63話
グレゴリアルとの面談の後から、セルジオの機嫌が悪い。
今までの彼から聞いたことも無いグチが、彼の口から零れている。
「・・・・たく、下でどん何なってるか・・・たく。
ほいほい死なせて使い捨て?なにそれ!?
生きてたらいいけど、一人で運ぶ身になって欲しいもんだよ・・・・」
いつもの装備では心もとないセルジオは、部屋に形見の短剣を取りに向かう。
戻りながら、ブツブツと独り言を零していた。
「どうしたのぉ~ん、セルジオちゃん?」
朝も早いのにクディがジードちゃんどこ?」といいながら現れる。
「最近ジードちゃん、なかなか捕まらなくてぇ、屋敷の中に居る気配はするんだけどぉ・・・・」
「・・・・」変態紳士がまじまじと見つめてくる。
「あら!?ごめんなさぁい。
セルジオちゃんの浮かない顔なんて始めてみたから、私キュンキュンしちゃったぁ。
で、何があったの?」口調とは全くかみ合わない真剣な表情で訪ねる。
セルジオが顛末を話す。
「まぁ、そんなことに成るわね・・・・うん、分かったわぁ、ありがとセルジオちゃん!
私ちょっと行ってくるからぁ、ジードちゃん見かけたら捕まえててねぇ~♪
あと、このこと元村長にも言っておくのよぉぉ?!!」
廊下を乙女走りで駆けてゆくクディ・・・・しかも早い、謎の変態紳士である。
元村長の部屋を訪れる。
一晩寝ずに惨劇を目にしていた彼も、朝早くから書類の束を整理している。
「お?セルジオ・・・・様、どうした?何かあったか?」
クレオリアルよりは生気があるが、歳の為か少し辛そうな素振りをみせながら、セルジオを迎える。
再び、セルジオが事の顛末を語る。
「うむ、クディはもう動いたのだな? なら心配あるい。
儂がニーニャとジードに話しておこう。
所で、お主はもうダンジョンに潜るつもりか?」
村長がセルジオを気遣う様に尋ねる。
「はい、なんでも500名以上戻らないそうです」
「かぁ、そんなに送り出して居ったか・・・・
とはいえ、無理はするな? 拙ければ直ぐにもどるんだ、よいな?」
「はい、出来る事はたいしてありませんから」
そういうと、セルジオはこれまでの様に、再びダンジョンに潜る準備を始めたのだった。




