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星狩りのレプタイル ー邪眼の蜥蜴と夜空の英雄たちー  作者: 若槻味蕾
第6章 第3節「追想:新・十二の功業」
155/165

153. Battle 6 雷霆

「ーーーー!」


 炎が、迫る。


「うおおおおおッ!!!」


 ヘラクレスは空から、そして(おのれ)の身体から雷を放つ。だが炎はそれさえはじき飛ばし、ヘラクレスへと一直線に向かう。


「終わりだ、ヘラクレス!!!!!」


 ルピオネがそう叫び、炎の流星がヘラクレスを包もうとーー



「父よ……」



 ヘラクレスが、つぶやく。


「恐れ多きこと。だが、雷を放つ最適解は、この(かま)えより(ほか)になく」


 突如、ヘラクレスは『雷神化』を解除した。

 生身の皮膚が流星の熱に灼かれ始める。


「何やってんだあいつ!?」

「ヘラクレス、今それを解いたらダメだあ!」


 観客席から悲鳴が上がる。


 だが、ヘラクレスは少しも怖気づく事なく、

 右手を、頭の後ろに構えた。まるで槍投げ(・・・)のように。


『え……』

『あの構えは!』


 実況席、そして客席がざわつく。

 その刹那、構えたヘラクレスの右手に雷電が渦巻く。


「お お お お お お お お お お」


「あれは……!」

「おい、あれって……!」


 木彫りの蛇も、龍も、生身の蟹も、その構えに目を見開いた。

 その構えは、このギリシャ神界であまりに有名な、権威(ゼウス)の象徴であったから。



「"偽・(ファルサス・)雷霆(ケラウノス)"!!!」



 極大となった雷の槍が、否、"雷霆(らいてい)"が投げ放たれる。一直線、それは赤き炎の流星と衝突し、


「うおおおおおおおっ!??!????!?」


 拮抗。流星は突如勢いを止められ、ルピオネは戸惑った。


「ハ、神帝の技を真似るとは無礼千万! しかし所詮は偽物、我が炎で押し潰してやるわアアァ!!!!!」


 すぐに意気を持ち直し、炎の勢いで雷を打ち消そうとする。

 だが、すでに、


「ハ…………?」


 炎は消えていた。いま彼女を包む白い光は、敵から放たれた青白い雷の光だった。


 雷霆が、流星の炎を瞬く間に消し去った。


「あーーーー」


 断末魔さえ許されない。圧倒的な光の本流の前に、ルピオネの体は塵すら残さず、消えた。

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