第14話 お墓参り(後編)
空音のお母さんに案内してもらいお墓まてま来る。
【富良野家之墓】
あれっ。空音の実家のお墓??
「あのさ。空音も結婚してるって聞いてたんだけど、どうして実家のお墓なんだ?」
「めっ目黒君それは言っちゃ……」
瑠花が止めようとした瞬間、強烈なフックが左右から同時に炸裂する。翔流と魔王だ。
「ははは大地。何寝ぼけてんだよ。しっかりしろ」
「どうした目黒。お腹の調子でも悪いのか?あははは」
ゴホゴホ………俺なんかまずい言ったか?そんな俺に翔流が耳打ちする。
「悪い大地、後で事情は説明してやるからその話は今はやめてくれ頼む」
無言で頷く俺。俺達はお線香をあげ、空音に話かける。
「空音……先日は葬儀にも出れず、本当に………ゴッゴホッ」
また、脇腹に強烈なフックがヒットする。
「目黒うるさいぞ。お前が邪魔するから言いたい事を忘れちゃったじゃないかイチイチ声に出すんじゃないよ」
魔王の追撃に跪く俺に翔流がそっと声をかける。
「お前、今日は災難日だな」
横ではすすり泣く瑠花の姿が見えた。
「ううぅぅ……ううぅぅ……グスッ……グスッ」
俺も目を閉じて空音に話しかける。
「空音、この前は葬儀にも行けずごめん。息子が具合悪くなっちゃって。今はすっかり元気になったんだけどさ本当にごめん……」
あれ?何かがおかしい。瑠花の泣いている声や風の音がしなくなっている。目を開くと夕方になっており、廻りには誰もいなくなっていた。またあの時と同じだ。
しばらくすると黒頭巾の男が降りてくる。
「決断の時は近い。心して挑みたまえ」
「決断ってなんだよ。お前、俺に何か怨みでもあんのか?」
「悲しき運命を背負いし者よ。そなたの運命に幸あらんことを………」
「また、消えんのか?俺は運命なんかに操られない。お前の好きなようには絶対にさせないからな」
強く念じると空間が歪みひび割れていく。黒頭巾の男は逃げるようにして消えていく。
「空音が死んで、優大が入院してもう不幸続きはうんざりなんだよ。チクショー」
俺が叫ぶと後ろから声がする。
「大丈夫。今度は私が大ちゃんの事を守るから」
「そっ……空音?」
振り替えると現実に戻っていた。
「あっあれ?みんなどうした?俺の顔に何かついてる?」
「お前が目を瞑ったまま呼び掛けにも反応ないから心配したんだぞ」
「あぁ~悪い悪い。つい夢中になってたごめん」
「たくっ……そろそろ帰るぞ目黒」
帰りがけに空音の墓誌が目に入る。新しく彫られた空音の文字の横には【海音】の文字が。
【海音】って誰だろう親戚の人だろうか?ってきり空音はお父さんである大助おじさんの横なのかと思っていたのに………そんな事を思いながらお墓を後にする。
家へ戻ると空音のお母さんから手紙を渡される。勿論、俺も手紙を受け取った。
「あっあれ?お母さん僕のはないんですかね」
翔流が空音のお母さんに聞く。
「あっごめんなさい翔流君のは預かってなくてその………』
「あぁ良いんです良いんです。ははは」
言葉とは裏腹に俺を睨みつけてくる翔流。だってしょうがねぇーじゃんかよ。
空音の家を出て近くの駅まで翔流に送って貰う途中気になっていたことを聞いてみる。
「あのさ、どうして空音は自分の家の墓なんだ?普通は嫁ぎ先なんじゃないのか?」
大地の質問に対して翔流が答える。
「あぁそれか。空音の旦那の母親。つまり姑が凄い嫌な奴でさ。葬儀の時にも空音の秘密やら悪口を散々言いまくって終いには私と同じ墓には絶対にいれないみたいな事を言い出して大変だったんだ。流石の俺も頭に来て一発くれてやろうとも思ったんだけどよ……」
翔流が怒りを露にして話す。
「天王寺もまだまだガキだよな。手が早いと言うかなんと言うか……これだから最近の若い奴らは……」
呆れ顔の魔王に呆れ顔の翔流が言い返す。
「そう言う先生こそ真っ先に突っ走っていって姑の胸ぐらつかんでたよな?」
まっマジか。折角のまともな事言ってるなと感心してたのに……。
「ハハハ…………まあ勢いだ。勢いが大事な時もあるんだぞ世の中には……」
笑って誤魔化す魔王。
「まあ先生らしいと言えばらしいですが……。ところで空音の秘密っていったい何なの」
「なんか空音のやつ病気で子供を生めない身体になっていたらしくてな。それをすげぇバカにした言い方して……思い出しただけで腹立たしい」
「空音ちゃん。そんな身体だったのに……グスッ……私達が結婚を迷ってる時にね……次はどっちが先に子供作るか競争だって優しく煽ってくれて……グスッ……私、親友なのに、私は空音ちゃんの事を何もわかってあげられてなかった…………本当は一番辛かったはずなのに……ううぅぅ」
「空音はいつだって自分よりも周りを優先する子だったな。お節介焼きだけど本当に優しくて自慢の生徒だっただけに私だって残念で仕方ない」
涙目の魔王、この人もずっと我慢してたんだろうな。そんな話をしていると最寄りの駅へと到着する。
「翔流。今日は誘ってくれてありがとうな。くれぐれも安全運転で籍入れに行ってくれよ」
「おぅ、ありがとうな。式の日程決まったらまた連絡するから宜しくな。あっ先生も招待するから絶対に来て下さいね」
「喜んで出席するよ。瑠花の晴れ姿が今から楽しみだ。それと瑠花……なるべく先生の方に向かってブーケ投げてくれよな」
「はい、勿論です」
「もし天王寺の奴が変な事して来たらすぐ連絡しろよ。先生が鉄拳制裁してやるからな」
「うふふふ。宜しくお願いします」
「へんな事ってウチラ夫婦になるんですけど……まあいいや。じゃあ時間も無いし、そろそろ行くな。先生も大地も元気でな」
そのまま二人は走り去っていく。
「目黒は今、仕事や家庭はどうなんだ?」
「正直、ツライですね。上司は嫌な奴ですし、休みの日は朝から晩まで家事育児に追われる毎日なんで、まあ息子は可愛いですが……」
「苦労してるな。だが人生そんなもんじゃないか?人それぞれ苦労はあるもんだ。でもまあ目黒には可愛い息子さんがいるんだ、頑張んなよ……お父さん」
「はい。ありがとうございます。先生にも早く春が来ると良いですね」
「うるせぇ。お前はいつも一言余計なんだよ」
「へへへ、そりゃどうも。あっ自分はこっちなんで」
「おぅ、元気でな。息子早く退院出来ると良いな。お前もなんかあったらすぐに連絡してこいよ」
「ありがとうございます。先生もお元気で」
魔王と別れ一人帰宅していると、真優美から電話が入る。
「お墓参りは終わったかな?こっちは大変だよ」
息を切らせながら話す真優美。何かあったのか?




