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【D.S.(ダズ)】~過去と未来の交わる場所~  作者: 月代ユカイ
第二章 過去の世界
35/87

第35話 転校生

ザザー……ザザー…………


あれこの音は確か海にいた時の夢で聴いた音。あの時は声だけだったが、今は鮮明に見える。ベッドに横たわる俺の姿が……。


【回想】


「お父さん。僕だよ優大(ゆうだい)だよ。僕のせいで痛い思いさせちゃってごめん。もう勝手な事しないから目を醒ましてよ」


大きくなった優大(ゆうだい)なのか?どことなく俺に似ているような。


「あなた、ごめんなさい。あの時、私が優大(ゆうだい)の手をしっかり握ってさえいれば……ウッウッ……。優大(ゆうだい)も来年には成人よ。あなたにも優大(ゆうだい)の晴れ姿を見て欲しいけど」


真優美(まゆみ)の奴は随分やつれたな。ごめんな俺のせいで。


「あんたのせいで私の人生はメチャクチャなんだよ。お前なんか私の……ザザー……でもなんでもねぇ。さっさと死んじゃえ~バカー」


「やめなさい。こら……ザザー……いい加減にしなさいよ……ザザー……」


病室で暴れまわる女を真優美(まゆみ)が止めている。この子はいったい………。


………ザザー…………ザザー…………そこで夢は終わり、目を醒ます。


【回想終了】


枕が涙で零れていたが、どんな夢を見ていたかは思い出す事が出来なかった。


朝食を済まし学校へと向かう。


いつもより少し遅くなった為、空音(そらね)には会えなかったが交差点を過ぎた辺りでまた、真優美(まゆみ)らしき人物を見つける。


「まっ待って……待っててばーー」


大急ぎで追いかける俺であったが。角を曲がったところでまたフッと姿を消してしまう。


「あれっまた見失った。おっかしいな」


不思議に思っていると足元に女性物のハンカチが落ちているのに気付く。さっきの真優美(まゆみ)らしき子のかな?

ハンカチ拾うと右下にA.Mの文字がありのに気付く………これってイニシャルだよな?


「旧姓の井原(いはら) 真優美(まゆみ)だったらM.I.だし、やっぱり他人のそら似なのかな?」


そのまま教室へと向かう俺。


教室へ着くと早くに来ていたクラスメートの何人かがが騒いでいた。そのなかには勿論、空音(そらね)の姿もあった。


「おはよう(だい)ちゃん。大ニュースだよ」


「おはよ。なんかあったのか?」


「なんかね。ウチのクラスの席が1つ増えてんだって。もしかして転校生かな」


転校生の話でワクワクしている空音(そらね)


「転校生?」


勿論、俺には過去に転校生が来た記憶は無い。誰かの机の置き忘れか何かだろうと思い、特に気にしなかったがホームルームの時間になり、魔王が教壇に着くと……。


「起立・礼・着席」


「今日はこのクラスに新たな仲間が加わる事になった。入って来て良いぞ」


あっコイツは今朝見かけた、真優美(まゆみ)似の……目付きと良い顔のパーツはほぼ真優美(まゆみ)の若い頃とそっくりだ。


「みんな初めまして【日吉(ひよし) 朱音(あかね)】と言います。父の仕事の関係で先日この町へ引っ越してきました。座右の銘は旗幟鮮明(きしせんめい)。自分の意見や志をハッキリと……。あーっお前は今朝のストーカー男。上手く撒いたと思ったのにこんな所まで追ってくるなんて……」


みんなの視線が一気に俺に降りかかる。


「い、いや俺、ストーカーだなんて……。ほら、ハンカチ落としたみたいだったから届けようかと思ってさ。君のだろ?」


「あっそれは………か、返しなさいよそれ。大事な物なんだから」


スッとハンカチを抜き取ってしまう朱音(あかね)


「何はともあれ今日からクラスの一員だ仲良くしてやってくれよな。席はそうだな………空音(そらね)の横が良いか。目黒の列は一人ずつ後ろに下がるように。それじゃ今日のホームルームは終わりにするぞ。日直」


「起立・礼」


ふぅ……ハンカチを拾ってなかったら今頃どうなっていたことか。容姿もだが思った事をストレートに言うところなんかも真優美(まゆみ)にそっくりだ。


ホームルームが終わると朱音(あかね)が小声で話かけてくる。


「落とし物を届けてくれてたのに酷い言い方してごめん。みんなの前じゃ、なんか謝れなれなくてさ」


ん?さっきまでの高圧的な態度とは裏腹に普通に謝って来たな。まあ、誰にでも間違えはあるしな……。


「あぁ気にすんなよ。俺もちゃんと声かけなかったのが悪いんだし。俺、目黒(めぐろ) 大地(だいち)。宜しくな日吉(ひよし)さん」


一瞬驚いた顔になったと思ったたら今度は冷めた視線で俺の顔をジーっと見つめてくる。


「へぇ~アンタが……なるほど。宜しくね大地君。あと私の事は朱音(あかね)で良いわよ」


真優美(まゆみ)のような視線にゾッとしてしまう自分がそこにいた。

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