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星狩りのレプタイル ー邪眼の蜥蜴と夜空の英雄たちー  作者: 若槻未来
第4章「天馬騎士と氷の獅子」
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71. 八岐大蛇

「舞え、蛇竜蠢動(ヤマタノオロチ)


 恵奈がつぶやくと、ごう、と黒炎の鎧が燃え上がる。生まれたのは八本の巨大な炎柱。

 まさしく神話の蛇竜のごとくうごめき、上空の籠愛に襲いかかる。





「……何っ!?」


 籠愛も下界の異変に気付く。迫り来る八本の火柱……いや、『黒炎の蛇』。


(エキドナめ、"黒燄煉劫儛レイム・オブ・リブレイズ"を使ったか!)


 その異能は籠愛も資料で見たことがあった。

 ()()()()使用が確認されていない、恵奈の第二の異能。すべてを灼き尽くす黒炎の鎧をまとう能力。確か具現化型の異能だ。


(具現化型は私との相性が最悪だ……どうしたものか)


 『空気の支配者(エア・ドミネイター)』は物理攻撃にめっぽう強いが、『意思が映像を得たもの』である具現化型の異能には対抗手段がない。どんなに風を吹かせても魂の力は止められない。


 仮に対策があるとすれば、一度攻撃を受けたうえでそれを治すか、異能によって起きる状態変化を何らかの手段で止めるか。……だがネクタルはもう残っていない。となると、燃焼そのものを止めるしかないが……


(……それも難しい)


 あの黒炎は『火』ではない。水をかけても消えないし、『空気の支配者(エア・ドミネイター)』で酸素を奪っても意味がない。あれは言わば恵奈の『魂』の延長であり、魂の内部世界から無尽蔵に熱と酸素を供給するものだ。


(……立場逆転か……)


 籠愛は身を翻して旋回する。


 炎の大蛇が追ってくる。民家を木々を飲み込み、白い煙をあげながら。


「なりふり構ってはいられない!」


 黒焔の蛇竜から逃げる彼の視線の先では、蒼炎の獅子が咆哮していた。

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