第24話 説得
翌日、早起きして学校へと向かうとマスク姿の空音が歩いていた。話を聞くとやはり体調が悪いらしく大きな声が出せないとの事であった。
「大丈夫。今日の発表は俺に任せとけ」
申し訳なさそうに頷く空音。学校に着くとすぐに屋上へと向かう。
「真央先生おはようございます」
「おぅ目黒。今日も早いな」
「先生に折り入って頼みがあるんですが……」
「なんだ。言ってみろ」
「今日の発表に使う資料を作って来たので人数分印刷していただけないでしょうか?」
「どれどれ……ふむふむ………おぉなかなか上手く出来てるじゃないか。これは目黒が作ったのか?」
「空音達と相談しながら作りましたお願い出来ますか?」
「よし、良いだろう人数分コピーしとくよ」
「ありがとうございます。助かります」
教室に戻ると空音と瑠花が話をしていた。
「お願いどうしてもこの役には瑠花の力が必要なんだ。ウチの班の演劇が採用されたらやって貰えないかな?」
「私はそんな大それた役柄は……空音ちゃんの頼みとは言えちょっと」
掠れた声で必死に説得中の空音。なんとか断ろうとする瑠花。こりゃ難しいか?
「話に割り込んでごめん。阿東さんをカグヤ役に推したの実は俺なんだ。演劇自体は声役と演技役を別々にするつもりだからサポートもしっかり出来ると思うし、阿東さんほどこの役にハマり役はいないからなんとかお願い出来ないだろうか。あらすじはこんな感じなんだが」
あらすじに目を通す瑠花。いつの間に作ったのかと驚きを隠せない空音。
「これ凄く面白いです。いったい誰が考えたんですか?」
なんかテンションが徐々にではあるが上がって来ているように見える瑠花。
「大まかにはウチの班が細かい部分は空音と俺で詰めたけど、どうかなカグヤ役」
暫く考えこんだあと、瑠花が口を開く。
「確かにこのカグヤ役は私に似ているかも知れません。空音ちゃん達もサポートしてくれるって言ってくれてるし、私で良ければ頑張ってやってみます」
「ありがとう瑠花」
「ありがとう阿東さん」
空音と二人で大喜びする。よしこれで準備は整った発表頑張んなきゃだな。