53話
「あのぉ、俺は何すればいいのでしょう?」
セルジオは周りを見回す。
周りのみんなはポカーンと口を開けて、使節を見送る男色紳士を見ている。
馬車と騎士が坂の向こうに消えてゆく。
馬車が消え、しばらく変化が無いか一同が凝視している。
褐色の男色エルフが、んぅ~ん!と背伸びをして振り向く。
「はぁ~眠たかったぁ、なにあのアゲ親父、話しクソ面白くないのよぉ。
もう思わず欠伸が出そうになってぇ、もぉ涙出ちゃったぁ。
あぁ~ん、なんか親父臭いのうつってない? ねぇ?」
いつの間にか、ジードの横にぴったりくっ付いて、クーリンディアドがシナを作って垂れかかる。
ピキーン! ジードが凍りつく。
「ジードちゃん、私がんばったでしょ? ねぇみんな、そう思わない?」
ニーニャに元村長、レェブラーシカとメイドまで首を縦に振る。
「だからぁ、ねぇ少し位ぃ、我がままいっても良くない?」
クーリンディアドの指がジードの首筋を這う。
「そうだのぉ、明日には軍が来るじゃろうし、打ち合わせが必要だの。
一時間休憩の後、セルジオの部屋に集合でよいか?」
「まぁ♪ 休憩?! うんうんよくってよ♪」
クーリンディアドの顔が輝くように明るくなるのに対して、ジードの目が死んでいる。
「あぁそうそう、クーリンディアド殿? 変なことはするなよ?」
「え? まぁ、ジードちゃんが嫌がることは、極力しないわよぉ・・・・」
目が泳いでる男色紳士に釘をさし、元村長が解散を宣言する。
何故かジードに張り付いてるクーリンディアドをつかず離れず追跡するメイドとレェブラーシカ達。
・・・・
「・・・・ケレブレシアさん?」
「何だ?」
「荒事担当の俺達って、いつまでここで待ってればいいんでしょうね?」
「私に聞くな!」
「じゃぁ誰に聞けばいいのでしょうか?」
「知らん!」
このあと半刻程、男前エルフと墓穴堀&農作業の男衆が店の屋根の上で待ち続けていた。
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