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綺麗なお花をありがとう!
とっても綺麗だから庭に植えていつでも見られるように頑張って育ててます。
もし会えたら一緒に見られたらいいなぁなんて考えちゃいます。
私が贈ったものが君の役に立ってて良かった。
君にそう言ってもらえると私もすごく嬉しいです。
私は頑張って選ぶことしかできないから。
それでも君が喜ぶ顔を想像しながら贈り物を選んでいる時間もとっても楽しいし、幸せな気分になれます。
君とのお手紙のやり取りはとても楽しくて長年のお友達のように感じますが、それでも未だに一度も会った事もないというのは少し不思議な気分です。
もし会えるタイミングがあればいいなとそう願ってます。
「そっか……魔界に入ったってことは会えるってことなんだ」
当たり前のことを口に出して、嬉しさがこみあげてくる。
どんな子なんだろう、ものすごく大きい子かな?それとも小さい子かな?
僕たちと同じ姿形かな?それとも全く違う子かな?
そんなとりとめもない事が浮かんでは消えていく。
「それにしてもあちーなここは」
服でバサバサと扇ぎながら水を呷る聖女。
「うん、火龍の巣だからね……」
「お前は嫁の愛情たっぷりプレゼントで暑くねーだろうが」
「そ、そうだけどさ……」
「いーねぇー、お熱いことで。次はあたしにもなにかよこせよ。お前だけずるい。」
けろっとしている勇者を横目に聖女は毒を吐く。
「うっ……それはそうと道は合っているよね?」
「間違えねーよ。この先が幹部の根城だ。」
「そっか……返事は後にしようか。」
「紙が燃えるから出せないだろーが、出したい気は分かるけどよ」
「ちゃんと内容を考えておくよ。ところでここを越えたら魔族の町?に着くんだよね?」
「そうだよ。どうした?」
聖女の問いに、
「今、僕たちは魔界を統治する者を暗殺者の如く殺して回ってるよね?」
「……まぁ、言い方はともかく、そうだな。」
「その情報ってなんで出回ってないのかな?普通、そんな奴の顔なんて真っ先に周知されて僕たちは補給できずに困るんじゃないかな?」
「そうだな。だからアレインを拠点に行ったり来たりする予定だったけど現地で補給できるから継戦できているわけだし……たまたまあたしたちに会った奴らが全てで魔王まで情報が回ってないとか?」
「それならいいけど……」
考え込む勇者、
「ま、そんなに考えても仕方ない。とりあえず、目の前の一戦に集中しろ。」
「うん……サポートよろしく」
「あいよ。いつも通り行こうぜ?」
先には人など一瞬で灰に出来そうな龍の住まう領域に何ら気負うことなく二人は踏み入った。