第5話 パワハラ
翌日は仕事だった為、会社へと行く。業務が終わり帰宅の準備に入っていると最悪課長の【平森】が声をかけてきた。
平森は小さくメタボな中年オヤジ。髪の毛は常にぐしゃぐしゃで期限が迫った仕事は下の人間にぶん投げて、失敗や機嫌が遅れた場合にはぶん投げたヤツの責任する最悪な上司。
今日は真優美に早く帰って来いといわれてるのに……こんな時になんだろう。嫌な予感しかしない。
「やあ目黒君。もう帰りかね」
「えぇ帰りです。明日、息子のお遊戯会でして準備で早く帰らなくちゃならないんですよ。ハハハ……」
平森の奴が俺の机の上に大量の書類を置く。
「次のプレゼン資料だ。笠原のヤツに頼んどいたんだが、アイツ急に休みやがって本当に使えないヤツだ。君が教育係なんだから責任取ってやっといてくれよ」
凄い見幕で怒る平森。
「えっといつまでに用意すれば宜しいですか?」
「明後日の朝までに作っといてくれれば良いよ」
「あの私、明日はその休暇を取っておりましてちょっと難しいと……」
俺の言葉に平森一段と口を強くして言う。
「だから明後日の朝までに用意すれば良いと言っているだろが。君も係長なんだからそれぐらいわかるよな?あと、残業とか休日出勤すると上がうるさいから絶対にするなよ。私はもう帰るからな」
遠回しにサービス残業や家に持ち帰り仕事しろって言ってるようなもんだ。家のパソコンは壊れてるしこりゃ……サービス残業確定だな。
みんな俺の事を哀れそうな目で見ながら帰っていく。
恐る恐る真優美に電話を掛けると……。
「あっもしもし真優美?真優美と優大の事は本当に大切に思ってるし愛してるけど、今日残業になっちゃってその……終わるまで帰れなくなっちまった。本当にごめん」
電話越しに真優美がキレる。
「てめぇふざけんなよ。今日、私出掛ける予定あるし、明日の準備もあるから早く帰れって言っといたよな?私の貴重な時間を奪うような真似しやがって……暫くは小遣い無しだからな」
「わっ……わかったよ。ごめん」
「あと帰ったら部屋の片付けに食器洗い・優大の服の洗濯にアイロン掛け、洗濯も乾いてるから畳んどけよ。寝る時間なんて無いからな……ガチャ」
はぁ……ツイてない。でも落ち込んでる時間はないよな……やらなきゃ。ただひたすら仕事に打ち込み時間が過ぎていく。
よし終わったなんとか終電までには帰れそうだな。電車に座ると急に眠気に襲われる。そしてあの夢へと落ちて行った。