16話
鳥の囀りが聞こえ、朝日が顔を照らす。
眩しくて目が覚めると、寝床の下に蹲るガリガリのインプが子犬のように顔を上げる。
目を擦り、水甕から水で顔を洗うと裾で拭き背伸びをした。
拙しい畑の世話をし続けているセルジオは、朝日とともに目が覚める癖が付いていた。
「・・・・?」
机の上に見慣れない指輪とネックレスが置いてある。
「これって、墓穴に埋めたはず・・・・誰かが掘り起こしたのか?!」
急いで石鋤を握り、畑を下り塚を見に行く。
「・・・・」
塚には昨晩変わりは無い。
「・・・・置いて行ったのか」
持ってきた指輪とネックレスを眺め、墓に祈りを捧げる。
付いてきたインプが心配そうに見ている。
「お前も、寝てるときに守ってくれたみたいだな」
夢の光景を思い出し、インプの頭を撫でると、少しうれしそうにする。
「ニーニャさんに調べてもらって借金の返済に回させてもらおうか・・・・
それとも埋葬する為の土地を買うか・・・・やっぱり土地かな」
セルジオは塚を作る場所が手狭になり、もともと所有していた裏山の斜面を買い戻そうと考えていた。
「家畜小屋でも掃除していくか?」
「ピギィ」
話しかけると、とにかく返事するインプの頭を撫でながら来た道を戻るのだった。
感想・評価など お待ちしてます。