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【D.S.(ダズ)】~過去と未来の交わる場所~  作者: ポチ太
第二章 過去の世界
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第31話 空音の恩返し

翌朝、台所に行くといつも起きるのが遅い夏希(なつき)が既に朝食を食べていた。


「おはよう。早いな今日。朝練か?」


「おはよ。今日は朝練はないけど、なんで?」


「何でってお前いつも時間ギリギリまで寝てるじゃんか。なんでこんなに早起きなんだよ」


ニヤニヤとする夏希(なつき)。嫌な予感しかしない。


「ふふふ……それはだね……お兄ちゃんの為だよ。まだ付き合ってないんでしょ?それとなく空音(そらね)お姉ちゃんに近づいて探りいれてあげるからさ。私って本当に良き妹」


節介妬(せっかいや)きもここまでくると超迷惑だな。


夏希(なつき)いい加減にしろよ。お前の出る幕じゃないし、そんな事されても迷惑なんだよ」


流石に頭に来てつい強い口調で夏希(なつき)を怒ってしまう俺。


「酷ーい。私、折角早起きしたのに……お兄ちゃんのバカーー。もう知らないんだから」


そのまま怒って出ていってしまう夏希(なつき)。少し言い過ぎたかな。罪悪感を感じていると夏希(なつき)が戻ってくる。


「あっごめん夏希(なつき)。俺、ちょっと言い過ぎた。その夏希(なつき)の気持ちは嬉しいんだけどさぁ……そのぉ……」


「そんな事、どうでも良いから早く行きなよ。彼女待たせるなんて男として最低だよ」


「………はい?」


急いで仕度して外に出ると家の前に空音(そらね)が立っていた。


「あっおはよう(だい)ちゃん」


笑顔で手を振る空音(そらね)


「おぅ……おはよう。俺らって待ち合わせとかしてたっけ?」


「ううん。してないよ。今日は私が(だい)ちゃんと一緒に学校行きたくて勝手に待ってたの」


「待ってるって知ってたらもっと早く出てきたのに……」


「ふふふ……私も今来たとこだから」


「なら良いけどさ。んでどうして俺なんかと一緒に行きたかったの?」


思い出したように鞄を漁る空音(そらね)


「あっそうそうこれ………はい。この前はありがとう、つまらない物だけど良かったら食べて」


「これってクッキー?しかも手作りじゃん。空音(そらね)が作ってくれたの?」


「うん。昨日、海音(かのん)と一緒に作ったんだ。学校で渡すと目立っちゃうかなって思ったからさ」


「なんか気を使わせたみたいで悪かったな、食べて良い?」


「勿論だよ。食べて食べて」


モグモグモグモグモグモグ……美味しい。なんて言うか素朴な甘味だ。食感もサクサクしてて本当に良いかんじ。


「凄く美味しいよ。でもこれって何のクッキー?」


「ふふふ……何でしょう?」


「当たったら何かおごってくれる?」


「外れたら何かおごってくれるなら。でも難しいよ」


俺が悪戯に言うと空音(そらね)も悪戯に返してくる。


「うーん。じゃあヒント」


「3種類の野菜が入ってるよ御手付き一回までね」


「望むところだ。まず1つ目はニンジンだろ二つ目はカボチャ」


「うん、ここまでは正解。次が難しいんだなぁ~」


「野菜だろ。うーんフルーツトマト」


「ブッブー違います。甘酸っぱいって点ではなかなか良いところ行ってるけどね。ヒント2 野菜を使ったジャムが入ってるよ」


甘酸っぱい野菜のジャム……他に思い当たるのが確かあったな……あれはえっとえっと


「わかったルバーブだ。ルバーブのジャムが入ってるだろ」


自信満々で答える俺。空音(そらね)も意外な回答に驚く。


(だい)ちゃん凄~い。ルバーブなんで珍しい野菜なんで知ってるの?」


「ウチのばーちゃんがルバーブジャムでパイをよく焼いてくれたからだよ。ばーちゃん様々だな、さ~て何をおごって貰おうかな?」


勝ち誇った顔の俺であったが笑顔で空音(そらね)が言う。


「ふふふ……残念だけど不正解」


「えぇ~絶対に当たったと思ったのにぃ」


「正解はイチゴのジャムでした」


「イチゴって果物じゃん。それ反則じゃねぇ」


「植物学的にはイチゴは野菜だよ。ちなみにメロンやスイカも野菜」


「そんな豆知識よく知ってよな……頼むから安い物にしてくれよ」


「えへへ……何をおごって貰おうかな」


空音(そらね)は子供の頃みたいな笑顔で喜んでいた。学校に着くとどうやら先生や瑠花(るか)にも同じクッキー渡しているようだった。


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