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117. I am Dandy, is it not so?

「黄色……?」


 希瑠は戸惑う。


(オレの怪物態の目は赤だぜ……? 人間態の目は純アジア系の黒色だ。光の加減で見間違えてんのか……?)


 ふと、割れた鏡の破片が目に入る。壁にかかっていたものがマッチョの激突で砕け散ったものだ。

 その中に居る自分の目は、


(……なんだ、やっぱり黒じゃないか)


 人間態に戻ったのだから当たり前だ。希瑠は嘆息して少女の頭を撫でる。


「さ、もう寝な。妖精さんが寝床まで連れてってやるよ、どっちだ?」

 聞くと少女は希瑠が走ってきた廊下の方を指さした。

「あっち! ……あれ、おめめがくろくなってる? さっきはきいろにみえたのになあ……」

「見間違いだっての。今日のことは夢だと思って、さっさと忘れるんだな」





 幼女の案内通りに2階に上がると、高校生くらいの金髪の少女が、オロオロしながら声を張り上げていた。

「マリン? マリン!」

「おねえちゃん!」


 金髪の少女はこちらに気付くと駆け寄ってきた。幼女も希瑠の手を離して、金髪の少女に駆け寄っていった。

 彼女たち姉妹は、往魔グループと付き合いがある企業の令嬢らしい。今日は麗華の父親に招待されてここに泊まっていたそうだ。深夜に妹が寝床を抜け出してしまい、姉は必死で探していたそうだ。


「しかし、何の騒ぎだったのでしょうね……あのような殿方が屋敷に侵入するなど。深夜に鬼ごっこ大会でもしていたのかしら? あ、あなたも参加されていたのですか? その、面白い格好もされていますし……」

「ハハ、まあそんなとこさ……」


 希瑠は自分のオーバーオールを見下ろして苦笑いを浮かべた。


「おねえちゃん、ねむい~」

「あら、そうでしたわね。早くお布団に入りましょうね」


 金髪の姉は使用人に妹を引き渡し、自分は希瑠の方に向き直った。


「妹を見つけていただき、本当にありがとうございました! よろしければ、最後にお名前だけでも……あら」


しかし、赤い帽子を被った長身のつけヒゲ男は、もうそこに居なかった。



「配管工はクールに去るぜ、ってな……」


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