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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 一章 墓守始めました
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44話

「国の軍隊が来る」

 レイクウッド(元村長)の一言で執務室の一同が身を固くする。


 いや、例外が一人と一匹。


 セルジオは全く動じていない。

 「・・・・あの、なにが拙いのですか?」

 みんなの視線がセルジオに向く。


 「あぁ、そうだよなお前はそう言うヤツだったな」

 ジードが笑いながら、彼の肩を叩く。


 「どうして、そう思うのだ?」元村長が聞く。


 「はい、そもそも400万体も俺一人では、一生かかって弔えるかどうか・・・・

 軍隊の人って言うくらいだから、強いのでしょ?

 だったら早く弔って上げれると思うのですが・・・・」


 元村長も開いた口が塞がらない。

 「・・・・セルジオさん、多分お金も全部取られちゃうと思うのだけどそれも構わないの?」

 ニーニャが恐る恐る尋ねる。


 「はい、もともと俺のお金じゃないし・・・・亡くなった兵士さん達が好意で置いて行った物でしょ?」

 ニーニャもポカンとした表情になる。

 国家予算を上回るお金を、要らないというのだ。


 「ハッハッハッハ!!!」

 ジードが愉快そうに笑う。

 「うんうん、セルジオは全然変わってないな、俺はそんなお前が大好きだよ!」

 涙を流しながら笑うジードを、何がそんなに面白いのか解らないといった風で見るセルジオ。


 「・・・・そうか、そうだな、わしらが勝手にお前を祭り上げたのかもしれんな・・・・」

 元村長も腕を組んで頷きながら、セルジオの言葉を噛みしめる。

 「わかった、お前の気持ちを尊重しよう、皆の者はどうだ?」


 ニーニャは少し逡巡しゅんじゅんするが、口を開く。

 「私も十分稼がせてもらったし、セルジオがいいっていうなら構わないけど・・・・

 すこし勿体ないきもするわね」

 「そ、そうですか? もう呪われる心配しなくても良いのですよ?」

 セルジオがニーニャを見つめて尋ねる。


 「あ、えぇ、そうね・・・・確かに遺品を売ってるんですものね・・・・

 けど、私はあなたに危害を加えようとするなら抗うわよ?!」

 ニーニャが冷たい顔でニマリと笑う。

 セルジオは商談中のニーニャを思い出し少し怖く成る。


 「私はニーニャさんのお世話に来ただけだから、なんの意見もありません!」

 レェブラーシカが後ろに手を組んで、なんで私がここに居るんだろうって感じで答える。

 「俺もセルジオに何かあれば、国王でもぶん殴りにいくぞ!」

 鼻息荒く、ジードが吠える。

 「まぁまぁ、事を荒げる必要はないかの。

 まずは、先方の勅使が来るのを待とうと思うがどうだ?」

 ジード。ニーニャが頷き、つられてセルジオも頷く。

 「では、その方向で対応するとしようかの」頼りになる元村長。


 「俺は、何をすればよいでしょう?」

 セルジオは何かしないといけないと思うが、やっぱり何も思いつかなくて尋ねる。


 「お前は、そのままで、いんじゃね?」ジードが二カッと笑いながら言う。

 「そうですね、セルジオさんはそのままがいいですよ」ニーニャも追随ついずいする。

 「そうじゃの、お前はそのままがよかろう」村長もなぜか笑っている。


 セルジオはなんだか心が温かくなるのを感じるが、なんだかとても不思議な気分で少し涙ぐむ。


 「あとは、わし達で調整するから、今日はお前は休むといい」

 気の良い仲間は、セルジオの書斎を笑いながら出て行った。



 書斎から出た一行、村長は小声で言う。


『気張るぞ!』

『おう!』『はい!』『はい』


 厳しい顔をした仲間がそれぞれの決意を胸に去って行った。



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