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【D.S.(ダズ)】~過去と未来の交わる場所~  作者: 月代ユカイ
第三章 グール討伐偏
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第44話 グールアラート

念波で知らせるとかなんとか言ってたけどいったいあれはいったい?


………ブブッ……ブブッ………。


「えっ?」


もしかして近くにグールか?………確か半径100mとか言ってたな。部屋の窓から周囲を見渡す俺。もしかして家の中なのか?


慌てふためいているとグールアラートから声が聞こえる。


「あっもしもし。大地(だいち)君?私だよ私、朱音(あかね)。もしかしてグールかと思ってビックリした?ハハハ……」


グールアラートからの音は朱音(あかね)からの通信だった。普通に話せば良いのか?


「ビックリさせんなよ。ってかこれ朱音(あかね)とも話せるんだな。俺になんか用か?」


「うーん。特に無いけど、グールアラートの使い方とか良くわかって無いんじゃないかって思って試しにちょっとね。ちなみに私との通信では赤ランプがつくはずだから」


うーん。確かに言われてみれば良くわかって無かったかもな。


「でしょ?やっぱりわかって無かったんだね。せっかく隊長が説明してくれたのに良く聞いてないからだよ」


えっ?どうしてわかった。


「どうしてってわかったかだって?ふふふ……だってこれ音声通話じゃなくて念波通信だもの。思った事がそのまま伝わっちゃうのよ」


ゲッなんだそれ。それってつまり嘘がつけないって事なんじゃ……。


「そうだよ。どうしても嫌だったら裏の黒いスイッチを切り替えて音声通話に切り替えれば良いのに。私、そうしてるし」


マジか……だけど助かった。黒いスイッチだなよし。


「まあ、何となく使い方わかったよ。朱音(あかね)は今日どこに行ってたんだ?」


素朴な疑問をぶつけてみるが


「なんであんたにそんな事を教えてあげなきゃならないのよ。どこだって良いでしょ」


ハハハ…いつもの朱音(あかね)っぽいや。


「ごめん。ごめん。明日は来るんだろ?また、お前らの事を色々聞かせてくれよな。じゃあな」


そう言って通信を切る。


翌朝、学校に着くといつも通り元気そうな朱音(あかね)がいた。相変わらず声をかけてくる男共には容赦は無いようだが、この光景にもだいぶ馴れた。


暫くすると困った顔の空音(そらね)が声をかけてくる。


「学芸会の事なんだけど、朱音(あかね)ちゃんの配役決めてないよね?今日から練習なんだけどどうしよう」


完全に忘れてた。朱音(あかね)の配役か……。アイツ目立ちたがり屋だろうからカグヤ役やるとか言い出さないか不安だな。取り合えず、朱音(あかね)に聞いてみるか。


「取り合えず朱音(あかね)これ読んでもらってやりたい役を聞いてみるか」


早速朱音(あかね)に台本を見せに行く空音(そらね)と俺。朱音(あかね)が台本一通り読み終えるとこう言った。


「まあ台本だけ読むと二流だけど、やったら結構面白そうだね」


朱音(あかね)は何かやりたい役とかある?カグヤ役は固定なんでそれ以外で……なるべくリクエストには答えるからさ」


「私、別にカグヤ役はやりたくないけど……強いてあげるなら声役かな」


「えっ?」「えっ?」


空音(そらね)と顔を見合わせて驚く。絶対にカグヤって言うと思ったのにまさか声役とは……でも声役は………。


「あっ声役はさぁー空音(そらね)が…………」


声役は空音(そらね)に決まってると言おうとすると空音(そらね)が俺を止めた。


「大ちゃん、私は良いからさ。朱音(あかね)ちゃんに好きな役やってもらおうよ。ほらっまだ転校してきたばっかりだし、男子ともコミュニケーション取れるかも知れないからさ」


空音(そらね)それで良いのか?」


コクりと頷く空音(そらね)だったが何となく寂しげ表情。


練習が始まると張り切って声役兼監督に徹する朱音(あかね)


「あっマリはこんな感じでぇーー。アヤッチはこんな感じで体をもっと大きく使った方が客席からは見易いと思うよ。ってコラー男子共は遊んでねぇでちゃんと練習しろ。そこのお前寝てんじゃねぇー」


騒がしくも朱音(あかね)の名仕切りにより纏まっていくクラスだが窓際でポツンとしている空音(そらね)。その表情はトーンダウンしており、明らかに暗い。


声役やりたかったんならちゃんとそう言えば良かったのに……昼休みを狙って空音(そらね)に声をかける事にした。


空音(そらね)、なんか元気無いな大丈夫か?」


「えっ?あっいやその………大丈夫、大丈夫、私、元気だよ(だい)ちゃん」


珍しくキョドってる空音(そらね)。明らかに変だ。きっと声役の事だろう。


「やっぱり声役やりたかったんじゃないの?」


「うーん………でも朱音(あかね)ちゃん仕切るの上手いし、私なんかよりきっと上手くやってくれるはずだから」


「でもそれで自分の気持ちを圧し殺すのも違くない?」


困った顔の空音(そらね)がソッと口を開く。


「私の事を気遣ってくれてありがと。でも私なら大丈夫だから。ほら村人役も結構やりがいがあるって言うか楽しいしさ」


ぎこちない笑顔で言う空音(そらね)であるが先程よりかは少し元気も出たようだ。まあ大丈夫か空音(そらね)なら。


俺は急いでトイレの個室に入りグールアラートで朱音(あかね)を呼び出す。勿論、周りへの警戒もあり念波で会話する。


「よぉ朱音(あかね)。今、大丈夫か?」


「ちょっと、イキナリなんなのよあんた。悪用するなら取り上げるわよ」


流石に怒り気味の朱音(あかね)。まあ想定の範囲内か。


「ごめん朱音(あかね)。ちょっと聞いておきたい事があってさ」


「何よ。私は答えたく無いけど。だいたい必要以外で使うのはプライバシーの侵害だからね」


「そう言わずに教えてくれよ。どうして声役をやりたかったんだ?」


「えっそんな事?だって声役なら他の奴等の主導権握れるし、気持ちいいかなって思っただけだけど、現に今日は気持ち良かったしね」


「なるほどな。派手好きそうな朱音(あかね)が声役なんて地味な役柄に徹するなんて変だと思ったんだよな」


「何よ。その言い方?」


「あっいけねぇ心の声が……じゃあ切るなハハハ……」


危ない危ない。念波通信だと思ってる事がなんでも伝わるから危険だな。



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