表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と彼女の赤くない糸  作者: アクエリアス
第1章 謎の転校生
2/10

第1話 『糸』の先

 

 突然風が吹いたのだー

 多分そのせいで眼の錯覚を起こしたんだろう。


 その時、黒い『糸』が見えた…。

 何故『糸』なんかが見えたのかは分からない。

 俺はそれを眼で追っていく。

 単純に気になったのだ、見たことのないようなモノがどこに繋がっているのか。


「なんだこれ…あ…」


 その先には、居たのだ。

 黒い『糸』が絡みついた少女が。

 ソレははたから見ると、少女にも見えないかも知れない。

 何故分かったかは、スカートが見えていたからだ。


「おい!

 お前、大丈夫か!?」


 ソレは、少女の顔から肩くらいに巻くように絡みついている。

 俺は、少女が大丈夫なのかと心配になり、必死に呼びかける。


「え…」


 すると、突然絡みついたモノが消えていく…

 まるで最初から存在していないかのように、空中に溶けていくみたいに。


 そこでようやく…少女の顔が見える。


「あ…」


 そこには、まるでこの世のものとは思えない、

 可愛らしい少女がいた。

 髪の色は赤茶色がかっており、ロングヘアーだった。

 さきほどのソレが絡みついた時には到底分からなかった。


(やべえ…どうしよう、こんなカワイイ子と話したことねーから何聞いたらいいかわかんねー…。)


 俺はこんなに可愛いらしい少女と話しなどしたことがないので、緊張で汗が出てきそうになってくる。


 …沈黙が続く。


 すると、突然少女が少し困惑したような表情で話しかけてくる。


「…あたしの事、覚えてないの?」

「…はい?」


 なんだこいつは?

 こんな女の子と話しなどしたことはない。

 ハッキリ言って、覚えていない。


 なので、俺は正直に話すことにした。


「えっと…君とどっかであったことある?

 正直全然覚えてないんだけど」

「…!!」


 少女はさきほどまで見せていた表情から一転、

 キツイ表情をしながらー


「そりゃそうよね‼︎

 あんなヘタクソ…覚えてるわけ無いわよね!」


 突然、親の仇を見るかのように

 噛みつくように怒ってきた。


 俺は、その態度の豹変ぶりに少し、いやかなり驚いてしまう。


 どうしたんだこいつ!?

 俺が何したってんだよ、意味わかんねえ!


 俺が何故怒っているのか考えていると、少女はこっちをキッとした表情で…


「なんで…!」


 少女が小走りで駆け出す。


「あっ!」

 少女は、走り去ってしまった。


「クソ…なんだってんだよ!」



 ー



 あの子のことは気になるけど…

 先にコバ先の所に行かねえとな…。

 なんなんだろうな…あの子。


 職員室にたどり着き、扉を開ける。


「おお、光こっちだ」

「なんすか、用事って」


 彼は小林(こばやし) (ひろし)、俺のクラス1年1組の担任教師だ。

 あんまり仕事には熱心ではないが、そこそこクラスのことを把握している。

 見た目ほどやる気がないようではないのだと、

 俺は少し思っている。


「いや〜、少し頼みごとがあってな」

「嫌っす」


 面倒ごとに巻き込まれる前に、

 即答で断ってやった。

 こんなやつが言うようなことだ、面倒ごとに決まってる。


「そんなこと言うなよ、なっ?」

「俺暇じゃないんすよね〜」

「この前没収したマンガ返してやるぞ?」


 この前没収されたマンガを返してくれるそうだ

 …まあ、話だけでも聞いてやるか。


「で?

 俺なんかに何の頼みごとですか?」

「いや、そういや明日転校生が来るんだけどな?」

「はあ!?」


 突然何言い出すんだ、こいつ?


「全然知らないんですけど…」

「ああ、最近引っ越してきたらしい、

 それでな…俺の知り合いなんだよ、その子。」


 コバ先の知り合いか、メガネかけてんのかな?


「なんでこんな時期に?」


 俺は気になったので聞くことにした。


「いや、もとはこっちに住んでてな?

 高校入学後に親の仕事の都合で、こっちに2.3年ぶりに戻ってきたらしい」


 なるほど、そういうことか。

 それにしても5月に転校って…かなり変な仕事なんだな。

 そんな事を考えていた俺にコバ先が話を続ける。


「だから、その子をちょっと気にかけて置いてくれないか?」

「なんで俺なんですか?」

「いや、結構お前クラスの雰囲気見てるだろ?

 だからな、少しだけでもいいんだ、頼む!」


 そんなつもりはなかったが…まあ今は上手くクラスで立ち回れていると思うが。

 まあ…少しだけ聞いてやるか。


「で…どんなやつなんです?」


 俺はどんなやつなんだろうと、

 気になったので聞いてみた。


「ああ、今いるから紹介してやるよ!」


 何ィ?

 そんなすぐに呼べる位置にいるのか?

 ま、まずい心の準備が…!


 すると、コバ先は横を向いて、

 その相手に向かって…


「おーい夜明、こっちにきてくれ〜‼︎」


 俺は気になったのでその先を見つめる。

 すると、その先にいたのは…

 さきほどの、黒い『糸』に絡みつかれていた少女だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ