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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 一章 墓守始めました
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25話

 幽霊を初めて素面しらふで見た日、ニーニャが借りて来た猫の様におとなしく、セルジオに付いて回るから、彼も随分困ったが、結局ダンジョンにはついて来れず。

 家に居るインプにニーニャの番を頼むと、いつもの良く解らない返事をしてニーニャに付き従う。

 彼女も、少し不安な顔をするが、最初の日のインプの事を話すと、しぶしぶ納得してくれた。


 次の日から、セルジオはまた日の出と共に起きて家畜の世話をし、畑を見回りジードが持ってきてくれた軽食を食べてダンジョンに潜る。

 そんな日が数日続いたある朝、大石の塀が壊されていた。


 「あれ? 猪でもでたか?」

 塀の一部が壊され、辺りに数人の足跡が残っている。


 大石を退け、開けようといろいろ頑張ったみたいだが、無理だったようだ。


 少し不安になり墓に向かう。


 「・・・・掘り返されてる。 罰当たりな」


 埋められた袋が破かれ、中の物が四散している。


 もとから粉の様な骨と防具の残骸が殆どだが、まれに死者が死後も側に置いておきたかった遺品が入ってたはずだ。


 「本当に呪われてもいいなら構わないけど、しょうがないな」


 幽霊の兵士達に申し訳ない事をしたと気に病みながら、荒らされた墓を埋め戻し、手を合わせ冥福を祈る。


 ダンジョンに潜るのを少し遅らせ、昼前に村長の家を訪れた。

 洗濯物を干す、おばちゃんの回りに、いつも見ない屈強な男が周囲に鋭い視線を向けている。

 セルジオはすこしビビりながら、村長の面談を求め、出てきた村長に被害を伝えた。


 村長も罰当たりだと掘り返した人物をくさしながら、噂好きのターニャ婆さんに話をしておくくらいしか手が打てないと言うので後を任せて、ダンジョンに潜る。

 半日潰れたので、回収はあまり進まなかったが、その日の夜、村を恐怖が襲った。



 判明したのは、翌日の朝。

 ザザが道端で野垂れ死にしていたのだ。


 髪の毛は真っ白、死んで時間が経っているが目を閉じる事も出来ず地面を掻きむしるような姿のまま死に絶えている姿に、彼の両親も半狂乱になっていた。


 村長からの伝言を持って来たジードと共に村の広場を訪れると。

 人だかりの中、ザザの両親が声を張り上げ、周りの人々に支離滅裂な呪詛を撒き散らしている。


 セルジオの姿が、ザザの両親の目に留まった。


 「セ、セルジオ!おまえか!? おまえがやったのか?!

 困ったとき金を貸してもらった恩も忘れて!!」


 今にも殺してやると言った勢いで迫るザザの両親から距離をとると、足元にあった礫を投げて来た。


 『いや、お金を借りたのはザザにじゃないけど・・・・』と思いつつ石を投げられるのにも耐えた。


 「な、何やってる!! セルジオがそんな事するわけないじゃないか!」

 ジードが駆けつけてくれた。

 俺を庇う様に、ジードもつぶてを受ける。


 「疫病神め! この村から出ていけ!!!」


 「やめんか! この子になんの咎がある? そもそも証拠はあるのか?!」

 村長も駆けつけ、セルジオを庇うが、村人の視線は冷たい。


 村長が無理やり村人を返し、治療の為と村長の家に招かれるまま付いていく。


 「セルジオさん大丈夫?」ニーニャさんも駆けつけてくれた。

 彼女も墓が荒らされてる事を知り、自分の腕を抱きしめておぞましい事を・・・などと言っている。


 しかし、惨劇はこの一夜限りではなかった。

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