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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第二部 王国の食指
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69話

 このところ、毎日血糊でドロドロのセルジオ。

 一日どんなに頑張っても精々12体の遺体を担ぎ戻るの精一杯なのだ。


 遺体は冷暗所と言えるダンジョンにあるとはいえ、3日目には明らかに腐臭を漂わせている。


 クディは王国軍の遺体回収は少しゆっくりでも構わないと言うが、同僚の遺体を遺族に届けてやりたいと懇願する兵士達に押し負け、セルジオは今日も王国兵回収を主にダンジョンに潜っていた。


 「ふぅ、遺体が大分腐ってきたなぁ・・・・」

 腹部が残る遺体は体内にガスがこもり、少し膨らんでいるものが要所に目につく。

 そして、一週間を過ぎたあたりから、腐臭がとんでもない刺激臭に変わり目鼻にくるようになる。

 それでも、セルジオは糸を引く遺体を袋に詰めて坂道を往復し続けていた。


 地上に戻ると、駆けつけた遺族が淡い期待と共にセルジオを出迎え、ひどい腐臭に顔を歪める。

 

 だが、その夜、異臭を放つ棺に縋り憔悴する遺族を、死者が霊魂となって訪れる。

 死者と遺族が奇妙な邂逅の時を過ごす。


 その噂が噂を呼び、また遺族が集まる。


 セルジオはダンジョンと屋敷の往復を繰り返すだけだが、日中の屋敷は多忙を極めていた。


 精神を病んだ兵士達を家族が引き取るのを出迎え送り出し、王国軍の代わりに家族に慰労金を握らせる。

 その送迎の傍ら、遺品をもとめる貴族や商人が行きあい、そこに納品の業者がつどう。


 商売とは評判が命であり、ニーニャの商はさすがに惨劇後、数日は閑古鳥が鳴いていた。

 しかし、一部兵士の帰還が始まると今まで以上に客が押しかけていた。(王国がダンジョンを管理すると品物が一部の特権階級にしか手に入らなくなるとの噂が流れたからだ)


 その為街道から村を抜け屋敷に至る拡幅された道は、この村始まって以来の大渋滞を起こしていた。


 だが、セルジオはただ遺体をダンジョンから運び出す日々。

 そんな事はお構いなしに今日もダンジョンに潜っていく。

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