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いつもダンジョンに居ます  作者: ねむねむぴよ
第一部 一章 墓守始めました
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15話

 石戸を閉め長い坂を上がる。


 空気が入れ替わってきたのか、かび臭さが薄らいだ気がした。


 「よいしょ・・・・っと、ん?」

 麻袋を担ぎ石室のような出口から出るとインプが待っていた。

 蓋を閉めてもこちらをマジマジと見つめている。


 「・・・・持ってくれるのか?」

 「ピギィ!」

 中身の少ない布袋を差し出すと、子猫程の大きさの魔物が喜んで布袋を受け取る。

 しかし体格に袋の大きさが見合わず、思いっきり引きずりながら付いて来る。


 最初の塚を再び掘り起こし、残りの遺骸を納めた。

 日が傾き薄暗くなる中、10程の墓穴を掘り全て遺品を納め埋め戻す。


 日が沈み空に星が瞬き始め、漸く両親の墓の近くに新たな10個の塚が出来上がり家へと戻った。


 今日は何故かインプがかたわらから離れない。

 いつもは家畜小屋の家畜と共に寝ているのだが、妙にセルジオの表情を気にしている。


 とはいえ、原型が殆ど残ってない10名分の墓を作ると気が滅入った。


 魔物だが非力な生き物が心配するように付き従う様が、懐っこい子犬のように思えてくる。


 「すまない、今日は疲れた。相手はできそうに無いよ」


 そう言われるとガリガリのインプは家畜小屋に走って行き、干し藁を一抱え持って付いて来る。

 今日は意地でも一緒にいるらしい。


 「好きにすればいい、俺は寝る」


 木箱に藁を敷き布を掛けただけの寝床に倒れ込むと、そのまま意識を手放した。 



 ・・・・


 夢を見た。


 白い靄のような人影が、部屋を這いながら何かを探している。

 そのうち、急に足腰がしっかりし四つんばいになり、膝に手を付きながら立ち上がる。

 まだ、何かを探している。


 インプが白い靄が近寄らないように、俺の前で威嚇している。


 白い靄は、しばらく部屋を調べ探し物がないと分ると、遠くを見るように背伸びをして風に流されるように消えていった。


 闇に閉ざされる。




 再び、闇の中に靄の柱が立ち上る。

 柱の数は10。


 一つの柱が近づいてくる。


 『あ・・とう、やっ・故郷に帰・る。・・がとう、あり・・・』

 声が聞こえた気がした。

 白い靄は、次第に騎士のような形を作る。

 白い鋼の鎧を纏っている。


 深々と頭をたれ佇まいを直すと、騎士の礼を取る。

 後ろの影も今は騎士の姿となっており、礼に倣う。


 かなり長い間礼を取っていたが、風に吹き消されながらテーブルに何かを置いてゆく。


 コトン


 夢枕に何かが置かれる音が聞こえたように思えた。


 これ迄の記録

 名前セルジオ:年齢18歳:男性

 職業:農民兼墓守

 埋葬者数 13 回収遺体 11

 〇入手アイテム


  墓守の石鋤いしすき

   死者を埋葬するために使用すると魂魄が強くなる。


  夢現ゆめうつつのメダリオン

   ダンジョンの通行書を兼ねている。

   魔法の罠は動かない。

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