46話
「む? だれだ・・・・セルジオに他の面々まで、何かあったか?」
「あ、レ、レ、レの・・・元村長、これを見せようと思って・・・・」
セルジオは巻物と指輪を取り出しセルジオの机の上に置くと、部屋に居るみんなが集まる。
「無闇に触らないでね、魔力高そうだから下手すると死ぬわよ!」
ニーニャがルーペを取り出し一頻り見た後、手袋をした手でピンセットを使い指輪の位置を変える。
また観察してトレイに移し、まず日の光に翳す。
指輪が朝日にキラリと輝く。
続いて暗幕のような黒い箱を用意し、その中に指輪を納めスポイトの様な物で何かの粉を吹きかける。
フッ・・・・ファァァ
箱の中から淡い光が外に漏れる。
「露骨に闇のアイテムね・・・・しかも光り方がすごいわよ? こんなの初めて。
朝方に、光を感じる程反応するのだから、正直めちゃくちゃヤバイ指輪確定・・・・」
正直もう触りたくない、と言いたげに指輪をそっと戻す。
「巻物は・・・・」
革用紙の隅をほんの少し削り、ルーペで確認する。
「やっぱりドラゴンの革みたい・・・・」
鑑定用の鞄からランプを取り出し、火を付け炎の勢いを絞った後、懐から砂時計を取り出し時間を計り始めた。
削りカスをピンセットで炎に潜らす。
ピンセットの先が次第に赤く焼け始めるが、革は一向に燃えようとしない。
砂が落ち切る。
「ドラゴンの革用紙、確定・・・・と蝋封ね・・・・」
ピンセットですごく慎重に蝋封を触る。
パチ!
ピンセットの先がスパークして弾かれ、溶け落ちる。
衝撃の反動か、ニーニャはピンセットを手放したが手が痺れているようだ。
「痛っ痛っ・・・・ピンセットも手袋も魔力絶縁なのに突き抜けるってどんだけ?
この封印も激ヤバなんですけど・・・・」
後ろで佇む褐色の肌の女エルフが口を挟む。
「それは、ゴダール以前の魔法だ」
後ろに立つダンディな褐色エルフがそれに頷く。
ズキューン!ズキューン!
昭和の香りという、謎の香りがするエコーがMAXで掛かった狙撃音が聞こえた気がした。
胸を押さえた、ジードとレェブラーシカ。
瞳の中にハートマークが輝き、エルフを見据え固まる。
元村長が二人を見て『アチャァ』と、こめかみを押さえる。
こんな時に二人は、不治の病に罹患したのだった。
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