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星狩りのレプタイル ー邪眼のトカゲと夜空の英雄たちー  作者: 若槻味蕾
第6章 第3節「追想:新・十二の功業」
163/165

161. 幕間 How to win? 2

 これまでで最大の戦いの決着に、会場は湧きに湧く。


「うおおおーーっ! オリンポス十二神すら倒すなんて、やっぱりヘラクレスは最強だーーっ!!」

「そんな、アテナ様があんな粗野な男に負けるなんて……!」


 歓声をあげる男たちと、泣き崩れる女たち。それぞれのファン層がよく分かる。


『なんとなんと、ヘラクレスまさかの逆転勝利ィイーーーーッ!!しかしケイローンさん、最後の攻防、あれはどういった流れだったのでしょうか? 今までの戦いよりかなり高度で、凡人の我々では理解が及ばなかったのですが……』


『順を追って解説しましょう』


 木彫りのケイローンが得意げに笑う。


『アテナ様の権能で、ヘラクレスは一度消し炭にされました。しかしどうにか、眼球だけに魂を残すことができた。


 われわれの魂は、肉体が滅んだ時点で世界との繋がりを絶たれ、冥界に弾き出されます。魂が何かに宿らず存在できる場所は冥界しかない。冥王ハデス様の力で、一部の生命には四十九日ほどの猶予が与えられますが……通常、全身が吹き飛べば肉体にしがみつくのは不可能です。しかしヘラクレスは精神力で目玉に残った。驚異的です』


『なるほど、そしてヘラクレスには目玉だけになっても戦える力があった……!』


『そう。雷を操り、自分自身も雷になれる権能です。意志力と少しの肉体さえ残っていれば、彼は戦いつづけることができる。

 自分自身に雷を落とすことで、肉体を補充することもできる……これはおそらく、この戦いで思いついたのでしょうが。戦いながら、ヘラクレスは自分の新たな力を学んでいます』


『ほほう……!

 では、最後の分身はどういった仕組みだったのでしょう? 我々には、突然アテナ様の背後に雷のヘラクレスが現れたように見えましたが』


『アテナ様の槍には、雷を地面に散らすための線が付いていました。ヘラクレスは槍に吸収された雷をその線の中で止め、自分の分身を作れるほどまで蓄積した。わざとアテナ様の槍に当たり、分身を作るための雷をそこに貯めていたというわけです』


『なるほど……! 彼にそんな考えがあったとは! 知恵比べでもアテナ様を制したわけですね!』


『……はは、そうとも言えますね』


『知恵の女神たるアテナ様を、知恵で制したヘラクレス! この圧倒的な強さは、いずれ神帝にさえ手が届くのではないでしょうか!!

 さあ、次の相手は戦神アレス様です! 乞うご期待!!』

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