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【D.S.(ダズ)】~過去と未来の交わる場所~  作者: 月代ユカイ
第四章 【激闘】上級グール偏
55/87

第55話 【激闘】VS巨大グール(前編)

それから数日は平和な日々が続いた。まるでこれから起こる嵐の前触れの様に……そしてその日はやって来た。


プープープー……キュー……プープープー……キュー


グールアラートが激しい音が鳴り響く。


「超巨大なグールが南海岸に接近中です。至急向かって下さい」


急いで海岸に向かうと朱音(あかね)聖司(せいじ)が待機していた。


「お前いつも遅いぞ」


朱音(あかね)がイライラしながら俺に言う。


「俺にはお前みたいな機動力がないから仕方無いだろ」


口喧嘩をしていると聖司(せいじ)が間に入ってくる。


「二人共。そろそろ出て来るよ。用心して」


海の中からソイツはやって来た。ザバー……ザバー……ズシン……ズシン………海から巨大な黒い影が現れる。


「よし、(あい)。例の場所まで転送してくれ」


「承知しました」


次の瞬間、巨大なブラックホールが巨大グールと俺達を飲み込んで行く。


「えっなんだ?なんだ?」


慌てふためく俺に聖司(せいじ)が言う。


「落ち着いてよ。これは(あい)の【空間転送(ゲートオン)】あんな化物に暴れられたら修復不可能になってしまうので誰もいない異空間に転送してもらったんだ」


「それだけ今回のグールはヤバイって事ね。来るわよ」


荒野の異空間に見上げると10mはあろう巨大な岩壁の様なグールが目の前にいる。


「コイツは恐らくギガントグール。動きは鈍いが装甲が恐ろしく厚く固い。おまけに半端じゃないパワーを持っているのが特徴だよ」


「なにか対抗手段はあるのか?」


「装甲を破壊するまでは地道にダメージを与えてくしかない【大爆撃(ファイアーワーク)】」


次の瞬間、激しい爆発が起こるが無傷の巨大グール。


「固いな、隊長。(あい)を呼んでくれないか」


海瀬(かいせ)君なら既にそっちでスタンバイしているはずだが」


背後から現れる海瀬(かいせ)。いったいどこから?驚いている俺をよそに皆いっせいに動き始める。


朱音(あかね)っちと目黒(めぐろ)っちは敵の陽動を。(あい)はグールのコアサーチ頼む」


「わかったわ。行くわよ大地(だいち)君」


珍しく聖司(せいじ)の命令を素直に聞く朱音(あかね)。それもそのはず、この巨大グールを倒す為に皆必死なのだ。


「コアサーチを開始します【透視索敵(スカウトウインク)】……???」


「どうした(あい)?」


少し戸惑った様子の海瀬(かいせ)


「コアは頭部にあります………ですが体の割にはサイズが小さく頭部の中を常に移動しています。こんな不思議な個体は初めて……」


「要するに頭部破壊が必須って訳ね。行くわよ」


高速で動いてグールの周りを駆け巡る朱音(あかね)。グールが朱音(あかね)を目掛けて攻撃するが紙一重でかわす朱音(あかね)。グールは自分の手で顔面を強打し、倒れ込む。


「この巨大グール案外バカなのか?」


そんな事を考えていると巨大グールは立ち上がり、足をジタバタとさせ地震を発生させる」


その場で動けない俺達を踏み潰そうとするグール。間一髪の所で朱音(あかね)が飛んで来て俺達を移動させる。


「あんたらにも【風守之纏(フォローウェア)】をかけたから機動力は十分でしょ?頭の装甲破壊は頼んだわよ」


「よし、聖司(せいじ)行くか」


「汚名返上。見てなよトラップマスターの実力を見せてあげるから」


グールの周りに大きな魔方陣を描く聖司(せいじ)。次の瞬間グールの足から胴体まで地面へと沈んで行く。


「なんかグールがイキナリ沈んで行ったんだけど何だよあれ」


俺が話を聞くと当たり前の様に答える聖司(せいじ)


「何って【巨大沼のトラップ】だけど」


聖司(せいじ)の回答に一番反応したのは海瀬(かいせ)だった。


聖司(せいじ)君【沼のトラップ】は使い勝手悪いし、容量も大きいから置いてくるって話だったのに勝手に持って来たんですか?それに他のトラップはどうしたんですか?」


「へへへ……殆ど置いて来た。まあ使わないだろあんなの。それに役に立ったじゃん【沼のトラップ】」


確かにこのグールとの相性は抜群だ。嵌まってるから移動も出来ないし、頭部と腕だけが出ているからかなり狙いやすい。チャンスだ。


「それで序盤のグール戦ではあまり参加なさらなかったのですね。……呆れました」


完全に海瀬(かいせ)の信頼を失った聖司(せいじ)だが本人は平然としている。


「ははは……まあ良いじゃんか。よしそろそろ仕上げると行こうか【超圧縮爆撃(グラビティーフレア)】」


グールの頭部が激しい爆発に飲み込まれる。


「またそんな派手な技を……容量オーバーしても知りませんからね」


少々怒り気味の海瀬(かいせ)だったが、爆煙が引いてダメージの無さそうなグールに驚愕する。


「嘘ですよね?……せっ聖司(せいじ)君、手加減でもしたんですか?それともガス欠ですか?派手にやるにしても手加減はやめて下さいよ」


「いや手加減なんか一切してない。コイツいったい」


目を凝らして良く見てみると岩壁の砕けた部分から金属の様に鈍く輝いているグールの頭部が見える。


聖司(せいじ)さん、これは恐らく……」


「ああ間違いない。メタルグールのギガント版だ。こんな奴がいるなんて……」


暫し沈黙する海瀬(かいせ)聖司(せいじ)朱音(あかね)が痺れを切らして聞いてくる。


「いったいどうしたのよ」


話を聞くとグール図鑑にも載っていない新種らしい。硬質のメタルグールが突然変異で巨大化したのではないかとの見解だが捕獲するにしてもこの大きさにこのパワー、まずは倒す事だけ考えるのが先決か。


「通常のメタルグールの倒し方は?」


俺が質問すると海瀬(かいせ)が丁寧に教えてくれる。


「通常は加熱させて柔らかくなった所を叩いて倒すのですが……あの大きさにあの装甲の厚さで聖司(せいじ)君の【超圧縮爆撃(グラビティーフレア)】でもびくともしないとなると他の方法を考えないといけないかもしれません」


うーん。どうしたもんか……皆で悩んでいると朱音(あかね)から名案が出る。


「あのさ、さっき私が交わしてあのグールが自滅した時、顔を少し凹ましてる様に見えたんだけど、多少でも熱した状態で自滅を誘えば大ダメージが狙えないかな?」


「なるほど」と納得すると何やら周りにデジタルなパネル等を具現化し、計算を始める海瀬(かいせ)。暫くすると凛とした表情で前に立つ。


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