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36. END OF THE RACE ~その"闘い"の記憶~

挿絵(By みてみん)



 ただ、駆けてきた。



 脇目もふらず駆けてきた。



 それはきっと、これまでの生涯で最も切磋琢磨した「闘い」で。己の全てを、限界を超えて振り絞り、ここまで走ってきた。




 このレース中、さまざまな事件があった。闘いがあった。けれど、それら全てを乗り越えてきた。



 思い出すのは、ここに至るまでのこと。見慣れた山の風景、美しい山桜のひとつひとつ。そして――しのぎを削った、対戦相手のこと。



 けれど、その戦いももう終わる。あと少し、ただ、当初とは少し変容してしまったゴールラインを踏み越えるだけで。様式が変わったといっても、それが持つ「意味」に変わりはない。



 「かけっこ」が今、終結する。彼/彼女が踏み出した一歩が、白いテープの結ばれた、紅い橋の高欄の延長線上を超える――







「おっ、とっ、とっ、わあっ!?」



 暫定のゴールを踏み越えた理里(りさと)は、その勢いのまま、滝壺のほうへと突っ込んでいってしまう。


 蘭子と自分、果たしてどちらが先に最後の一歩を踏み出したのかは分からない。それすら気にも留まらないほどに、彼は全力疾走していたのだ。そのくらいだから……少しゴールの先に行きすぎてしまうというのも、仕方ないというもの。


 理里が向かう滝壺の水は、珠飛亜の『無限瀧撃陣(ウロボロスストリーム)』に使用されたために、全て干上がってしまっている。藻のついた岩と泥の中に、理里の身体が落下する――寸前。



「りーくんっ!」



 悲鳴のような呼び声のあとに、ざぱん、と。冷たい液体が、理里の身体を包んだ。




(ん……?)


 理里は気が付くと、水の中にいた。


 だが、滝壺に落ちたわけではない。突如、目の前に現れた、理里の身の丈ほどもある「水の球」に突っ込んだのだ。


「球」はふよふよと空中を漂い、ある一つの方向へと向かっていく……すなわち、珠飛亜(すひあ)の方へ。


 彼女の真上に至ったところで、ぱんっ、と水球が弾け。蜥蜴男(とかげおとこ)となった理里は落下する。


「わわっ!?」


 思わず声をあげる理里。しかし次の瞬間、陶磁器のように白い細腕が、彼の身体を「お姫様だっこ」の形に抱きとめた。


「うふふ。りーくん、ひさしぶりだねっ♪」


 抱かれた腕の中で、見上げた姉の笑顔は。床に臥せる前と変わらず、明るくて。


 理里は、もう、涙をこらえきれなくなってしまった。


「どうして……!」


 いつの間にか、人間の顔に戻った彼は。嗚咽(おえつ)混じりに、珠飛亜に問う。


「どうして、治ってるのに、言ってくれなかったんだよう……! ……オレが、どれだけっ、心配したとっ」


 胸元にしがみつき、すすり泣く理里。

 それに、珠飛亜はバツの悪そうな笑みを向けた。


「あー……そのう……りーくんをおどろかせたくって」


「……はあ?」


 涙と鼻水で、顔がグジャグジャの弟に。困ったような笑顔のまま、珠飛亜は語った。


「実はわたし、四日前にはもう起きてたんだよね……肌の腫れも、その日のうちにきれいさっぱりなくなったし。

 目覚めたのを最初に見つけてくれたママに、りーくんがこんな『かけっこ』をやることになったって聞いて。それであたし、思いついちゃったんだあ……『どうせならそのタイミングで戻ってきたら、りーくんはすごくびっくりするじゃん!』って。だからママにも協力してもらって、この四日間『たぬき寝入り』してたわけなの……。

 今日は手塩くんたちにバレないように、滝の真下の水中に空間を作って、朝の六時くらいからスタンバってたんだけど……やっぱり、悪かったかなぁ」


 眉を「ハ」の字型に曲げ、申し訳なさそうに珠飛亜は肩をすくめる。


 ――だが。



「馬鹿っ……そんなわけ、あるかよ……!」



「……えっ?」


 泣きじゃくる理里は、珠飛亜と目を合わせようとしない。しかしながら、その言葉は、まぎれもない彼の心情の真実だった。


「珠飛亜があそこで出てきてくれなかったら、おれ、きっと……走るのを、あきらめてた。珠飛亜のおかげで、最後まで、全力で走れたんだ」


 蘭子のあまりの疾さに、理里は一度絶望しかけた。だが、希瑠が励ましてくれたおかげで、珠飛亜が現れてくれたおかげで、ゴールまで走り抜くことができたのだ。


「だから……ありがとう。今、おれの前に帰ってきてくれて、本当にありがとう」


 もし珠飛亜が、本当に目覚めていなかったら。きっと理里の心は、あのラストスパートの瞬間に折れてしまっていた。蘭子の圧倒的な速さの前に、足を止めてしまっていた。


 それを防いだのは、間違いなく珠飛亜だ。彼女のおかげで、ようやく接戦を演じるまでに追い付くことができた。


 今はただ、彼女が無事であること。それだけで、理里には十分だ。



 そして……珠飛亜はというと。



「な、なななな……! 『おれの前に帰る』だなんて、大胆だよりぃくぅん……♡ それって、おねえちゃんの居場所はりーくんの前だってことだもんね!? だもんねっ!?」


 頬を紅潮させ、思わず二回確認するほどに興奮している。ブラコンは今日も平常運転である。


 ……と、そこに。滝壺の上から割って入る咳払い……というより、咳。


「げほお、ごほっ、ごほっ……お取込み中のところ、悪いが。お前たち、勝敗が気にならんのか?」


 蘭子である。「激流」が消えたゴール前にひざまずき、飲んでしまった水を吐いている。


手塩(テセウス)が、ハイスピードカメラで動画を撮影していたはずだ。さっさと上がって来い、確認するぞ」


 蘭子の無造作な手招きに、珠飛亜と理里はうなずき。理里を抱いた珠飛亜は、腰の高さほどまで水が戻った滝壺を歩いていった。





「何ィ!? 撮れていないだとッ!?」


 蘭子が獅子の牙を剥き、手塩の襟首を掴む。


 鼻息を荒くして詰め寄る蘭子に顔をしかめながら、手塩は弁明した。


「だから、謝っているではありませんか……あそこまで大量の水を受けるなど、誰が想像できますか」


 珠飛亜の水流により、カメラと再生用のパソコンが壊れてしまったのだという。どちらも防水措置は取られておらず、記録されていた映像も丸々おじゃんになってしまったらしい。


「そのくらい想定に入れておけ、愚か者がァ!」


 がつん、と手塩が殴り飛ばされる。


 蘭子にしてみればたまったものではない。「勝ち負け」に何より重きを置く蘭子にとっては、己の信条を侮辱されたも同然だ。


 だが、腑に落ちないのは蘭子だけではない。


「……では、勝敗は分からないということか……? それでは、我らの戦いは、なんだったのだ……」


 岸に居た吹羅が、今にも泣きだしそうな顔で問う。ちなみに、蘭子の拘束はすでに解かれ、希瑠の(あぎと)からも吹羅は解放されている。

 希瑠は気絶したまま、犬の姿で道路に倒れている。恵奈もまた、ゴール地点から百メートル近く後方に倒れたままだ。


「我らは、命を賭してこの戦いに臨んできたのだぞ! それが全て、無に帰すというのか!」


 怪原家の皆もまた、この戦いには並々ならぬ奮闘を要した。特に綺羅などは、本来使ってはならないはずの異能を使用してまで、作戦に参加してくれたのだ。それらの努力が、全て無駄になってしまうというのか。


 両者の憤慨に対し、手塩は切れた唇から流れ出た血を拭う。


「話を最後まで聞きなさい……確かに、映像の記録はありません。しかしながら、レースの顛末(てんまつ)を私は()()()()()()



「…………!」



 蘭子の顔が歓喜に輝く。


「どうしてそれを先に言わないのだ! おーよしよし、殴って悪かったな」


 手塩に飛びかかって彼のほおを撫でようとする蘭子だが、無造作に手を払われた。


 ……しかし。それでもまだ不満な者が、ここにいる。



「ねえ、手塩くん。キミの言葉って、信用できるのかな」



 理里を抱いた珠飛亜が、冷たい目を手塩に向けていた。


「キミは……生徒会のみんなは、ずっとわたしをだましてた。いくら審判でも、そんな人たちのリーダーの言葉だけで結果が決まるなんて、わたしたちは納得いかないよ。……少なくとも、わたしは」

「納得がいかない、と言われましても。記録が無い以上、あなたがたは私の裁量に従うしかない。私が審判となることに誰も異を唱えなかった時点で、それは避けられませんよ」


 手塩が黒い笑みを浮かべる。


「……! まさかお前、最初からそのつもりで……!?」

「何ィ……?」


 指を差す吹羅、眉間に皺を寄せる蘭子にも、手塩は不敵な笑みを浮かべるばかりだ。


「さあ……どうでしょうね?」

「……貴様ぁ――――――――っ!!!!!!」


 吹羅の腰の白蛇が、手塩のもとへと飛んで行く。その毒牙が、血管の浮いた首筋を捉える――寸前。



 甘く高い女性の声が、滝壺に響き渡る。



「ちょおっと、待ったぁ~~~~♡」



「……!?」


 突然の謎の声の来訪に、その場の者たちが、混乱に駆られた直後。




 ――風が、舞い降りた。




 地面に片膝をついた手塩と、彼に襲い掛かる白蛇たちとの間に。


「っ、なあっ!?」


 強風にあおられ、吹羅はやむなく蛇を撤退させる。手塩や蘭子、珠飛亜と理里も、腕で顔を庇う。


 そして、吹き下ろすような突風によって生じた、皆の中心に空いたスペースに、一頭の「獣」が降り立った。


 希瑠の変身後の体毛とは違い、完全なる純白の短い毛とたてがみ。背から生える真っ白な二枚の翼……その姿はまさに伝説に聞こえた神馬(ペガサス)のもの。


 それにまたがっていた二人の人間が、今まさに大地に立つ。


「記録が無い、ってのはマチガイだよぉ~。だってわたし、ちゃあんと撮ってたもんっ☆」


 そう言って、自分の頬に人差し指を押し当てるのはショッキングピンクのツインテールの少女。そのかたわらで静かに立つのは、長い黒髪の、背が高くスマートな青年。


「だ、誰だアンタら……」


 理里が疑問の声を上げる。しかし珠飛亜は、苦渋と辛酸を一度になめたような表情を彼女らに向けていた。


「……麗華(れいか)、ちゃん……。籠愛(ろうあい)くんも」


 その態度から理里も判断できる。おそらくは、珠飛亜の生徒会でのかつての仲間……そして、"英雄"。


 理里は身体をこわばらせるが、麗華とよばれた少女は、軽やかな足取りで歩み寄って来た。


「あらぁ、キミが噂の『りーくん』? 確かに、カワイイお顔してるねぇ~。珠飛亜ちゃんがゾッコンになるのもわかるわかる♪」


「麗華ちゃん、近寄らないで。りーくんはあたしのだもん」


 理里を抱き上げたまま、珠飛亜は彼を庇うように後ろを向く。俺は誰のものでもない、と理里は言いたかったが、ここは控えておいた。


 麗華もまた珠飛亜に背を向け、吹羅や希瑠達に向かってうやうやしくお辞儀をする。


「怪原家の皆々さま、ハジメマシテぇ~。あたしは往魔(おうま) 麗華(れいか)。一応、生徒会の()()()だよぉ。

 こっちのノッポは卜部うらべ 籠愛(ろうあい)くん。よ・ろ・し・くっ♡」


 「よろしく」の四音に合わせて、麗華はそれぞれ煽情的なポーズを取った。脇を見せてみたり、胸の谷間を持ち上げてみたり。


「麗華さん、そろそろ本題に入りませんか」


 籠愛、と紹介された青年が、顔を真っ赤にして麗華から視線を背けながら言う。どことなく、理里は彼に同情した。


 そんな彼らの心情は気にせず、麗華はこつん、とおでこに拳を当てる。


「いっけなあーい、忘れてたぁ♡ そうそう、『記録』のハナシだったよねぇ。パパに買ってもらった本命のカメラは壊れちゃったけどぉ……はいっ♪」


 掛け声と共に、麗華は胸元からデジタルカメラを取り出す。真っ黒で、通常のものよりもパーツが多く、どこか(いか)めしい。


「近頃は、これくらいのサイズのカメラでもスローモーション機能が付いてるんだよねぇ。ズーム機能で遠距離からの撮影もバッチリだしぃ? ゴールの瞬間、ちゃあんと撮れてるよぉ~」


 ゆらゆら、とカメラを揺らす麗華に、蘭子と珠飛亜、吹羅が駆け寄る。


「早く見せろっ!」

「再生して、ほらそこのボタン!」

「慌てないのぉ。えっと、ここかな……」

「わ、我もっ、我も見たいっ」


 途端に(かしま)しくなる少女たち。

 その後方では、手塩が渋い顔をしていた。


「……余計なことを」


「……どうだか。貴方も本気ではなかったのでしょう? たまたまカメラが壊れたから、少し可能性に賭けてみただけなのでは?」


 毒づく手塩に問うたのは、ここまで沈黙を保っていた籠愛である。


 静かなその声に、手塩はやはり仏頂面のまま答えた。


()()……()()()()()()()





 一般的に、陸上のトラック競技のゴールは、競技者の胴体部(すなわち、頭・首・腕・手・脚・足以外の部分)が、ゴールラインの近い方の端の垂直面を越えた瞬間に確定する。よく「胸がゴールラインを越えた瞬間」と言われるが、これは誤りである。


 今回の「かけっこ」は非公式戦であるが、そのルールに則って判定を行う……というような、手塩の説明を挟み。今ようやく、動画の再生ボタンが押されようとしていた。


「いよいよだな……!」

「うん……!」


 理里と珠飛亜は、息を呑む。蘭子は珍しく、表情をぴくりとも動かさない。


「あれぇ、蘭子ちゃん緊張しちゃってるぅ? 意外と上がり症なんだねぇ」

「……五月蠅(うるさ)い、さっさと再生しろ」


 麗華の軽口にも耳を貸さず。蘭子が見つめるのはデジカメの画面、ただ一点のみだった。


「ハイハイ……じゃ、ボタン押すよぉ」


 やれやれ、といった態度で、麗華の親指が再生ボタンを押す。



 動画の開始は、理里がまだ画面の外に居る時点からだった。この時、まだ蘭子は一歩も動けていない。ゴールライン、すなわち赤い橋の左側の高欄の延長線上には、いまだに至っていない。ちなみに、動画はゴールラインの垂直線上の上空から撮影されている。


「あっ、りーくん来たっ!」


 珠飛亜の歓声が示すよう、理里が画面に現れる。スーパースロー映像のため、その動きはとてもゆっくりだ。


「……なんか、もどかしいな」

「そう? わたしはりーくんの頑張ってる姿がいっぱい見れて、幸せだけどな~♪」

「……静かにしろ。私がゴールしているかも知れない、じっくり見るぞ」

「はぁい……」


 蘭子に叱責され、珠飛亜はシュンとおとなしくなる。その間にも動画は続いていく。


 動画の中の蘭子がなかなか動かない間に、理里が着実に、一歩一歩を進めている。流石に、見ている蘭子の顔にも汗が噴き出してきた。


「動け…………私は、動いたはずなのだ……! 最後の一歩を、確かに踏み出したのだ……!」


 願いも(むな)しく、理里がゴールまで残り二歩、というところまで迫ったとき。



 ――蘭子の身体が、わずかに動いた。



「…………!」



 今度は、理里と珠飛亜、そして吹羅が汗をにじませる番だった。



(頼む……! 間に合え……!)



 理里は心の中で手を合わせ、祈るように小さな画面を見つめる。


 動画はゆっくりと進む。一コマずつ、少しずつ。蘭子と理里が、それぞれに、画面上を十分の一ミリずつ動いていく。


 そして――蘭子の足が、ついにゴールラインを踏みしめた。


「っ!?」


 理里はまだ、それを踏み越えるには至らない。だが、胴体はほぼゴールラインを越える位置にある。


 蘭子の一歩が先か。理里の疾走が先か。残り数コマ、二人は依然拮抗を続け――




 ふいに、理里の身体が先に出た。




「……えっ?」


 それは、あまりにあっけなく。動画は今も進み続ける。理里がゴールラインを越えてなお、ゆっくりと。


 次の一コマで、蘭子の胴体もまた、ゴールラインを越えた。そのまま蘭子が画面の外に出て行ったところで、動画は終わった。


「えっ、と、これは…………」


 自信無さげに、理里が麗華に視線をやると。


 彼女は鼻を鳴らし、苦笑した。



「ええ、本当に残念だけどねぇ。

 おめでとう、怪原理里クン……そして、怪原家の怪物の皆さあん? この『かけっこ』はアナタたちの勝ち。ゴキブリ以下の怪物どもの平穏は、()しくも守られちゃったのでしたぁ~」



 パンッ、と麗華が、どこからか取り出したクラッカーを鳴らし。理里は顔を珠飛亜と見合わせて。



「「「…………やったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」」」



 抱き合う珠飛亜、理里、吹羅の三人……いや、三匹。人の姿の者も、化け物の姿の者も、入り乱れて喜びを分かち合う。


「っ……うるせえなあ、何の騒ぎだ……」


 希瑠が人の姿に戻り、身体を起こす。そして、視界に入った歓喜の場面から、全てを悟り。


「……っしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


 そのまま彼は、三匹の輪の中に飛び込んだ。


「わわっ!? 兄さん、驚かさないでくれよっ!」

「なあっ!? ちょっとお兄ちゃん、今ヘンなとこ触んなかった!?」

「大兄上、重いっ、重いですうぅぅぅ」


 受け入れる彼らも、言葉は少しトゲがあるものの。その表情は、満開の笑顔の華で。


 これからもきっと、このような戦いは続いていくのだろうけれど。いつかは終わってしまう幸せなのかもしれないけれど。今はただ、この勝利を喜べばいい。皆で勝ち取ったこの勝利を、この時間を、この現在を。その歓喜の記憶を積み重ねた先の最期の瞬間に、「ああ、いい生涯だった」と笑えることが、一番の幸福なのだから。


 怪原家と、田崎蘭子(アタランテ)との壮絶な「かけっこ」。参加者それぞれが魂を燃やしたその戦いは、今、「絆」の勝利に決着した。

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