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第1話 心の騒めき

ついに第1話です!

本編の内容はここからなので気合を入れて書きました!

「やっぱお前天才だよな!」


 ーー天才と呼ばれた。


  昔から、人よりも少し勉強ができるから。


  人よりも少し運動が出来るから。


  初めは嬉しかった。誇らしくもあった。褒められているのだ、その気持ちは当然であろう。

  だが、そのうちその言葉の呪いに苛まれ始める。


  ある時、誰かが言った。


「えっ、お前がこんなミスしたの?」


(俺だって人間だ、ミスをして当然ではないのか?)


  即座に出てくる抗議の言葉を押し殺す。


「天理くん…。いつもの君ならこんなミスしないだろ?」


  失望にも等しい目を向けられ、心が割かれて悲しみで満ちる感覚に襲われる。


(周りの生徒なら特に咎められることも無い些細なミスじゃないか…!)


 ーーどうして俺は特別扱いされないといけないんだ…!



  そうして日常的に完璧な自分、天才である自分を求められた俺は、とうとう耐えきれなくなり努力をやめた。


  当然周りから失望された。その空気に触れているのが嫌で高校を中退し、大学に行かずアルバイトをして暮らしていたーー。



音羽(おとわ)ー、父さんと母さん何時頃帰るって?」


  バイトから帰宅し、上着をハンガーにかけ、部屋着の袖に手を通しながら弟の音羽に問いかける。


「あれ、聞いてなかったの?父さんと母さんは今日から仕事で東京に一週間の研修だって。」


  音羽は、テレビを見ながらコンビニで買ってきたらしいカップ麺を食べていた。


「そっか、わかった。なら今日から一週間、俺が家事やっとくな。」


  両親はともに医療関係の仕事についており、定期的に本社のある東京へ研修にいくので、石上家では兄弟だけで家にいるのは珍しくないことだ。

  両親不在の間は、長男である天理が家事全般を担うのが当然であろう。


「おーい、音羽くん?君は受験生なんだからいつまでもテレビ見てないで受験勉強するようにね?」


  夕食の支度をしながら、少しおふざけ口調で注意を促す。

  音羽は現在中学3年生で、受験生なのだ。


「もー、それくらいわかってるよ。あーそうそう、勉強のことなんだけど、僕明日から塾の受験合宿があるからしばらく留守にするねー。」


  音羽はカップ麺を食べ終わり、横になりながらさらりと告げる。


「えー、それ初耳なんだけど。まあ、しないといけない家事が減るのは助かるが。」


「というわけで、今日は勉強しないのだ!」


「んー。よし、明日からみっちり鍛えられるだろうから今日は大目に見てやるかな。」


「やったぜー!!久々に放置気味だったソシャゲとかやろーっと。」


  半分は怒られるのを覚悟での勉強しない宣言だったらしい。

  許可をした途端に、目の色をキラキラさせて自室へ駆け込んでいった。


  天理はすぐに調子に乗る弟に呆れながらも、そこが可愛げがあって、

(まだまだ子供だな。)

 と、つい許してしまうのであった。


 ーーしばらくして、夕食を作り終えた天理は、音羽と共に夕飯を済ませて、風呂に入り湯船に浸かっていた。


(明日からひとりか…。音羽や父さんと母さんには悪いけど、そろそろ頃合いかな。)


 どんなに外面を取り繕っても、心に開いた小さな穴から、彼の崩壊はとっくに始まっていた…。


 石上家の4人揃って笑顔で過ごす日々の終わりは、もう数歩先まで迫っていた。

やっと1話を投稿できました( ̄▽ ̄;)

誤字脱字のチェックなどをしていたら遅くなってしまいました…

次話から怒涛の展開を繰り広げる予定なので、期待しておいてください!(笑)

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