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【D.S.(ダズ)】~過去と未来の交わる場所~  作者: 月代ユカイ
第一章 現実世界
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第3話 初恋(後編)

今まで何度も思っていなかったのに何かのきっかけで突然好きにったりするんです(//∇//)ピュア恋です

翌朝、全校集会。校長の話が長い長い長い。眠くなってきたが空音(そらね)との約束もあるし、頑張る俺。 


「続いて吹奏楽部による演奏発表を行います。3年生は今日が最後の舞台となりますので皆さん盛大な拍手で迎えて下さい」


パチパチパチパチパチパチ


いよいよか。演奏が始まってすぐに違和感に気付くあれ?これってポップス?

てっきりコンクールとかでやるような固いやつ創造してたのにみんなノリノリで楽しそうだ。


しばらく演奏していると3年生のソロパートが始まる。 

「まずはフルート担当。木村(きむら)恵美(めぐみ)さん……」


次々と紹介されていく。


「アルトホルン担当。阿東(あとう) 瑠花(るか)さん。圧倒的なセンスと抜群の安定感でコンクール金賞に導きました」


空音の親友の【阿東(あとう) 瑠花(るか)】。黒髪ロングヘアーで空音と同じぐらいの身長の眼鏡地味女。暗いと言うか全然目立たない奴だけど、素人目でもプロ並みに上手いのがわかるな。


「ソプラノサックス担当。富良野(ふらの) 空音(そらね)さん。持ち前の明るさとパワフルな演奏で吹奏楽部を盛り上げてくれました」


瑠花の演奏と比較すると到底かなわないだろう。だけどあのパワフルな演奏に一生懸命な表情に心を奪われゆく。


あれっ空音(そらね)ってあんなに可愛いかったっけ?

気付くと空音(そらね)から目を話せない俺がいた。


演奏が終わっても歓声がなりやまず、アンコールの声が響き渡るとうちの担任で吹奏楽顧問である【大林(おおばやし) 真央(まお)】通称()()が橋台へ上がる。


魔王はまだ20代中盤で容姿端麗でスタイルも抜群だけど、誰に対して物事をハッキリ言う事から恐れを込めてみんな魔王と呼ぶようになった。(勿論、陰でだが)


「みんなアンコールありがとう。今、校長先生からもう一曲やっても良いと許可がおりたので続けてやっちゃうぜ。吹奏楽部カモン。パシッ」


……聞いた事ないけど、さっきよりもアップテンポでノリノリの曲に踊り出す生徒続出。


「ほらお前達、踊れ踊れ。吹奏楽部も負けんじゃないよ」


生徒を煽る魔王。


校長や教頭の制止も効かず、最後まで演奏は止まらなかった。この後、魔王が教頭室に呼ばれ説教を喰らったのは言うまでもない。


「はぁー」


演奏を聴いてからなんか変だ。机にうつ伏せになり、目を閉じると空音(そらね)の演奏してる姿が焼き付いている。


授業中、空音(そらね)と何度か目があったがなんだか照れ臭くてそっぽを向いてしまった。どうしちゃったんだろ俺。


放課後になり、空音(そらね)に会わないように急いで帰ろうとしていると魔王に捕まってしまい演奏会の残りの片付けを手伝わされる羽目に……そこには当然、空音(そらね)もいた。


空音(そらね)が俺の方を見て何か言いたげな顔をしていたが目を合わせず無言で荷物を運ぶ。


やっと全て運び終えたのでコッソリと裏門から外へ出ようとしていると急に視界が真っ暗になる。


「だぁ~れ~だ」


こんな事やる奴は一人しかいないが俺は意地悪にこう言った。


「わかった……この背中に当たる柔らかい物はえっと真央(まお)先生です」


ピシャッと言う音と共に背中に激痛が走る。


「イタタタッーそんな強く叩くなよ空音(そらね)


そこには怒り顔の空音(そらね)がいた。


(だい)ちゃんがセクハラ発言するからでしょ……。でもちょっと強すぎたかな?ごめん大丈夫?」


「いや自業自得だから、こっちこそごめん。ってか何で空音(そらね)こっちにいるの?」


「いやそのえっと……それはね……」


どうやら俺の様子がおかしかったので裏門で待ち伏せしていたらしい。結局、流れで一緒に帰る事になった。


「心配させてごめんな。なんか今日の演奏があまりにも凄すぎてなんて言えば良いかわからなくて空音(そらね)の事を避けてた」


手を合わせて必死で謝る俺に空音(そらね)もウンウンと首を縦に振って許す。


「ウチらの演奏そんなに凄かった?ちゃんと聴いててくれたなら良いんだけど」


「いや本当に感動したよ。空音(そらね)のソロパートもパワフルで格好良かったよ」


(だい)ちゃんに褒めらるとなんだか照れるなぁ」


なんだか頬を赤らめている空音(そらね)


「アンコールの曲が特に凄かったけどなんて曲?」


「あれは実は真央(まお)先生オリジナルの曲なんだぁ。凄い曲でしょ?コンクールの時よりも覚えるの苦労したんだから」


「あんな凄まじい曲を作るとか流石は魔王だな」


「本当は先生も使う気なかったらしいんだけど瑠花(るか)がね……」


「あぁそんな事があったのか……なんか意外だな」


そんな些細な話をしながら帰る。さっきまで空音の方を見るのも恥ずかしかったのに今は自然に会話出来ている事に安心する俺がいた。


交差点に差し掛かると空音(そらね)が言う。


「あっ今日は私、買物していくからここで」


「おぅ気をつけて帰れよな」


(だい)ちゃんこそ寄り道しないで帰りなよ。変な人についていっちゃ駄目だからね」


「俺は小学生か」


「アハハハそれもそうだね。じゃあまた明日ね」


笑顔で手を振る空音(そらね)を見てまた不思議な気持ちになる。

顔は熱く火照り、胸もドキドキしている。


もしかしてこれが恋?この時、俺は空音(そらね)に恋をしている事に初めて気づいた。これが俺の初恋の思い出……


【回想終了】


目が覚めると……。

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