39話
夕方、セルジオの家の裏に建てられた建物の落成式が行われた。
「「「「「セルジオさんおめでとうございます!!!」」」」」
レェブラーシカさんに案内されて向かった一階の食堂のような大広間に入ると、大勢の人が声を上げ、拍手喝さいを向けてくる。
サプライズのつもりのようだが、まったく実感のない彼には、ただ場違いな感じしかしない。
しかも、少し高い雛段に案内され、『一言』と言われるが、頭は真っ白でなにも出て来ない。
・・・・沈黙が流れる。
「・・・・ありがとう、新しいお店が出来て俺もうれしいです」
皆が怪訝な表情で見守っている。
見かねたジードが近寄り、耳打ちする。
「ここ、お前の家だよ」
「・・・・え? えぇぇええぇぇぇぇえええええ!!!!?!?」
ドッと笑い声が起きる。
再び笑い声と拍手が起きる。
両親がなくなったときの射すような視線ではなく、柔らかい和やかな視線が溢れている。
「あ、あの・・・・祝ってもらって、ありがとうございます、以上です。」
セルジオは急いで雛段から降り、隅っこに逃げる。
まだ、心臓のドキドキが止まらない。
村長がみなに『では、みなさん楽しんで行ってください!』声をかけ宴会に移行した。
「セルジオ、少しよいかの?」
村長が彼の側に食事を取り分けたプレートをもって歩み寄ってくる。
「・・・・は、はい」
「明日から、儂とリリルがここに引っ越すがよいか?」
「え?・・・・なんでですか?」
「おいおい、いまさらダメだと言うなよ?」
「・・・・あ! 村長やめるって話ですか?」
「まぁそうだ、そしてゴートフィッシュ家の家宰を務めようと思う。」
「・・・・ゴートフィッシュ?」
「おい、知らんのか? お前の母の姓だ」
「はい、初めて聞きました・・・・」
これを、といって村長が短剣を差し出す。
鞘には城の形の盾の中に下半身が魚の雄山羊が描かれ、ドラゴンとグリフォンが盾を支える紋章が象嵌で誂えられた美術品のような短剣だった。
「お前の母からな、生前預かっていた物だ。
何かあったらお金に変えてくれと言われていたが、焼け石に水だったので売らずにいた物だ。
それに、これから姓が無いといろいろ面倒でな。
手続きは、もう済ませてある」
セルジオは知らない所で、話がバンバン進んでいることに、再び目眩を感じる。
「それと、今度からお前をセルジオ様と呼ぶからその心算で居て欲しい。
儂の事は、レイクウッドでも家宰でも好きに呼んでくれ。」
「・・・・じゃ村長で・・・・」
「ハッハッハ、村長などしたい奴にさせればいい。
しかし、村長ではいろいろ面倒でな、爺とでも呼んでくれ」
「・・・・いや、村長がいいです」
「だから・・・・それだと拙いと言っているだろ?」
頭を振り溜息をつく。
「・・・・じゃ、レイクウッドさんで・・・・」
「さんは要らん!」
「・・・・じゃ、慣れたら取る方向で・・・・」
「・・・・しょうがない、それで良い。明日からよろしく頼むぞ!」
村長はカラカラと楽し気な笑い声を上げその場を辞していった。
セルジオはその後、これまで話したこともないような人々に入れ替わりたち替わり挨拶をされ、何を食べたか解らないまま夜が更けていった。
※注意:ちょっぴりホラーです。
パンパカパーン♪ 100ブックマーク感謝企画!! パフパフ♪
『・・・・!』
『・・・・・・・・!』
『・・・・?!』
(プロデューサー:おい!音声拾えてないぞ!)
ゴトゴトゴガササ
(音声:拾えてます!感度MAXですよ!)
『・・・・!・・・・!?』
(プ:ささやき声はさっきから聞こえるが、何言っているか聞き取れないぞ!)
(音:いいえ、針振れてません!ほんとに声ですか?)
(カメラ:被写体はどこですか?)
(プ&音:カメラの前にいるけど・・・・)
(カ:何も映ってませんが・・・・)
(音:作者さんが招いた方って誰です?)
(プ:ゴダール軍の兵隊長が3名来ているでしょ? そこ、カメラの正面・・・)
(カ:ゴダール軍って云千年も昔のあれでしょ?)
(プ&音&カ:・・・・)
(プ:もう放送事故でいいか?!)
(音&カ:そうしましょう!!)
(プ:で、いつ切り上げる?)
(音&カ:・・・・)
(カ:見るどころか音も聞こえないですから、決めてください)
(プ:イヤだよ、機嫌損ねて呪われるの・・・・音声さんも見えるんでしょ? 決めていいよ)
(音:なんすか、そのキラーパス?!マジキラーパスじゃないすか!)
インカムからこぼれる彼らの声が、この後三時間ほど録音され続けるのであった。
今後とも『いつもダンジョンに居ます』を宜しくお願いします。
『・・・・!』『・・・・?!』『・・・・!!』
出演を快諾かいだく頂きありがとうございました。
白い靄が敬礼をして去っていく。
とても面白い方々なのですが、いろいろ拙いので次から呼ばないようにします。




