41話
いつの間にか寝てしまった。
朝日が顔を撫で、いつものように目が醒める。
「知らない天井・・・・」
お約束のセリフを言うセルジオ。
いつもの服を着て顔を洗おうとするが、愛用の割れかけた水甕がない。
コンコン
ノックする音が聞こえる。
メイドが洗面器と水差しをもって現れる。
その後ろには、タオルと朝食をもったメイドが続く。
「!?」
洗面器に注がれるのは水でなく湯で、そこで絞ったタオルを差し出される。
わけがわからす受け取り、顔をぬぐうとタオルが真っ黒になる。
「わぁ!ごめんなさい」
汚したタオルに恐縮すると、メイドはニコリと笑い再び洗面器で濯ぎ、絞り差し出して来る。
ほかほかの温タオルは気持ちよく、顔だけでな耳や首筋まで拭く。
何度も垢と汚れで真っ黒になるタオルを濯いでくれた。
さっぱりした後、メイドから食事を差し出される。
いつものサンドイッチだ。
たぶんレェブラーシカが作った物だろう。
それを頬張り、石鋤を持って出ようとすると、メイドの一人が袋にいれた包みを差し出す。
「お弁当でございます」
「・・・・あ、ありがとう」
もういろいろ居た堪れなくなって、逃げるように家をでる。
出るときも、メイドが付いてきて、玄関口で深々と頭を下げる。
「はぁ・・・・落ち着かない」
溜息をつき畑に向かうと、見た事もない立派な体格の農夫が帽子を脱ぎ頭を下げてくる。
『だ、だれ?』
もう、畑の雑草は抜かれ、家畜小屋の掃除まで済んでいる。
・・・・
『俺の仕事がなくなってる』
少し寂しい気持ちになるが、やる事もないので、ちょこんと頭を下げてそのまま墓所に向かう。
「あ!」
数人の男性が、もう墓穴を掘り始めている。
「セルジオさん! おはようございます!よろしくお願いします。」
『ここの仕事も、取り上げられちゃったよ・・・・』
頭をポリポリ掻きながら、両親や他の塚に祈りを捧げ、大石に向かう。
大石の周辺だけはいつもと変わらない。
ゴーレムの頭が腰かけの様に土に埋もれている。
『結局ニーニャさんに言いそびれたままだなぁ』溜息をつきながら反芻するように考える。
ゴーレムの頭に腰掛け一息つき、ダンジョンに降りて行くセルジオだった。
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