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星狩りのレプタイル ー邪眼の蜥蜴と夜空の英雄たちー  作者: 若槻未来
第4章「天馬騎士と氷の獅子」
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UNION


 それまで逃げ回るばかりだった恵奈が唐突に上昇した。その突飛な行動を目にしても、籠愛は余裕綽綽(しゃくしゃく)であった。


「ほう、上に逃げますか。気圧差による高山病でも狙っているのでしょうか……だが、我が"空気の支配者(エア・ドミネイター)"は文字通り空気の動きを支配する。どんな高度であろうとも、取り入れる酸素を増幅することなど造作も無い」


 『上昇気流(アップドラフト)』を吹かし、籠愛は恵奈を追跡する。

 もはや恵奈に反撃の手は無い。籠愛の事前に見たデータによれば、彼女の戦闘スタイルは未来予知と暗器を利用した中・近距離型。つまり、飛び道具も肉弾戦も封じる籠愛の『空気の刃』の壁に対しては、恵奈は圧倒的に不利だといえる。


(これぞ我が"空気の支配者(エア・ドミネイター)"の秘奥義、『風刃領域ランブリング・フェザーボール』)


 全てを切り刻み、何者も通さぬ「風の刃」の壁。それを籠愛は常時展開している、その前では『怪物の母』と言えどもまさしく嵐の前の塵。


「わが友、ペガサスを傷つけた罪は大きい……前世よりの宿敵を刻む前に、この風の刃の錆にしてくれる」

 血気づき、籠愛がさらに上昇速度を上げた――その時。



『――ヒッポノオス。ヒッポノオス。聞こえますか?』



「……!?」


 左耳に装着した小型無線機に響く、男の低い声。

 手塩だ。このタイミングでの手塩からの連絡。


「……何でしょうか。今、少し立て込んでいるのですが」


 苛立った籠愛は無線を切ろうとする。が、手塩はいつもの平坦なトーンで言葉を続けた。


『緊急の要件です。実は――』


 その後に続いた手塩の言葉に、籠愛は急停止した。


「っ……!? 怪原家と、共闘する……ですって!?」


 あからさまに籠愛の声色が荒くなる。

 ごうごうと吹いていた風の壁が、少し、途切れた。


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