70話
今日もセルジオはダンジョンの中に居る。
いい感じに発酵が進む肉片が、床一面に散らばっている。
セルシオは地下に降りる度に思うのだが、ゴーレムはもう少し手を抜いても良いのじゃないかと思う。
骨が砕けて圧死する位なら、まだ誰だか確認の仕様もある。
しかし、ここのゴーレムときたら、殆ど挽肉状態にまで侵入者を叩きのめす。
仕事が丁寧過ぎるのだ。
固形を見ると念を入れすり潰したいのか? と聞きたなる位くっちゃくちゃなのだ。
それに、どれだけの勢いで殴りぬいたのか、高い天井にへばりついた肉片が見えたりもする。
そりゃ云千年出番が無かったかもしれないが、さすがに3階建以上の高さにまでぶっ飛ばすのは勘弁してほしいと思う。片付ける身にもなって欲しい。ゴーレムはヒャッホイし過ぎだ。
ちなみに天井に張り付く肉片は回収できそうにない。
それでも、二週間以上経つとそれなりの変化がある。
半乾きになってきたのだ。
今までレア状態で片付けていたセルジオも少し気楽さを感じる。
ガシャン ドサ・サ・サ・・
『!!!!』
誰も居ないはずのダンジョンに何かが動き倒れたようなエコー最大の音がする。
「生き残りが? もう20日は経つぞ?!」
セルジオは回収の手を止め、音の方にカンテラを翳す。
しばらく息を潜め様子を見守る。
ガシャン ドサ・サ・サ・・
再び音がする。
「インプが、何かを運んでいるとかか?」
彼は急いで遺体回収袋の口を閉じ壁沿いまで運ぶと荷を置く。
カンテラの油を確認し、行けると判断したセルジオは石鋤を肩に先を見据える。
「・・・・やばいのだったら嫌だなぁ、一人だし」 がっつり逡巡する。
「・・・・けど、生存者だったら助けてあげたいし・・・・はぁ」
大きな溜息をつき、結局音の方に向けて進んでいくセルジオだった。




