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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 一章 墓守始めました
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28話

新女性キャラが登場します!


 村長の爆弾発言から数日過ぎたある日、彼の家に来訪者が訪れた。


 「あのお!ニーニャさんのお店はこちらですかぁ!」

 ちんまい女の子が玄関口で大声を出している。


 墓所にも聞こえるのでかなりの肺活量だが、遠めに見ても10歳程の女の子に見える。


 「ニーニャさんのお店と聞いて来たのですがぁ!ニーニャさんは居られますか!!」

 ちんまい子が大声を張るので、墓穴を埋める手を止めて、家に向かう。


 「えっと、どちら様ですか?」

 「ん? ニーニャさんの下男さんですか?」


 セルジオは一瞬、『俺の立ち位置って、ニーニャの下男的な何かかも!?』と思ってしまい、モヤっとした返答をしてしまう。


 「下男じゃないと思いますが、ニーニャさんのお店は裏です。

 ちなみに彼女は今日、都から来る人を出迎えるって出てますよ?」


 「ええぇ!入れ違いですか?!」

 やたらと声が大きいちんまい子、背中にボリューム調整のつまみがあるなら最弱に絞りたいところだ。

 よく見ると、自身と同じ位のトランクと紹介状らしき手紙を握り締めている。


 クリクリした目が印象的で、ソバカスのある顔にウェーブの掛かった髪が似合っていた。

 髪から覗く耳が少し尖がっており、人族ではないようだ。


 セルジオは店の外で待たせるのも悪いので、彼の家に案内する。



 少し警戒するようにセルジオの後に続く彼女が、部屋に入り目を見開く。


 「!?・・・・ニーニャさんの持ち物ですよね?」

 目敏くファンシーな縫ぐるみを見つけて固まるちんまい子。

 周りをに回すと、ニーニャの物と思われる日用雑貨がいたる所に置いてある。


 「ど、ど、同棲中の方ですか?!」

 なわなわと震えながら、青年に問いかける。


 「ぬぉ?!、俺の寝床はあそこ」

 台所の土間の隅を指差すと、そこにはただ藁が積まれシーツが掛けてあるとても質素な寝床だ。


 「げ、げ、下男げなんさんと同棲中?!」

 まぁ、下男、そう思われてもしょうがない格差があるのだが、ここは間違いなくセルジオの家である。


 ちんまい子が恨めしそうにセルジオを睨み付けている。

 「ニ、ニーニャさんが俺の家に押しかけて来たから、寝床を貸してあげてるだけだよ」


 セルジオの言葉を聞いて、ちんまい子の顔からみるみる血の気が引いていく。


 「おおおお、お! 押しかけ女房?!」

 もうなわなわを通り越し、ガクガクブルブル状態のちんまい子。


 「ニーニャさんが、そんな、はしたない事を・・・するわけありません!

 あなた、どんな手を使ってたぶらかしたのですか?!」


 ちんまい子が突然、鼻息荒くプンプン、スンスンといった感じに怒り出した。


 彼女は持ってきた自分と変わらない大きさのトランクを、プルプル震える手で頭上に持ち上げ、セルジオに振り下ろそうと振りかぶった。

 その刹那、玄関の戸が勢いよく開きニーニャが飛び込んでくる。


 ドンッ! バン!

 勢い良く開いた戸が壁で跳ね返り、再び閉まる。

 ジードの補修が成されてなければ、明日から戸がない家になっていただろう。


 「レェブラーシカ!こっちに来てたのね? 探したんだから!!」

 まだ、プンプン起こってるちんまい子をひょいと抱えベットに座り膝に抱える。

 一頻り抱きしめると、ちんまい子が苦しそうにジタバタ暴れ、はなしなさい!と叫ぶのだが、ニーニャは抱きしめたまま口を開いた。


 「セルジオさん紹介します、私の乳母のレェブラーシカです。

 人手が足りないので、来てもらいました。

 ホビットって言う種族で私より随分お姐さんです」


 「えぇ? 乳母?」


 ちんまい子は10歳程度にしか見えない。

 しかし、確かにハキハキした物言いと態度が年相応には見えない。


 「こちらがセルジオさんです。いま商人の中で一番熱い話題の人です」


 「・・・・レェブラーシカです」

 刺すような視線で警戒心MAXの態度を示すちんまい子が、おずおずと左手を差し出す。

 キスをしろ言う動作なのだが、セルジオは分からず右手を引っ込め左手で握手をする。


 「フフフ、こんな人ですよ、レラ」

 上機嫌のニーニャと反対に、怒りの収まらないレェブラーシカ。

 「ニーニャさん! 私がきたからには、ちゃんとしてくださいね!」


 「え~ぇ? 私、もう実家と縁は切られたはずだけと?」


 セルジオは、ニーニャにもいろいろあるのだな、なんと他人事よろしく茶を入れる。


 「何をおっしゃるのですか!?お嬢様!!」

 『へぇ、良い家のご令嬢だったんだ・・・・って、この状況はまずいだろうな』と、しっかり当事者だか、セルジオは気が付いてない。しかも、耳が痛い程の声量で激を飛ばすちんまい子が、膝の上でまたプンプン怒っているのが可愛なぁなどと考えていた。

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