第60話 【熱闘】料理バトル
翌日、大量の荷物を持ち合わせたメンバー達。瑠花に関してはキャリーバックで色んな物を詰め込んで来た模様。材料は家庭科室の巨大な冷蔵庫に保管された。
2時限目が終わり、調理実習へと向かう。さながら料理番組か何かのような感じでスタートする。
「空音も瑠花ちゃんも頑張ってぇー」
「朱音ちゃん何作るのぉー」
「春馬も大地も適当な物作るんじゃねぇぞ」
周りのヤジやら声援が聞こえる。空音や朱音は元々人気あるし、瑠花はイメチェン後かなり周りの好感度も上がり、声援も多くなったな。ウチラは批判の声ばっかりだが……見てろよ。
今回のテーマはご飯に合うオカズ。ご飯は給食室で用意されるとの事。これなら何とかなるか。開始のチャイムと共に各自調理に入る。俺は結局、未来の妻、真優美が絶賛したきんぴらごぼうを作ることにした。
しっかりと洗った牛蒡を皮ごとささがきにしていく。下拵えが終わった段階で現状を確認。
瑠花はやっぱり手際がかなり良いな作ってるのは魚介類のスープか何かか?あの包丁捌きは凄い。
そして空音はと言うとカラフルな野菜を細かく刻んで挽き肉と一緒に炒めていく………あの大量の玉子はあれか。
朱音はと言うと予想に反して野菜を適当な大きさに切って出汁で煮込んで行く。意外にも和食なのか?
春馬は何やってるのかわからんけど、宏樹は肉に包丁入れてステーキにでもするようだな。
俺も中華鍋に油を注ぎ人参とゴボウ・ニンニクと唐辛子味を整えたら調味料と最後にごま油で仕上げて……よし。
あとは付け合わせに味噌汁をつけて完成だ。
給食の時間小皿にそれぞれが作った料理が並べられる。
先ずは春馬の料理からだ……なんだこれ?
「春巻きのつもりだったんですけど、中身が出ちゃってハハハ」
「乾燥春雨を戻さずそのまんま使ってるみたいから噛みきれないし、味が全くないな……5点だ。やる気あるのか?次、宏樹」
落胆する春馬。自信の表情の宏樹。牛肉のステーキの様だが……
「うむ、この一口大のステーキは中々のものだが、上にかかってるこの甘いソースはなんだ?」
「それはチョコレート味のプロテインですよ。これが筋肉には最適でして」
自信満々で説明をする宏樹。
「うーん。こりゃプロテイン入ってなければ中々だったな30点。次、朱音」
「これはガンモと野菜の煮物か。野菜も煮崩れしてないし、柔らかいこの味はどこか懐かしく感じるな」
普段とは違い淑やかな感じの朱音。
「京風の煮物です。お口にあったなら良かったです」
魔王も満足そうな顔をしている。
「これは美味い。朱音は料理が得意なんだな。95点」
意外………あまりにミスマッチな料理だが現状トップ。
「次の空音はオムレツか。玉子の固さに中の野菜の甘さお肉のボリューム感……どれを取っても最高だろう。流石だな95点」
空音の料理は安定感あるな。
「次、目黒。これはキンピラか?大量の唐辛子と油、ニンニクとごま油の臭いがキツいが……ん?こっこれは………なんて美味さだ。どちらかと言えばお酒のツマミだが、この辛さに旨みは病みつきになる。どこで覚えてくるんだこんなもん。90点」
よし何とか行けたみたいだな。残るは瑠花の料理、真っ赤なスープ状の物だけどいったいこれは……?
「瑠花これはいったい何を作ったのだ?」
「魚介のレッドカレーです。私の一番得意な料理で一生懸命に作りましたご賞味下さい」
カレーはカレーだが、これは本格的過ぎる様な気も………スパイス調合から味付けまで全部自分でやった事にみんな驚きを隠せないでいる。以前、カレーが得意料理だと言って笑って連中も言葉がでない様子。
口に入れた瞬間、魔王の目から大量の涙が溢れ出る。
「あの先生……お口に合いませんでしたか?」
心配した瑠花が魔王に声をかける。
「違うのだ瑠花。私は今、天にも昇る程の喜びに満ちている。この料理はまさに……パーフェクトだ。御代わりをくれ今すぐにだ」
それぞれの料理が各机に少しずつ並ぶ。春馬や宏樹の料理は論外だが朱音や空音の料理は実に美味い。ただ瑠花の料理はやはり別格で口に入れた瞬間にみんな恍惚の表情に。
昼休みに入ると瑠花の話題で持ちきりに。
「朱音ちゃんも料理上手なんだねあれは何のお出汁使ったの?」
瑠花が朱音に聞いている。
「出汁は基本的には昆布で鰹節と隠し味でアゴ出汁を入れたんだ。結構自信あったのに瑠花ちゃんにあんな凄いの出されちゃうと見劣りしちゃうよな」
「あっいやその……すみません」
謝る瑠花を空音がサポートする。
「瑠花は私の料理の師匠だもんね。またレシピ教えてね」
「あぁー空音ちゃんズルい私も私も」
盛り上がる女子と裏腹に男子は妬み話が広まる。
「あんな美人で料理が上手い子がいたのになんでもっと早く気づかなかったんだろう」
「アプローチしとけば今頃はもしかしたら」
「相手が翔流じゃ……もはや勝ち目無いし、終わりだ」
ハハハ……後の祭ってやつだな。そんな事を考えていると空音が声をかけてくる。
「大ちゃんの料理も本格的で美味しかったよね。なんか男の料理って感じ」
「まあ、おつまみだけどな」
「先生もビールと合うってお題だったら断トツだったって言ってたしね。大ちゃんもやっぱり料理上手なんだね」
まあ、ビールとの相性は折り紙つきだからな。
「なんか空音に褒めれると嬉しいな。でも空音の料理だってすげぇ趣向を凝らしてたじゃん。子供が苦手そうなピーマンや椎茸なんかもスゲェ細かく刻んで大量に入ってたしさ」
「ふふふ……よく気づいたね。あれはお母さんがいない時に野菜の苦手な海音に美味しく食べさせる為のスペシャルメニューなんだ」
「なるほど、あれなら野菜入っている事なんてわからず食べちゃうよな。今度レシピ教えてくれよ」
「えっ?でも対した料理じゃ無いけど、良いの?」
「勿論だよ。お願いします」




