第59話 束の間の平穏
翌朝、登校時に空音に会う。
「おはよ、空音。あれっなんか少し雰囲気変わった?」
「あっ大ちゃんおはよ。昨日、美容院いったからかな」
「あっそうだこの前のスーパーカネオカでの不祥事のお詫び、まだだったよな。何が良いか決まった?」
笑顔の空音を見ているとホッとする。
「ふふそんな気にしなくて良いのに、でもまあ何かやってくれるんなら週末に買い物行くから荷物持って貰えると助かるけど」
「スーパーカネヤスはちょっと……」
流石にまだヤバイよな。
「違うよ。|大田原駅まで行ってアーケードで私の洋服とか見に行くの。ねぇ良いでしょ?」
「それなら問題ない。任せとけ」
無邪気に喜ぶ空音を見て少しだけ心が軽くなった。
学校に着き朱音が来たタイミングでグールの話を聞いてみる。
「朱音、ファントムって見つかった?」
朱音もこの件については包み隠さずに教えてくれる。
「いくつか痕跡は見つかったみたいなんだけど、本体の潜伏場所についてはまだわからないみたい。あと、はいこれ」
渡されたのはピンク色のボールの様な物。
「これはいったい何?」
「なんかグールに投げつけるとマーキングになるらしいんだ。出会った時には投げつけてくれってさ」
「わかったけど。何だか恐いな」
「私だって恐いけど、何も出来る事が無いんだから考えるだけ無駄だよ。あとは隊長達に任せよう」
確かに朱音の言う通りなのかも知れない。
「そうだな。何かわかったらまた教えてくれ」
「わかったわ」
授業が終わり、ホームルーム。魔王が教室へやってくる。
「起立・礼・着席」
「じゃあホームルーム始めるぞ。まず、明日なんだが家庭科の須藤先生が急用でお休みする事になったそうだ。私が家庭科の自習をお願いされたわけだがそんなもんやったってつまらん。本来、調理実習の日だったみたいだし、代表者6名で争って貰う事にする他の者はサポート件、見学だ」
相変わらず無茶苦茶を言うよな。こんなん選ばれたら最悪だよ。黒板に名前がかかれいく。
阿東 瑠花・鈴木 春馬・高橋 宏樹・日吉 朱音・富良野 空音…………瑠花や空音は本命。朱音は料理するイメージがないが、それに目立ちたがり屋の春馬や筋肉バカの宏樹ってそもそも料理なんて出来んのか?みんな見てる前で料理なんてごめんだぜ。公開処刑されれば良いのさ。
「ククク……ざまーみろ」
俺が小声で言っていると魔王が声をかけてくる。
「おい、目黒。何を一人でブツブツ言っているんだ。お前も代表なんだからしっかりとメニュー考えておけよ。じゃあホームルームを終わりにする」
へっ?俺も代表って………うわぁ一番下の見えづらい所に書いてあるし、マジかどうするべ。
材料費1000円じゃ大したもん作れなさそうだしな。家の物は使って良いみたいだだからお袋に材料分けて貰うか。