第46話 退魔武器
そこに先程の男の子がかけよってきて話に入ってくる。
「そいつの話は本当だぜ朱音っち。俺、間近で見てたけど、まあまあやるみたいだよコイツ」
なんだこいつは?助けてやったってのに太々しいと言うか何と言うか。それに朱音っちって朱音の事だよな?知り合いなのか。
「慣れなれしいわよ。このナルガキ(ナルシストガキの略)が。だいたいアンタがいたんなら私、急いでくる必要無かったじゃん。あぁあ走って損した。罰としてジュース奢りなさいよ」
「そんな殺生な。俺と朱音っちの仲じゃない」
この男子学生は完全に地雷を踏んだらしい。朱音の目付きがドンドンつり上がっていく。この感じ……なんか真優美に似ている。
「はあ?私と誰の仲だって……お前ふざけた事を抜かしてんじゃねぇよ。だいたいお前はいつも何様だ?ガミガミガミガミ…………」
ヘラヘラしていた男子学生だがドンドン俯き顔になっていく。はぁ……なんか昔の俺を見てる様で切ない。
「私とあんたの関係はなんだっけ?ほら言ってみろよ」
朱音が言うと申し訳無さそうに謝る男子学生。
「ぼっ僕と朱音さんの関係は主人と飯使いの関係です。それ以上は何もございません。誤解を招く様な発言をしてしまい申し訳……ございませんでした」
震えながら謝罪をする男子学生。その様子を見てニヤニヤと笑っている朱音。相変わらずの徹底的な女王気質に寒気すらする。
飯使いとか何とか言ってたが、グールの事も驚いて無かったし、コイツはいったい何者なんだろう。朱音に聞いてみる事にした。
「なあ朱音。コイツはいったい誰なんだ?グールの事も知ってるみたいだったし」
俺が質問すると男子学生が睨みつけながら反発してくる。
「お前なんかにコイツ呼ばわりされたくない無いんだけど。ってかお前こそ誰?ハハハ……」
「お前は黙ってろよ。話がごちゃごちゃになるだろ?大体、上級生にお前呼ばわりするなと散々言ったわよね。お前本当にわかってんの?」
「はっはい。すみませんでした」
高笑いしていた男の子だったが朱音の言葉に撃沈する。
「コイツは私と同じグール殲滅隊Gepの【石塚 聖司】だよ。ほらアンタも黙ってないで自己紹介くらいしなさいよ」
それでも頑なに話す事を拒む聖司。朱音の話によると聖司はお調子者で適当。学年は二年で朱音と同じタイミングで転校して来たらしい。グール殲滅の役割としては主にサポートでトラップ設置とグールの装甲破壊?を担当しているんだとか。
見た目は茶髪のツンツン頭に尖った目。身長は150mぐらいと低く体型はやせ型。
「宜しくな聖司」
「………」
俺が握手しようと手を出すが叩かれてそのまま下へと帰ってしまう聖司。
「何よアイツ感じ悪いな。まあ、普段はあんな感じじゃ無いからさ……ハハハ。そう言えばどうやってグール倒したの?」
朱音が俺に聞いて来る。
「化物に襲われた時、コイツが耀き出して動きを止めたんだ。そうしたらどこからともなく、化物を叩くように言われて気付いたら粉々になってた」
ロケットを手に取りジーっと観察している朱音。
「ふーん。ずいぶんと傷だらけのロケットペンダントだけど、こんなので本当に倒したの?」
「元の世界で無くした物なんだけど、こないだ図書室で偶然発見したんだ。ほら、この裏面のMYDって文字、これは未来の家族のイニシャルなんだ」
「元の世界で無くした物がこの世界に紛れ込むなんてあるのかな?まあ何にせよこれが貴方の退魔武器なのね」
「退魔武器?」
朱音曰く、この変哲の無いロケットだがこの世界では退魔武器らしい。この世界では退魔武器を使用する事により、グールに対抗出来る様になるとの事。
「アルディラ隊長なら使い方とか特性を鑑定する事が出来るから見て貰いなよ」
放課後、再び朱音の家へと向かう事になった。




