。
「本当にこんなのが効くのか?【紫電之刃】」
朱音の技により、瞬断されるファントム。元に戻ろうとするタイミングで思いっきりトリモチを投げつけると腹部へ大きな穴が空くファントム。
「やっぱりだ。このファントムはゴーストでも無ければ幻術でも無い。コバエ型グールの集合体なんだ」
トリモチにはコバエの様なものがビッチリとついている。このタイミングで海瀬からも通信が入る。
「皆さんわかりました。トリモチについていたのは超小型のグールで信じがたい事ですが一匹ずつ非常に硬い装甲で覆われています。まさかこれがファントムの正体」
「あとは朱音に任せるよ。まだ使ってない技あるでしょ?」
「言われなくてももうやってるよ【大静電」
ファントムが青いオーラに覆われて行く。姿を眩ますが青いオーラだけは消えずに漂っている。
「消えてなくなれハエどもめ【降己火雷】」
空から赤い雷が雨の如く降り注ぎグール達を殲滅していく。舞い上がった粉塵をロケットが吸い込んで行き気がつくと装飾石が赤くなった。
アジトに戻ると海瀬さんがご馳走の準備を行っていた。
「皆さんお疲れ様です。腕によりをかけてますのでもう少々お待ちください」
「S級グール撃破おめでとう」
「乾杯ー」
その日の宴は夜まで続いた。