第2話 初恋(前編)
大地の初恋の思い出。誰にでも初恋はあるよね(//∇//)
【富良野 空音】は俺の幼馴染みであり同時に意中の人でもあった。
容姿は黒髪ショートヘヤーで若干たれ目の大きな瞳が特徴。身長は低めだがスタイルも良く、お節介妬きで心配性だが、社交的で誰にでも優しく真面目な性格。ちなみに俺の事は「大ちゃん」と呼んでいた。
中学最後の打ち上げ帰り道、俺は自分の気持ちを伝える事が出来ず。その後も結局付き合う事は叶わなかった。今思えばあの時が空音に一番近づいた瞬間だったのかも知れない。
空音とは昔から知った仲だったが、恋に落ちたのは中学3年の秋になってからの事だった。
【回想】
放課後、帰ろうとしていると何やら重そうな機材をフラフラしながら運んでいる空音が目に入る。
「空音フラフラじゃん。良かったら俺、手伝おうか?」
声に気付いた空音が笑顔で振り向く。
「あっ大ちゃん。これ超重いんだよ。助かる」
確かに持ち上げてみると重い。
「これって何なの?どこに運ぶの?」
「えっ?大ちゃん軽々だね力持ち。えっとこれは明日の全校集会の演奏で使う機材なんだ。体育館まで良いかな?」
一瞬驚いた表情をした空音だが、なんだか嬉しそうであった。俺もまた無理はしていたが、男の威厳を見せられたような気がして得意気な顔で頑張る。
「演奏ってこの前のコンクールで金賞取った御披露目会だったっけ?空音凄いよな」
「いやいや私なんて全然。吹奏楽部みんなの力だよ」
若干照れ笑いしている空音が妙に可愛い。
「ずいぶん謙遜だな。ところで空音って何の楽器なんだっけ?」
「え~前に教えたのに……私はソプラノサックスだよ」
「そうだったっけ?ごめんごめん。なんか難しそうだよな。オイショ、このへんで大丈夫か?」
「あぁうん大丈夫。助かったよ」
「他には運ぶもんはある?」
「あとは小物だけだから大丈夫。手伝ってくれてありがとね」
「おう、じゃあ帰るな」
「あっちょっと待って大ちゃん」
走り出そうとした瞬間、空音に呼び止められる。
「本当は内緒話なんだけど手伝ってくれたお礼に良い事教えてあげる」
「良い事?なんだろう」
空音が俺に耳打ちする。
「明日の演奏で私達3年生は最後だからソロパートあるんだ。頑張って演奏するから大ちゃん寝ないで聴いててね」
「立ったまま寝る訳ないだろ」
言い返す俺であったが空音が笑いながら答える。
「ふふふ……大ちゃん先週の全校集会で立ったままイビキかいてて怒られてたじゃん。あっ私、呼ばれてるから行かなきゃ……じゃあね」
笑顔で手を振って去って行く空音。バツが悪くなった俺はさっさと帰る事にした。しかし空音の演奏は初めてだな。結構、楽しみだ。