第45話 グール強襲
プープープー……キュー……プープープー……キュー
突如グールアラートが激しい音が俺の頭の中に鳴り響く……
「上空方面にグールの気配あり。警戒してください」
あの化物が学校に?ここは3階で最上階だから上って言うと屋上しか……。
ブブ……ブブ……。
グールアラートに今度は通信が入る。朱音だ。
「グールが学校付近に現れたみたい、私は今コンビニまで来ててすぐには向かえないから大地君先に行って逃げないように見張ってて……じゃね」
「あっ……ちょっと朱音?」
俺が行かなきゃなんないのか?あんな化物に出くわすのはもうごめんだと思ってたのに……。
ああ……逃げたい……逃げ出したいけど朱音から見張っとけとか言われたし、もしも鈴政みたいに襲われてる人がいたら大変だ、取り合えず屋上の様子を見に行く事にした。
恐る恐る屋上の扉の隙間から様子を伺うと学ラン姿の小さな男の子がこの前の化物に追いかけられていた。
助けないと……と思ってはいるのだが足がすくんで動けないでいる大地。逃げ惑う男の子が転んで絶対絶命の所で勢いよく扉を開ける。
「止めろ化物め。俺が相手になってやる」
こちらに気づき振り向く化物。勢いよく俺に向かって走ってくる。覚悟を決める大地。
「あああああぁぁぁーー」
あまりの事にただその場で叫びながら立ち尽くす事しか出来ない大地。
全身は黒に包まれており鋭い目付き。頭には2本の角と言うか触角と言うかの物があり、裂けた大きな口に鋭い牙。そんな化物は俺を2~3m吹っ飛ばすと、俺の上に馬乗りになり、今にも噛みつこうと口を大きく開く。絶対絶命………万事休すとは正にこの事を言うのだろう。
あぁ……なんで俺こんな所に出て行っちゃったんだろう。普通に考えれば無理なのわかってたはずなのにさ。ヒーローになれるんじゃないかとか思ってたのか?馬鹿だろこんなのに勝てる訳ないのにさ。
せっかく過去の世界に戻って来たのにこんな化物に喰われて終わりなんて……このままだと鈴政と同じ様にみんなからも忘れられてしまう……後悔しても遅いもうすぐ俺は消えるのだ……そう感じた瞬間ポケットの中に入れていたロケットが強烈に耀く。
光に照らされた瞬間、グールが氷の様に動かなくなる。目の前の化物の異形に恐怖していると、誰かが囁く声が聞こえる。
「すぐにグールを叩くのです。力の開放された今なら貴方の力でも簡単に砕く事が出来るはずです」
なんだが良くわからないが取り合えず、停止しているグールを叩いて見ることにした。
「この化物め。俺の拳を喰らえぇー」
体にパンチが当たると粉々に砕けていくグール。
「あっ……」
驚く大地。一瞬にして粉々になったグールは星屑の様にキラキラと輝きを見せながら消えてしまう。
「ふぅーー危ねぇ。マジで死ぬかと思ったな」
グールを倒し、安心してその場で寝転がる大地。そこへ朱音が息を切らしてやって来る。
「はぁはぁはぁ……あれっ?グールは?見張っとけって言ったのに逃げられたの?」
少々怒り気味の朱音。こっちの事情もわかってない癖に言いたいことを言って来やがる。
「グールは俺がやっつけたよ。間一髪だったけどな」
「やっつけたってあんたは退魔武器持ってないでしょ?あの狂暴なグールをどうやって仕留めたってのよ」
朱音の話によると、どうやらグール達は退魔武器でしか倒す事が出来ないとの事であり、逃がした言い訳してるんじゃないかと疑いの眼差しでこちらを見る朱音。