第34話 異変
正門に差し掛かったあたりで急に視界が真っ暗になる。
「だぁ~れ~だ」
えっ??なんで空音が?裏門にいるはずじゃ……。
「空音どうしてここに?」
振り返ると空音の影らしきものが俺の目の前に立っていた。酷い目眩と頭痛に膝を着く、そして目の前の影が歪み始める。
「大ちゃん。私、待ってたのに先に行っちゃうんだもん」
「お前はいったい誰だ。俺にいったい何の用だ」
「えっ私は空音。大ちゃんの幼馴染みだよ」
次の瞬間、ポケットの中にあったロケットが突然耀き出し辺りを照らす。
「そっそれは……まさか………」
光りに照らし出された影が仮面を被った道化へと変化する。
「貴様、どこそれを手に入れた?これじゃ俺の計画が台………」
焦っている道化男に俺が怒りを露にする。
「お前こそいったい何者だ答えろ」
「今はまだその時ではないと言う事か……必ずやお前と空音を手中に納めてみせる」
道化は闇に紛れて消えてしまう。何だったんだ今のは。空音が心配になり、裏門へと走るとそこには夫婦桜にもたれ掛かる空音の姿があった。
「はぁはぁはぁ……空音。大丈夫か?どこか怪我とかしてないか?」
息を切らしながら空音に話しかける。
「大ちゃん?私は大丈夫だけど、何かあったの?」
どうやら空音のところには仮面道化は来ていないようだな。
「あっいや空音が無事ならそれでいいんだ……ははは。空音はここで何してたんだ?」
「ん?あたし?私はえっとその……大ちゃんを待ってたんだ」
「俺が裏門に来なかったらどうするつもりだったんだよ」
「何となくだけど、大ちゃんがここに来てくれる気がしたんだ。現に来てくれたでしょ?ふふふ……」
仮面道化がいなかったら帰ってたけどな。
「もしかして俺の様子がおかしかったからか?」
「なんでわかったの?なんか大ちゃんここのところ冴えすぎじゃない?」
驚いている空音。
「たまたまだよ。心配させちゃってごめんな。もう大丈夫だから」
「ふふふ……いつもの大ちゃんだ。あっそうだ今日の演奏どうだった?勿論、寝てないよね?」
「当たり前だろ。演奏凄く感動したよ空音のソロパートはパワフルで格好良かったよな」
「えへへ、大ちゃんに褒めらるとなんか照れるな」
「あとアンコールでやった先生オリジナルの曲ってなんて言うんだ?音源とかないの?」
「あれ?先生オリジナル曲だなんて話をしたっけ?」
まずい墓穴を掘ったか?
「風の噂だよ。はははは」
取り合えず話を流す事にする。
「ル・シエルって曲だよフランス語で天空って意味なんだってちなみに音源はないよ」
「天空か……音源ないなら録音しとけば良かったな」
そんな些細な話をしながら帰る。
「あっ今日は買い物していくからここで」
「おぅ気をつけて帰れよな」
「大ちゃんこそ寄り道しないで帰りなよ。変な人についていっちゃ駄目だよ」
「俺は小学生か」
「アハハハそれもそうだね。じゃあまた明日ね」
空音と別れた後に考える。あの空音に化けてた仮面道化はいったい何者だったんだろう?いったい何の目的で……。
それにこのロケット、何だか俺を守ってくれたみたいだったけど……。そんな事を考えながら家に帰る。
部活で遅くなった夏希と一緒に食事をしているとテンション高めの夏希が話しかけてくる。
「お兄ちゃんお兄ちゃん。あのさぁ今日の吹奏楽部の演奏凄かったよね。私、マジ感動しちゃったよ。それに空音お姉ちゃん素敵だったなぁ」
コイツに話して面倒な事になっても嫌だし、適当に答えとくか。
「まあ凄かったな」
「それだけ?なんかお兄ちゃん帰って来るの遅かったみたいだけど、空音お姉ちゃんと二人で何してたの?」
「ぶっーー。ゴホッゴホッゴホッ……」
あまりの鋭い発言についむせてしまう俺。
「やっぱり図星じゃん。お兄ちゃんも隅に置けないな」
ニヤニヤしながらまたからかってくる。
「ちっ違うよ。今日は魔王に片付けを手伝わされてただけだ」
「勿論、空音お姉ちゃんも一緒だったんでしょ?帰り道で空音お姉ちゃんといけない事とか……」
「してねぇえよ。お前いい加減にしろよ」
夏希の発言に俺がキレる。
「キャーお兄たまが怒った怒った逃げろぉー」
ったくこの能天気女が……。疲れていたのかその日は布団に入るとすぐに眠りに落ちた。




